« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年9月

2018年9月28日 (金)

遺言の作成・保管方法が変わる!

遺言作成するなら公正証書遺言にするべき!と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。弁護士としてもそのようにアドバイスをすることがほとんどです。

理由としては、自筆証書遺言だと紛失の恐れがあったり、実際に誰がどのような状況で作成したかが不明確で有効性について疑義がもたれたりするリスクがあるかららです。また、死亡後に相続人らが家庭裁判所で検認の手続きをする必要もあります。

確かに公証人の前で本人が口述をして作成し、公証役場で保管もしてくれる公正証書遺言は自筆証書遺言に比べれば安心です。

しかし、一方で公正証書遺言は、公証役場に手数料を支払うこと、証人が必要となること、公証人との間で作成日や作成場所(公証役場又は自宅など)について調整する必要があることなど仰々しいところもあり、費用や手間の点でやや難点があります。

 そういうわけで、いざとなるとなかなか公正証書遺言作成に踏み切れず、結果的に相続について意思を伝えることができないままに亡くなってしまう方が多くいるようです。

 それは本人にとっても親族にとってもよいことではありません。

 もう少しライトにかつ確実に遺言を作成・保管できないものか・・・わたしもご相談に関わる中でよく思案していたことです。

 この点に関し、最近、重要な法律改正がありました。

 

<もう全文自筆でなくていい>

自筆証書遺言は偽装を防ぐため、全文と日付を必ず本人が書き、署名・捺印することなどが民法で定められています。また、財産の一覧を記した財産目録も自筆する必要がありました。ただ、資産のすべてを正確に記載するにはかなりの労力を要し、もし誤字があれば、その部分が無効になる可能性もあるというリスクもありました。

この点に関して、平成30年7月6日に成立した民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成31年1月13日から施行)が成立しました。

これにより、不動産の地番や面積、預貯金の口座番号など、財産を特定する記載については自筆でなくてもよく、パソコンなどで作成した財産目録や登記事項証明書等を添付し、その目録全頁に遺言者が署名・捺印すれば有効となります。

とはいえ、要件を本当に充たしているか等は弁護士に確認してもらうことをお勧めします。

<法務局で保管できる>

自筆証書遺言の保管についても、平成30年7月に法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立しました(施行は2年以内)。

当該法律により、法務局において自筆証書遺言を保管してもらえることになりました。

具体的には、遺言者が法務省で定める様式(別途定めるとのこと)で作成した封をしていない自筆証書遺言を遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局の遺言保管所に自ら出頭して申請をします。

 保管の申請がされた遺言書については,遺言書保管所の保管官が,遺言書保管所の施設内において原本を保管するとともに,その画像情報等の遺言書に係る情報を管理することとなります。

 遺言者は,保管されている遺言書について,その閲覧を請求することができ,また,遺言書の保管の申請を撤回することができます。保管の申請が撤回されると,遺言書保管官は,遺言者に遺言書を返還するとともに遺言書に係る情報を消去します。

遺言者の生存中は,遺言者以外の方は,遺言書の閲覧等を行うことはできませんが、死亡後は、自己(請求者)が相続人,受遺者等となっている遺言書(関係遺言書)が遺言書保管所に保管されているかどうかを証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。遺言者の相続人,受遺者等は,遺言者の死亡後,遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付請求及び遺言書原本の閲覧請求をすることができます。

遺言書保管官は,遺言書情報証明書を交付し又は相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは,速やかに,当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人,受遺者及び遺言執行者に通知します。

そしてこの場合は検認手続きも不要になります。

手数料も公正証書で作成する場合には相続財産額に応じて負担することになりますが(数万円~10万円以上になることもあります)、法務局での保管手数料は一律でこれに比べれば負担は軽くなるはずです。

このように各法律が施行された暁には、必ず「遺言は公正証書で!」というべきケースばかりではなくなりますね。

遺言作成の選択肢が広がりつつある現在、改めて作成の検討をされてみてはいかがでしょうか。

(弁護士 亀井 真紀)

2018年9月11日 (火)

72期修習予定者向け事務所説明会のお知らせ

司法試験合格者の皆さん,おめでとうございます。

桜丘法律事務所では,下記要領にて72期修習予定者に対する事務所説明会を行います。

当事務所は,日弁連のひまわり基金公設事務所又は法テラスのスタッフ弁護士として地方で勤務する新人弁護士の養成を続けています。弁護士過疎解消をはじめ,公益的な弁護士業務に幅広く関心のある方のご参加をお待ちしています。

とりわけ当事務所に入所を希望されている方にはぜひおいで頂いて事務所の雰囲気を知って頂きたいと考えています。なお,当事務所の72期の採用予定は1名です。

当日は,東電OL殺人事件主任弁護人であり,刑事専門弁護士である神山啓史弁護士による刑事弁護講演も予定されています。刑事事件に興味のある方も是非ご参加下さい。

準備の都合上,各回先着30名とさせて頂きますのでご了承下さい。

 

【日時・場所】

第1回 平成30年10月5日(金)18:00~20:00頃まで

    @伊藤塾本館の202教室(東京都渋谷区桜丘町17-5)

第2回 平成30年10月19日(金)18:00~20:00頃まで

    @伊藤塾本館の202教室(東京都渋谷区桜丘町17-6)

