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2015年8月20日 (木)

お墓の承継者は誰か?いない場合どうするの

少子高齢化社会、核家族化の影響でしょうか。死後事務やお墓に関する相談を受ける機会が多いように思います。今回はお墓の承継に関してよくある悩みをとりあげます。

●お墓の承継者は誰か?
 お墓という性質上、それを建てた方や管理している方自身がそこに入ることが多いですが、その後誰がそれを引き継ぐのかという問題が常に生じます。生前お墓守をしていても自分自身が入った後に誰も引き継いでくれなければ意味がありません。

 この点、民法では以下の通り規定されています。
民法897条
1 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

1項にある「前条」とは、民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」ですから、お墓の承継は相続の対象となるわけではないということです。
もっとも、民法897条1項の後段でも示されているように、被相続人が指定できるとあるので、その限りでは相続に近い部分もあるといえます。それ故に遺言書において「祭祀承継者は〇〇〇とする」と記載する例も多くあります。問題はそのような指定がない場合ですが、民法は「慣習に従って」としています。
「慣習」?何だそれは?と思われる方もいるかもしれません。確かに曖昧です。慣習は文字通り慣習なので、何かに明記されたルールとは異なります。家や土地にもよりますが、いわば何となく代々行ってきた例にのっとりましょうというということです。実際何となく長男、何となく名前を継いでいる親族という家が多いように思います。
ただ、お墓を承継するということはお墓の管理方法について決定する権利を持つということでもありますが、管理費を支払ったり、事実上お寺などから求められるお布施を負担したり、法要をとりしきる負担も負う(お墓の承継者の絶対的義務というわけではないですが)ということです。それに見合う経済的精神的余裕がない方が承継したとしても十分にお墓を守れないということも生じ得ます。その意味でも、できれば被相続人が生前に諸々のバランスを考えて承継者を指定しておくというのがよいでしょう。

●お墓の承継者がいない場合はどうするの?
被相続人の指定や慣習により、承継者が決まればいいですが、現実には子供がいない、いても経済的・物理的に無理、その他諸事情により承継する者がいないということは珍しくありません。民法897条で家庭裁判所が定めるともありますが、承継しようとする者が誰もいない時に職権で決めてくれるわけでもありません。管理の負担を強いることは誰にもできないのです。
この場合、お墓がどうなるのかについては、墓地や霊園の規則によることになります。多くの場合は無縁仏として整理され、最終的にはお墓も撤去され、合葬(共同墓地に入るなど)されることになるでしょう。縁故者(例えば友人など)の立場で、それは忍びないということで、承継を名乗り出ることもできますが、墓地や霊園によっては親族でないことを理由に容易に承諾しないこともあります。いずれにしても交渉が必要です。
また、古いお寺や墓地によっては、そのような規則がないこともあります。その場合はまた「慣習」という曖昧なもので運用されることになりますが、やはり最終的には墓が撤去され、合葬されることが多いでしょう。
ただ、お寺や墓地側としては、この場合お墓の整理、すなわち改葬となるので、墓地、埋葬等に関する法律施行規則第3条に従い、縁故者などに対して、1年以内に申し出るべき旨を官報に掲載するなど所定の手続きを経た上で、自治体の許可を得なければなりません。いうまでもなくこれはお寺や墓地などにとっては負担です。それ故に承継者がどのような人か、きちんと管理してくれるのか、その後はどうなのかということが大きな関心事になってくるわけです。
今は、予め将来に向けた永代供養や合祀の約束をしておく、共同墓地に最初から入れる、負担を軽くするためにロッカー式の納骨堂を利用する等、供養の仕方も多様になっています。無縁になってしまう前に、供養する側とされる側でコミュニケーションをとり、お互いが安心できるような方法について話し合いをすることが何より大事です。

(亀井真紀)

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