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2016年2月

2016年2月29日 (月)

不倫・不貞と職場への連絡

 最近、芸能人や国会議員、落語家などの不倫がテレビや雑誌で連日のように取り上げられています。

 こうした世相を反映してか、不倫・不貞の事実を暴露することについての相談を受けることが増えています。

 不倫・不貞で被害を受けた方からは、「不倫していることを職場に連絡してやることはできないのでしょうか。」と相談を受けることがあります。また、「不倫していることを職場に連絡してやる。」と脅されている方からは、「職場に連絡をされると困ります。何とかならないでしょうか。」という相談を受けます。

 不倫・不貞を職場に連絡することが許されるかどうかは、場合を分けて考える必要があります。

1.先ず、不倫・不貞をしたという証拠がない類型があります。

  こうした場合に職場への連絡が許されないのはもちろんです。例えば妻が、証拠もないのに夫が不倫をしていると決めつけ、「夫が不倫をしている。」などと会社に連絡すれば、当然不法行為が成立します。脅迫や名誉毀損などの犯罪にも問われかねません。「職場に連絡をする。」と脅されている側としては、当然、連絡行為を控えるようにと強く要求することができます。

2.次に不倫・不貞をした事実自体は確かに存在するという類型があります。

この場合も、配偶者が不倫・不貞をしたと敢えて職場に連絡することは基本的には許されません。夫婦間での紛争は基本的には職場とは関係がないからです。

夫が不倫の事実を否定していたケースではありますが、妻が離婚交渉中に夫の職場に内容証明郵便を送りつけたり、職場に押しかけたりしたことについて、妻及び妻の代理人弁護士への損害賠償請求が認められた事例もあります(東京地判平181218LLI/DB判例秘書登載)。この判例では、夫側が妻側に職場ではなく自宅に連絡して欲しいと通知していたこと、第三者である職場の人間に助言や介入を求める特段の必要性が認められないことなどが指摘されています。

弁護士によって見解が分かれるかも知れませんが、職場に連絡をしたいという方がいれば、私なら控えておくよう助言します。職場に連絡をして相手方が失職すると婚姻費用や慰謝料の回収に支障が生じることもあります。一時的に気持ち良くなっても現実的に見れば得策でもありません。そういった観点から説明すると、落ち着きを取り戻してくれる方が多いようです。

他方、「(夫ないし妻から)職場に連絡すると脅されている。」という相談者には他の連絡先(自宅、代理人弁護士の法律事務所等)を伝え、職場への連絡を控えるように通知することをお勧めします。

3.不倫・不貞をめぐる紛争の亜種として、配偶者のある相手(例えば妻のいる男性)と職場内不倫をしていた者が捨てられた腹いせに「職場に不倫・不貞の事実をばらしてやる。」と相手を脅かすケースがあります。

セクシャル・ハラスメントによって性的関係を結ばされた場合や、企業秩序に悪影響を及ぼすような態様で交際が行われていた場合(職場で性交渉に及ぶなど)には職場に事実を申告することは許容されると思います(後者の場合、申告者自身も懲戒処分を受ける可能性がありますが)。

ただ、交際自体が仕事と無関係な時間・場所で行われ、こちらも相手に配偶者があることを知って付き合い始めたというケースであれば、職場への連絡を正当化することはできないのではないかと思います。

 個人的には当事者間の紛争に職場を巻き込むといった場外乱闘的な事件処理は好ましくないと思っています。そういうことをしても不幸の総量が増えるだけで、誰の利益にもならないというのが弁護士としての実感です。

 不倫・不貞に関係して職場が巻き込まれそうになっている方は、ぜひご相談にいらしてください。紛争解決の軌道を修正するお手伝いができればと思います。

(弁護士 師子角 允彬)

2016年2月23日 (火)

