2つの裁判
11月末から12月初旬にかけて注目を集めた2つの裁判があった。
1つは11月30日の東京高裁の判決、もう1つは12月8日の名古屋高裁の決定だった。
いずれも私の司法研修所時代の同期、同クラスの裁判官が裁判長を務める裁判だった。
東京高裁裁判長は河野清隆さん、名古屋高裁の裁判長は山口裕之さんだ。
東京高裁の判決は、新潟水俣病の患者認定を求める訴訟の控訴審で、1審新潟地裁では原告9人中7人しか患者認定が認められなかったところ、高裁で9人全員の認定を認めたというものだった。判決理由では、水俣病患者の救済法の趣旨に照らして、患者の認定を柔軟に行うべきだという趣旨が丁寧に述べられていた。
名古屋高裁の決定は、名張毒ぶどう酒事件の再審請求却下決定だ。三者協議の開催要請にも応じず決定を出すというので、見通しが悲観的であることは、再審弁護団の一員である神山弁護士にも聞いていたが、まさにその見通し通りの決定だった。自白偏重が冤罪の温床になっていることが今や常識となっているにもかかわらず、今なお、当時の、被疑者国選もない時代の自白を根拠に再審請求を棄却するのはいかがなものか。
2人の級友の裁判。誇りに思ったり残念に思ったりする10日間だった。
(櫻井)
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