【説明会内容】

第1部 約60分

桜丘法律事務所の紹介   櫻井光政所長

第2部 約60分

刑事弁護講演         神山啓史弁護士

終了後,事務所見学と懇親会を予定しています(参加自由)。

【申し込み方法】
参加希望者は,件名を「事務所説明会参加希望」として,

①名前

②メールアドレス

③参加希望日

④懇親会参加希望の有無

を明記の上,澤田(sawadasakuragaoka.gr.jp)宛にメールにてお申込み下さい。

※スパム防止のため@を大文字にしています。小文字に変換して送信して下さい。
なお,配布物の準備の都合上,説明会参加のご連絡は開催の3日までに頂けるようお願い申し上げます。

 

〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6    

渋谷協栄ビル7階 桜丘法律事務所

電話 03-3780-0991

http://www.sakuragaoka.gr.jp

 

2018年9月 5日 (水)

まとめサイト上の誹謗中傷の投稿への対処について

インターネットに関する相談の中で、近年良く受けているのがいわゆるまとめサイトに誹謗中傷の投稿が掲載されているというものです。

まとめサイトとは、匿名掲示板等やSNSの投稿をまとめて記事にして掲載しているサイトのことをいいます。したがって、例えば誹謗中傷の投稿が匿名掲示板に書かれていった場合にまとめサイトでもその誹謗中傷の投稿が掲載されることになります。

検索エンジンなどで人名を検索した場合、元となった匿名掲示板やSNSの投稿よりもまとめサイトの投稿の方が上位に来ることも良くあります。匿名掲示板やSNSについては読む人も利用者に限られますが、まとめサイトは匿名掲示板やSNSの利用者以外にも読者があるからです。まして有名なまとめサイトに投稿が掲載された場合には読者が爆発的に増えることにもなります。

匿名掲示板やSNSの場合、誹謗中傷の投稿削除要望に対応する窓口が作られており、(曲がりなりにも)削除対応されるためそれで投稿が削除されることもあります。ただまとめサイトの場合、そもそも運営主体がどこなのかサイト上で明記されていないものがほとんどですし、連絡先とされているメールアドレスへ連絡しても無視されることも良くあります。そのため掲載元の匿名掲示板やSNSよりも投稿削除が難しいということになりがちです。

ただ、このような運営主体が不明なまとめサイトであっても、どこかのサーバーを利用します。そこでサーバーを管理する会社を特定した上、そのサーバー管理会社を相手にしてプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)により投稿削除を請求することができます。弁護士が投稿削除の依頼を受けた場合も、サーバー管理会社に対して削除請求を行って投稿を速やかに削除させるのが通例です。

まとめサイト上の投稿削除だけではなく、まとめサイトにより誹謗中傷の投稿が広められたことについての損害賠償責任をとってもらいたいという思いもあるでしょう。この点近時まとめサイトの行ったまとめ投稿に対し、不法行為に基づく損害賠償が認められた裁判例(大阪地裁平成29年11月16日判決 判例時報2372号59頁)の事案が参考になるかと思いますのでご紹介いたします。

この事案では、匿名掲示板の投稿をまとめサイトに掲載したことにより原告の権利を新たに侵害したかどうかが争点となりました。この点被告(まとめサイトの運営)側は、仮にまとめサイト上に問題がある投稿の掲載があったとしても、原告の権利はあくまで掲載元の匿名掲示板の投稿により侵害されたにすぎず、まとめサイト上の掲載が新たに原告の権利を侵害したとはいえないと主張しています。

ただ裁判所は、サイト上の掲載では表題の作成や表記文字の強調等が行われていることや、まとめサイト上に多数のコメントが掲載されており多くの読者がいること等からすると、まとめサイト上の投稿は引用元の匿名掲示板の投稿とは異なる新たな意味合いを有するものであるとして、被告の主張を排斥し、まとめサイト上の掲載が新たに原告の権利を侵害したと認めました。なお、地裁での判決の後本年6月に大阪高裁で本件の控訴審判決が出されていますが、地裁の判断を維持しています。

上記裁判例の考え方に従えば、まとめサイト上の投稿に対してまとめサイトの運営者に対しても損害賠償請求を行うこともありえることになります。

まとめサイト上の誹謗中傷の投稿については運営者がどこの誰だか分からないこともあって泣き寝入りする人も多いですが、弁護士に依頼すれば投稿削除や被害回復へ繋げていくこともできますので、まず弁護士に相談されることをお勧めいたします。

                                    (弁護士 大窪 和久)

2018年9月 2日 (日)

9月,10月の神山ゼミのお知らせ

神山ゼミを以下の要領で行います。

【9月】
日時:9月14日(金)午後6時から午後8時頃まで
場所:伊藤塾東京校302教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html
終了後,懇親会を行います。
【10月】
日時:10月12日(金)午後6時から午後8時頃まで
場所:伊藤塾東京校202教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html
終了後,懇親会を行います。
【備考】
法曹,修習生,学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。 刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に,現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。
方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。
なお,進行予定を立てる都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨お伝えください。
参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を澤田若菜(sawada@sakuragaoka.gr.jp)までご連絡下さるようお願いします。
※スパム対策として,@を全角にしています。半角の@に変換して送信してください。
[件名]9月の神山ゼミ(10月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・懇親会への出欠:
・持込相談の事件がある場合にはその旨
皆様のご参加をお待ちしています。

« 2018年8月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