公務員の労働問題(懲戒処分)
福島県の職員が勤務時間中に職場の公用パソコンから900回以上にわたって懸賞に応募していたとして、減給処分を受けたとのことです。
(http://www.yomiuri.co.jp/national/20180130-OYT1T50151.html)
回数を見ると、処分が軽いという印象を持たれる方がいるかも知れません。
しかし、公務員の懲戒処分には自治体内部で何等かの基準が定められていることが多くみられます。やったことの類型と科される処分とが結びつけられているため重すぎる処分や軽すぎる処分が下されないようになっています。
国家公務員に関しては、人事院が「懲戒処分の指針について」(平成12年3月31日職職―68 人事院事務総長発)という基準を示しています。
(http://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H12shokushoku68.htm)
これによると、「職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。」とされています(第2 標準例 2 公金官物取扱い関係(10)コンピュータの不適正使用 参照)。
自治体の基準は人事院の「懲戒処分の指針について」に準じて作られている例が比較的多くみられます。
福島県の基準がどうなっているのかは良く分かりませんが、国家公務員のコンピュータの不適正使用の懲戒処分の標準例との関係で言えば、重ための処分が下されていることが推測できます。
弁護士が懲戒処分の効力を争う場合、先ずは懲戒処分の基準との関係で標準例を逸脱しているのかどうかを検討することになります。
標準例を逸脱して重い処分が科されている場合、それを正当化するだけの個別的な事情があるのかどうかを検討して行くことになります。それが見当たらない場合、審査請求などの法的措置をとって懲戒処分の効力を争ってゆくことになります。
また、処分が標準例の枠内にある場合でも、悪性が極めて低いなど標準例通りの処理をすることが不適切な場合には、それを考慮していないことを理由に懲戒処分の効力を争えないかを検討することになります。
公務員の労働問題は弁護士業界として手薄な領域の一つですが、書籍の執筆にあたり研究したことがあるため、普通の弁護士よりは詳しいと自負しています。
もし、お困りの方がおられましたら、ぜひ、一度ご相談ください。
(弁護士 師子角 允彬)
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