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2019年12月

2019年12月 9日 (月)

配偶者居住権について

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では2020年4月1日より施行される配偶者居住権について簡単に説明します。

1 配偶者居住権について

 配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、原則として終身その建物に住み続けることができるという権利です。

 改正前に、配偶者が被相続人所有の建物に住み続けるためにはその建物の権利を得るというのが通常でしたが、その場合相続財産の分割で支障がでることがありました。

 例えば、相続人が妻及び子1人のみで、被相続人の遺産が自宅(評価額4000万円)及び預貯金が500万円だった場合、妻と子の相続分は1対1(妻2250万円、子2250万円)ということになります。妻が自宅に住み続ける場合自宅の権利を引き継ぐことになるのが通常ですが、預貯金が500万円しかありませんので、子が自分の相続分が足りないと不満に思い相続財産分割の審判を申立てる可能性があります。そして審判において自宅の売却が決まってしまい、結果妻が住まいを失うということにもなりえます。

 配偶者居住権が新設されたことにより、配偶者居住権は妻、同権利の負担付き自宅の所有権を子が取得するということができるようになりました。配偶者居住権の価値が2000万円だとすると、負担付き所有権の価値は2000万円となり、預貯金を250万円ずつ取得すれば法定相続分通りの相続でも妻が住まいを失うことにはなりません。

2 配偶者居住権の定め方

 配偶者居住権については、被相続人が遺言で妻に権利を遺贈するという形等で、被相続人が内容を定めることができます。

 被相続人が遺言で配偶者居住権について決めていなかったとしても、相続人間で協議して配偶者居住権について定めることができます。また相続人間で協議してまとまらなかった場合でも、遺産分割の審判を行う家庭裁判所が、妻の希望や妻の生活を維持するための必要性の高さなどを考慮して定めることができます。

3 配偶者居住権の注意点

 配偶者居住権で一点注意すべき所は、この権利について登記をしておかないと、建物の所有権を得た第三者にその権利を主張できなくなるという点です。例えば先の例で妻と子が協議を行い、自宅の配偶者居住権を妻が得た後で、子がその自宅を第三者に売却してしまったとします。この場合妻が配偶者居住権についてあらかじめ登記をしておかなかった場合、自宅の所有権を手に入れた第三者に権利を主張できず、自宅に住み続けることができないということになってしまいます。登記をしておかなければいけないという点は特に注意しておく必要があります。

 配偶者居住権は全く新しい制度ですので、遺言作成や相続財産分割の際どのように定めるか分からないということもあると思います。ご不明な点があればお近くの法律事務所に相談されることをおすすめいたします。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

2019年12月 2日 (月)

遺言に関する見直しについて

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では遺言に関して変わったところについて簡単にまとめていきます。

1 自筆証書遺言(自分自身で書く遺言)の作成方法

 自筆証書遺言は法律上で作り方が定められており、それに従わない遺言は効力が認められません。

 従前は、自筆証書遺言については、財産目録を含めた全文を自書した上、日付と氏名を明記し押印したものでなければなりませんでした。法律改正後は遺言本文に添付する財産目録については、自筆ではなくても良いことになり、パソコン等で作成した目録を遺言に添付することができるようになりました。また、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなどを添付して目録として使用することも可能になりました。

 なお、偽造防止の為、自書によらない財産目録については、各ページに署名押印をしなければいけないことになっています。

2 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

 2020年7月より自筆証書遺言を作成した人は法務局に遺言書の保管を申請することができるようになります。これまで自筆証書遺言は自宅に保管したり貸金庫に預けたりするような形で自分に保管するのが通常でしたが、それを公的機関である法務局で預かってくれるようになります。

 被相続人本人が亡くなった後、遺言書が保管されているかどうかについて相続人が法務局に問い合わせて調べることもできます。遺言書が保管されている場合には遺言書の閲覧をしたり、写しを交付してもらうこともできます。

3 遺言執行者人の権限の明確化

 遺言執行者とは、遺言の内容を正確に実現させるために必要なことを行う人を指し、遺言の中で被相続人本人が指定することができます。

 旧法では抽象的な規定のみでしか遺言執行者の権限については定められておらず、裁判例により具体化されていました。今回の法改正により遺言執行者の法的地位及び権限が法律上明確にされました。

 また、遺言執行人は財産目録を作成した上で遺言の内容を相続人に知らせることが義務とされました。このことにより、相続人は自分の相続内容について把握しやすくなりました。

 遺言制度に関する見直しが行われたことにより、以前より遺言による相続がやりやすくなりました。遺言の作成等ご不明な点があればお近くの法律事務所に相談されることをおすすめいたします。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪 和久

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