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2018年2月 1日 (木)

公務員の労働問題(懲戒処分2)

 1月30日、東京都教育委員会が勤務先の公立中学校の男子生徒に「抱きしめて」とメッセージを送ったり、キスをしたりした女性教諭を懲戒免職処分にしたようです

https://www.nikkansports.com/general/news/201801300000591.html)。

 東京都教育委員会の「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」では、生徒に対してメール等での性的行為の誘惑を行った場合、免職又は停職にすると規定されています。また、キスをした場合には、同意の有無を問わず、免職処分にするとされています

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/kizyun.htm)。

 行われた処分は処分量定に沿ったもので、教育委員会の処分としては予想の範囲内のことです。

 しかし、都立高校の男性教諭が担任している女子生徒に対し「逢った時一緒に横になって寝よう」「付き合ってほしい」「俺と一緒になってほしい」「結婚してほしい」「抱かせてほしい」などの性的な内容を含むメールを多数送信したという事実関係のもと、懲戒免職処分の効力が裁判所によって取り消された事案もあります(東京地判平27.10.26判タ1422-153)。

 この裁判が行われた当時の東京都教育委員会の処分量定は「わいせつな内容のメール送信・電話等」に対して「停職」を示しているだけでした。また、東京地裁の事案ではキスや性的関係があったことまで認められているわけではありません。

しかし、具体的な事情によっては、新聞記事の事案でも懲戒処分の有効性を裁判所で争う余地はあるのではないかと思います。未成年者に十分な判断能力がない可能性もあることからすれば「同意の有無を問わず」とする処分量定にも一定の合理性があることは否定できませんが、それでも男子生徒が不快感を示していなかった場合にまで処分量定を機械的に適用して常に懲戒免職とすることができるかどうかは、なお議論の余地があるように思います。

(弁護士 師子角 允彬)

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