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2016年6月 5日 (日)

アリバイ会社

 アリバイ会社と呼ばれている会社があります。一般の方には聞きなれない言葉だと思います。法令用語でも学術用語でもないため正確な定義はありませんが、ざっくり言うと、会社に勤務しているという外観を提供する会社を言います。

 主な利用者は、収入が不安定な自営業者、収入が低い方、無職の方、水商売で働く方など、職業面で社会的信用を得にくかったり、勤務先を隠したいというニーズを持っていたりする方のようです。

 アリバイ会社はペーパーカンパニーを設立した上、電話での在籍確認に対応したり、源泉徴収票や給与明細書、名刺、社員証などの発行をしたりして、あたかも顧客がその会社で働いているかのような形を提供します。

 直観的にお分かりになるかと思いますが、このような業者を利用することには適法性に強い疑義があります。

 例えば、アリバイ会社から発行してもらった実所得を反映しない源泉徴収票などを利用して借金をした場合、詐欺罪が成立する可能性が高いです。住宅ローンなど金額が大きい場合には、警察が動く可能性も十分にあります。

 また、無職、無収入であるにもかかわらず、あたかも働いているかのように装って婚活サイト等に登録して交際相手と婚約するなどの行為は、民事上、不法行為を構成するように思われます。婚約者が真実を知った場合、婚約の破棄に加えて慰謝料を請求されるリスクも否定できません。

 アリバイ会社を利用して行うことには、大なり小なり違法性を伴うことが多いように思われます(適法な利用の仕方というものがあまり思いつきません)。違法行為を助長することになるため、アリバイ会社には事業自体の適法性にも強い疑義があります。

 アリバイ会社の利用をお考えの方は、思い止まり、利用を控えることをお勧めします。

 他方、アリバイ会社絡みで損害を受けた方は、加害者だけではなくアリバイ会社に対しても共同不法行為者としての責任を追及して行くことが考えられます。

(弁護士 師子角 允彬)

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