賃料削減・賃料減額を標榜する会社・コンサルの問題点、トラブルをお抱えの方へ。

 電子メールを利用していると、様々な迷惑メールが送られてきます。

 比較的多く送られてくるメールの中に賃料の削減を勧誘するものがあります。

メールの文面には「テナント賃料を80%の確率で最大45.7%減額」「賃貸物件の『80%が賃料の適正化ができる』」などとうたい、「完全成果報酬型」で「賃料の値下げ交渉を御社に代わって行います。」「当社は6年・11000件実績」「今まで貸主様とトラブルになった例はひとつもありません。」などと、耳ざわりの良い言葉が並んでいます。

 しかし、こうした事業には適法性に疑義があります。

 弁護士法72条は「弁護士又は弁護士法人でない者」が「報酬を得る目的」で「業」として「法律事務を取り扱」うことを禁止しています。

 「法律事務」とは「法律上の効果を発生変更する事項の処理を指す」と理解されています(東京高判昭和39・9・29高刑集17-6-597参照)。

 一旦合意された賃料は、基本的には、家主と改めて合意をし直すか、賃料減額請求(借地借家法32条)という手続をとらない限り減額されることはありません。

 賃料減額の交渉は家主との法律関係を変更する事項の処理にほかならず、「法律事務」そのものではないかと思われます。

 これを株式会社が報酬を得ながら1万件以上も反復継続して行っていたとすれば、非弁行為(弁護士法72条違反)が強く懸念されます。

 また、弁護士としての実務経験に照らすと、法的手続(調停・訴訟など)をとらないで賃料の減額を実現することは困難です。それは家主の側に任意の減額に応じるメリットがないからです。家主側は法的手続をとられない限り従前通りの賃料を請求できるのが基本です。法的手続を前提とした賃料減額請求を受けない中で交渉のテーブルに着くことは普通ありません。少なくとも、家主側から相談を受けた弁護士は、賃借人が余程大事な顧客でもない限り、丁重に断った上で法的手続がとられるまで放置しておけばよいと回答するのが一般的ではないかと思います。

 メールには「『80%以上』が適正賃料ではなく、“払い過ぎ賃料”が発生している可能性がある」「賃貸物件の『80%が賃料の適正化ができる』」と記載されています。しかし、こういったことを記載している業者との取引をしようとする場合には、その統計の取り方をきちんと確認する必要があります。また、仮に、80%もの賃料減額の交渉を実現できているというのであれば、何らかの非合法活動によって無理矢理家主に言うことを聞かせていないかどうかも確認する必要があります。家主とのトラブルが一件もないとの表示に対し、業者が「トラブル」をどう定義しているのかも回答してもらう必要もあると思います(どんなに懇切丁寧な商売をしていても、1万件以上の交渉案件を処理してトラブルが1件もないという事態は常識的に考えられません)。

 メールには、「当方ではBtoB向け・事業を営む方向けに配信をさせていただいており」と記載されています。

 事業者同士の取引は、消費者保護を目的とした法律の多くが適用されません。しかし、一口に事業者といっても、紛争解決の経験にはかなりの差があります。小規模な会社の経営者様の中には弁護士が持つ違和感には気付かない方がいるかも知れません。

 賃料削減相談に応じますと言ったうたい文句を信じて契約を結んだものの、相手方会社の対応に疑義があるといったお悩みをお抱えの方は、ぜひ一度ご相談にいらしてみてください。

 弁護士法違反に基づき契約の無効を主張し、返金を請求する余地がないかなどを検討させて頂きます。

(弁護士 師子角 允彬)

2016年2月17日 (水)

パワーハラスメントへの対応(海上自衛官の住宅火災の事件報道を受けて)

 大分県杵築市で昨年7月、木造2階建ての住宅が全焼して子供4人が焼死した火災で、重過失失火と重過失致死傷の罪に問われた父親の第2回公判が行われたとの報道がありました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160215-OYT1T50086.html

 父親は海上自衛官であり、前任地でパワーハラスメントを受けていたことによるストレスから犯行当時精神状態が不安定だったとのことです。

 パワーハラスメントが本当にあったのか、仮にパワーハラスメントがあったとして失火行為との間で本当に結びつきが認められるのかは気になるところです。ただ、事件の背景にパワーハラスメントがあったとするのであれば、とても痛ましく思います。

