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2020年4月

2020年4月30日 (木)

コロナによるキャンセルの返金問題

 最近、コロナ騒動によるイベント等の中止に伴って、代金の返還が問題になることが多いようです。

 代金を返還してもらえるかどうかは、以下の分別で判断します。

1 完全にコロナによってイベント等ができなくなった場合

 例として、留学や旅行で海外に行く予定になっていたのに、コロナによって海外が日本人の受け入れを中止したようなケースです。

 これは、業者が債務を提供できないのは完全に不可抗力です。よって、民法上の危険負担という考え方が適用されます。即ち、業者は債務を提供しなくてもいいですが、消費者も費用を支払う必要がありません。よって、原則は全額返金を求めることができます。

 但し、契約書等に不可抗力の場合の処理方法が記載されていれば、原則は契約書等の記載が優先されます。もっとも、規定があまりに消費者の利益を一方的に害するような内容になっていれば、消費者契約法上、争う余地があります。また、契約書等に記載があるのではなく、一方的に通知されたものに過ぎない場合も、消費者の同意がなかったものとして争うことができます。

2 コロナによるキャンセルとは言えない場合

 例として、業者側はイベント等を開いているのに、消費者側が三密空間に行きたくないという理由でキャンセルしたようなケースです。

 業者は債務を提供しているのに、消費者側が自身の判断でキャンセルしたわけですから、この場合のキャンセルは消費者側の責任ということになります。よって、キャンセルポリシーに従った処理がされます。但し、そのキャンセルポリシーがあまりに消費者の利益を一方的に害するようなものである場合は、1と同様、争うことができます。

3 コロナによってイベント等ができなくなったと言えるかどうかが微妙な場合

 例として、政府から自粛を求められたので、業者がこれを受けてイベント等を中止したようなケースです。

 自粛はあくまで自己判断によるものですから、業者が債務を提供できないのは必ずしも不可抗力とは言えません。そうであれば、不可抗力の規定の有無にかかわらず、消費者は債務不履行を主張して、費用の払い戻しは勿論、これによって発生したその余の損害(例えば遠方の会場までの交通手段のキャンセル料等)まで支払を求めることができそうです。

 とはいえ、状況次第では不可抗力に限りなく近いと言え、上記1に近付くことも多いでしょう。緊急事態宣言下の自粛であれば、不可抗力に当たる可能性は高いと考えられます。

(石丸 文佳)

2020年4月 7日 (火)

お知らせ

日ごろの当事務所のご利用ありがとうございます。

さて,新型コロナウィルスが猛威を振るう中,当事務所は,感染防止のため,4月7日より5月6日まで事務職員の出勤を停止しました。またこの間は,面接でのご相談は極力避け,電話やメールでのご相談に代替させることといたしました。

そのため今後しばらくは,ご不便をお掛けすることがあるやもしれませんが,ご理解のほど賜りたく,宜しくお願い致します。

なお,緊急を要する案件についてはこれまで通り,面談,現場急行等の対応も致しますので,躊躇なくご連絡下さい。

また,期間中の各弁護士との連絡方法については,それぞれの弁護士にお問い合わせ下さい。(特に連絡がない限り通常の連絡方法で連絡が付きますのでご安心ください。)

我が国における大流行はこれからだとも言われています。

皆様も,くれぐれも健康に留意されますよう,お祈り申し上げます。

桜丘法律事務所 代表弁護士 櫻井光政

 

 

2020年4月 2日 (木)

4月22日神山ゼミ中止のお知らせ

4月22日に開催を予定しておりました神山ゼミですが,コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,中止とさせていただきます。

ご参加をご検討いただいていた皆様にはご迷惑をお掛けし申し訳ありません。

大変残念ではありますが,何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

 

2020年4月 1日 (水)

逃亡者密告制度の新設に反対する

 最高裁刑事局では,ゴーン氏の逃亡以来,保釈された被告人の逃亡に何らかの歯止めの必要があるとの認識から逃亡者密告制度の導入を検討している,との情報が本日令和2年4月1日,寄せられた。検察庁からの強い要請に最高裁判所が折れた形だ。現下の情勢では国会で審議されればさしたる抵抗もなく成立する見通しだとのことだ。

 逃亡者密告制度は,悪名高い出入国管理及び難民認定法(通称「入管法」)62条,66条を保釈逃亡者の密告に取り入れようとするものだ。入管法62条は何人も退去強制の対象となる外国人を通報できるという規定で,66条は,通報の結果退去強制令書が発布されたときは法務大臣が通報者に報奨金を与えることができるという,密告者に褒美を与える制度だ。現在これを刑事訴訟法改正として取り入れるのか単独の立法によることにするのかの検討の段階に来ているとのことだ。

 いずれにせよ,法改正によって,保釈中の逃亡者を密告した者に褒美を与えて密告を奨励しようとするのだから呆れた話である。人を見たら泥棒と思えというような,人心荒廃を助長するのみならず,虚偽の密告によって他人を陥れる輩が出て来ないとも限らない。そもそもこんな法改正をしても,ゴーン氏のような逃亡は防げないし,意味がない。

 正式に公表された暁には文書をもって反対の意見を表明するつもりだが,とりあえずは神山弁護士を通じて内々に検察と最高裁の幹部に意向を伝えるに止めたが,こうした,国民相互を監視させようとする試みには断固反対したい。

 (4月1日櫻井記)

 

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