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2018年5月 1日 (火)

弁護士に依頼するともっとモメる?

1.弁護士に相続を相談するデメリットとして、「もっとモメるかも」という指摘をしている方がいます

http://sozock.com/category56/entry172.html)。

 しかし、所掲のサイトでの指摘は、弁護士業務の実体を誤解しているように思われます。

2.所掲のサイトは「弁護士の場合は、モメればモメるほどお金になるという仕事の性質上、まとまる方向に話が進まない可能性があります。」と指摘しています。

  この点が誤解の出発点であるように思われます。

3.相続問題を扱うようないわゆる町弁が事件を受任する場合、着手金-報酬金という報酬形態をとるのが一般です。

  着手金というのは、「事件の結果に関わらず、最低限、これだけの費用が発生しますよ。」という事件処理の対価のことです。

報酬金というのは、「得られた金銭の何%」といったように、成果に対して発生する費用です。依頼が成功しなければ報酬は発生しないのが普通です。

4.弁護士が事件を受任する場合、先ず、依頼人の依頼の趣旨を確認します。

  その後、依頼人の依頼の趣旨を実現するにあたっての着手金、報酬金の見積もりをします。依頼人が了承すれば、契約書を取り交わし、事件処理に入るという手順をとります。

弁護士が依頼人に見積もりを提示するうえでポイントになるのは、着手金-報酬金方式で契約をする場合、弁護士費用が発生するのが、基本的に事件の着手時と終結時の二回に限られるということです。

半年で事件が解決しようが、事件解決までに10年かかろうが着手金-報酬金の額は変わりません。

  しかし、半年で解決できるか事件解決までに10年かかるかは弁護士にとっては非常に重要な意味を持ちます。

  例えば、着手金30万円の事件でも、半年で解決すれば着手金換算で1か月あたり5万円の利益を生みます。しかし、着手金60万円の事件でも解決までに10年かかれば、1か月あたり着手金換算で5000円の利益しかもたらさないことになります。これではとても経営が成り立ちません。

弁護士業務は、モメればモメるほど金になるどころか、モメればモメるほど利益が薄くなって儲からなくなるというのが実体に近いと思います。

5.セカンドオピニオンや、合い見積もりをとることが珍しくなくなっている東京の市場環境では、過大な着手金を提示すれば、顧客は他所に流れてしまいます。

  そのため、見積もりを提示するにあたっては、依頼の趣旨を実現することの可否だけではなく、発生する労力や紛争解決までに要する期間を正確に見通すことが経営上重要な意味を持ってきます。

  報酬を得るために必要な部分で徹底的に争うのは普通のことです。手を抜くと顧客満足度・評判や技量が落ちるため、予想外の労力が発生するとしても、この点で易きに流れる弁護士は少ないと思います。

  しかし、必要のないところでわざとモメさせようという発想を持っている弁護士は、漫画の世界ではともかく、現実には殆どいないと思います。

  引用元のような記事を見れば、弁護士に事件処理を依頼することで、意味のないモメ事を作られてしまうのではないかというご懸念をお持ちの方が出てくるかも知れませんが、そうした理由で依頼をためらう必要はないと思います。

(弁護士 師子角 允彬)

 

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