 男女雇用機会均等法111項で「必要な措置」を講じることが明確に義務付けられているセクハラとは異なり、パワーハラスメントの防止に関して必要な措置を講じることは法令で明示的に求められているわけではありません。

 ただ、労働契約法5条は

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

と明記しています。この法律の趣旨からも、使用者にはパワーハラスメントの防止に取り組む責任があります。

 厚生労働省は平成24130日に「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告」を公表し、パワーハラスメントの概念の明確化や予防に取り組んできました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000021i2v.html

また、一般向けには「あかるい職場応援団」というホームページを開設し、

http://no-pawahara.mhlw.go.jp/

パワーハラスメント対策導入マニュアルという文書を配布しています。

http://no-pawahara.mhlw.go.jp/jinji/download/

http://no-pawahara.mhlw.go.jp/pdf/pwhr2014_manual.pdf

 個人的には実体把握から具体的な対応まで簡潔で要点を押さえた文書だと思っていますが、残念ながら広く一般に読まれているとまでは言えないように感じられます。

特に従業員数の少ない会社では、パワーハラスメントに関するルール自体がなかったり、ルールはあってもそれを適切に運用できる人がいなくて形骸化したりしていることが多いように思われます。

 企業にとってダメージを受けるような裁判は、概ねが初期対応の誤りに起因します。パワーハラスメントがあったとしても、いきなり従業員から訴訟提起されることは普通ありません。通常は会社の然るべき部署や上司に相談し、それでもどうにもならずに追い詰められて法的手続をとるといった経過をたどります。

 従業員からパワーハラスメントの相談を受けた時、会社や人事労務担当者としては、それが言い掛かりなのか正当な訴えなのかを見極めることが重要です。見極めた上で適切な対応をとるには、ルールの構築だけではなく、その趣旨に従ってルールを運用することも重要です。

 深刻な労務紛争は成長期の会社にしばしば発生します。

 少数の共同経営者だけで事業を回している内は労働条件がどうだとかいった争いはあまり起こりません。しかし、事業が上手く行って従業員が増えていくと、人間関係に起因する色々な問題が発生してきます。これを創業時の乗りや勢いだけで乗り切ろうとすると大抵足元をすくわれます。成長段階に合わせてきちんとルール作りに取り組んで行けるかで、企業のその後は大きく左右されます。

従業員からパワーハラスメントなどの相談を受けたけれどもどうしたらいいか分からない、これまでは法律家との接点がなかったため誰に相談して良いか分からない、そのような場合には、ぜひ当事務所へのご相談をご検討ください。

(弁護士 師子角 允彬)

2016年2月10日 (水)

弁護士への離婚相談のタイミング

このたび,桜丘法律事務所に復帰した弁護士の小堀惇です。

2012年から2015年までの間,青森県にある法テラス八戸法律事務所にて勤務をしていました。

八戸の赴任中は,借金に関するものや勤務先に関するもの,ご商売に関するものや相続に関するものなど,様々なご相談をいただきました。

 

その中で,特に多かった相談は夫婦関係に関するものでした。

法律相談の時点で,すでに離婚や婚姻関係の継続を決心されていた方もいらっしゃれば,「離婚するかしないか,迷っています。どうすれば良いですか。」とお話されていた方もいらっしゃいました。

迷われている理由は人によって様々でした。

配偶者から突然離婚を切り出されてとにかく戸惑っている,という方もいらっしゃれば,離婚はしたいけれどもその後の家計や子の養育環境が心配で踏み出せない,という方もいらっしゃいました。

