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2025年6月26日 (木)

「諦めないで?」は危険!仮想通貨詐欺の「二次被害」と追跡業者の実態

 今回は、仮想通貨(暗号資産)を使った詐欺の被害に遭ってしまった際に皆様が陥りがちな「二次被害」の危険性について、お伝えしたいと思います。

 近年、SNS型投資詐欺や国際ロマンス詐欺といった手口で、仮想通貨を用いた被害が激増しています。マッチングアプリやSNSのダイレクトメッセージから誘われ、海外の投資サイトへ誘導され、気づけば多額の仮想通貨を送金してしまったというお話を伺うたびに、皆様の悔しさや絶望感を想像せずにはいられません。

 では、なぜ仮想通貨詐欺での資金回収は、これほどまでに困難なのでしょうか?その理由は次の通りです。

1 送金先アドレスの情報不足

 ビットコイン(BTC)などの仮想通貨は、ブロックチェーン上で送金履歴を追跡できます。どこに送金されたか、その先のアドレスは見えるのです。しかし、そのアドレスの持ち主が誰なのか、その先のアドレスを誰が管理しているのか、といった個人情報はブロックチェーン上からは判明しません。特に、「アンホステッドウォレット」と呼ばれる、特定の交換業者に紐づかないウォレットの管理者を特定することはできないのです。

2 海外の暗号資産交換業者による非協力

 ほとんどの場合、皆様が送金した仮想通貨は、最終的に海外の暗号資産交換業者のウォレットにたどり着くことが判明します。しかし、海外の交換所は、口座の凍結や送金先名義の開示に協力してくれないのが実情です。たとえ「この仮想通貨は詐欺で得たものだ」という確固たる証拠があったとしても、海外の壁は非常に高いのです。日本の弁護士が交渉や訴訟手続きを駆使しても、救済は極めて困難な状況にあります。さらに残念なことに、巨額の詐欺被害金が特定の海外暗号資産交換所に送金されているにもかかわらず、その国内のグループ会社も被害回復に協力しない実態が報告されています。これは、私たち弁護士としても、非常に歯がゆい問題です。

 このような厳しい現実から、東京弁護士会の「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点2」や、東京投資被害弁護士研究会の「国際ロマンス詐欺に関するお知らせ&2次被害にご注意下さい」でも指摘されている通り、仮想通貨での送金の類型では、被害が回復された、つまり、金銭を回収できた事例について、一件も報告がありません。これは、皆様に希望のないことを告げているように聞こえるかもしれませんが、これが現時点での「事実」であり、皆様が無駄な費用や時間を使ってさらなる二次被害に遭わないために、まず知っていただきたい重要な点なのです。

 「失ったお金を何とか取り戻したい」そう思うのは当然のことです。そんな皆様の藁にもすがる思いに付け込み、最近は「仮想通貨詐欺の追跡業者」と称する事業者が多数見受けられます。追跡業者は「諦めないでください」「返金の可能性が高くなります」といった言葉で、徹底的な追跡や法的書類の作成を謳いますが、現時点での回収の困難性を踏まえると、これは「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」に該当する可能性が極めて高いと考えられます。

 また、追跡業者は、彼らは「特定調査」や「商品の販売価格」として、被害額の数%といった成功報酬的な費用や調査費用を請求します。しかし、実質的な回収が極めて困難な現状において、これらの費用は、回収見込みのない事案に皆様から高額な金銭を支払わせる結果を招きかねません。

 こうした業者に依頼することは、時間とお金を無駄にするだけでなく、皆様の精神的な負担をさらに増大させる「二次被害」につながりかねませんので、ご注意ください。 

 一方で、仮想通貨詐欺のうち、被害金の支払に銀行振込が介在しているケースでは、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)に基づき、口座凍結などを通じて一定程度の被害回復が可能な場合もあります。仮想通貨による送金とは、その性質が異なるため、対応も変わってきます。ただ、この場合でも、口座の残高はすぐ引き出されるケースが多いため、回収の可能性が高いとは言えません。

 当事務所では、仮想通貨詐欺の相談にあたっては、回収の困難性を含め、現時点での正確な法的見通しをお伝えします。仮に被害金の支払に銀行振込が介在しているケースでも、被害回復が困難であることを、充分にご理解頂いてからの受任とさせていただいております。

(大窪和久)

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