確かに,婚姻関係を継続するか否か,それ自体は弁護士が決められるものはではありません。

けれども,迷われている理由をお聞かせいただければ,今後の人生の選択に役立つ法的知識に基づいた回答をすることができます。

また,夫婦本人同士だけで離婚の話し合いをすすめていきたいとお考えの方であっても,早い時期に法律相談を受けて正確な法的知識をもっておけば,話し合いを円滑に進められる可能性が高まりますし,万一,話し合いがこじれて調停や訴訟になったときの備えにもなります。

ですから,離婚をするかどうか迷われている方や,弁護士に代理を依頼することは予定していない方であっても,できるだけ早い時期に,弁護士の法律相談を利用することをおすすめします。

 

法律相談というと「大ごとになるのでは。」と心配される方もいらっしゃるのではないかと思いますが,実際はそのようなことはありません。

ぜひ,悩み事の相談窓口として,当事務所の法律相談をご利用ください。

メールでの法律相談をご希望の方は,以下のアドレスからご連絡ください。

http://www.sakuragaoka.gr.jp/contact/consult/

 

ご連絡をお待ちしています。

(弁護士 小堀 惇)

2016年2月 8日 (月)

SNSやネットオークションを利用した詐欺

 当事務所ではWEB上で法律相談を受け付けています。

 http://www.sakuragaoka.gr.jp/contact/consult/

その中でSNSやネットオークションで詐欺にあったという方からの相談が多数寄せられています。

 幾つかの変種はありますが、骨組みは大体共通しています。

 先ず、ツイッターなどSNSを介して知り合った方から、コンサートチケットなどを売ってもらうという話になります。

 売り主は買い主に対して「入金が確認されたら商品を発送する。」といいます。

 これに応じて買い主は指示された口座にお金を振り込みます。

 しかし、いつまで経っても目的の商品は送られてきません。

 売り主に問い合わせると、「もう送りました。」などと返信が帰ってきます。

 買い主は食い下がりますが、次第に売り主からの連絡がこなくなって音信不通状態になります。

 ここで買い主が「だまされた!」となります。

 ネットオークションが使われる場合、最初のきっかけの部分がネットオークションになるだけで、後は同じです。

 計画的な詐欺の疑いが濃厚なのですが、この種の詐欺には被害が潜在化しやすい二つの特徴があります。

 一つ目は、被害金額が少ないことです。

 相談事例をみると被害額は押しなべて被害は数万円~十数万円の幅に分布しています。

 悪徳商法一般に言えることですが、悪い人は似たようなことをそこら中でやるので荒稼ぎができます。しかし、個々の被害金額が少額である場合、弁護士を関与させると大抵費用倒れになります。結果、悪徳業者は訴訟リスクを避けながら商売ができることになります。

 二つ目は、相手方の身元が分からないことです。

 訴訟を提起してお金を取り戻すには相手方の氏名・住所が分かっている必要があります。しかし、買い主はSNSを介して知り合っただけの売り主やネットオークションの出品者の身元までは分からないのが普通です。弁護士会を通じて照会するなどの方法で送金先預金口座や電話番号の主まで突き止められることは珍しくありませんが、他人名義の不正に作られた口座や電話が使われていた場合、弁護士であったとしても犯人の氏名・住所を特定するのは困難です。このことも被害が潜在化したまま拡散することに拍車をかけます。

 経済的に割に合わないことを承知した上で弁護士に調査・訴訟を依頼するのも一つの方法だと思います。

ただ、こうした問題に対しては、被害の相談や届出をしたり、告訴したりするなどの方法で警察に対応を求めるのが最も現実的な対応ではないかと思います。犯人が捕まれば、それが被害弁償に繋がることもあるからです。

 この種の事件は単なる債務不履行との区別がつきにくいので、警察としても慎重な対応をとることが珍しくありません。しかし、同じアドレス、同じ預金口座を利用して被害に遭ったという情報が何件も集まれば、それは警察の方に動いてもらうための原動力になります。

告訴には一定のハードルがありますが、当事務所では告訴状の作成などの書類作成業務も行っています。同種の被害に遭い、告訴等をお考えの方は事件としてのご依頼もご検討ください。

(師子角 允彬)

 

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