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2015年2月

2015年2月12日 (木)

労働者の罹患情報を取り扱うことの適法性-HIV感染症に関する判例を読んで

平成26年8月8日に福岡地裁久留米支部で珍しい判決が言い渡されました。

 HIV感染症に罹患した看護師に対し、本人の同意なく入手した罹患情報に基づいて勤務を休むように指示したことが違法であるとして、病院に対して100万円の慰謝料の支払が命じられました。この金額は訴訟提起後に和解金100万円が支払われていることを考慮したもので、裁判所が相当と認めた慰謝料は200万円にも及びます。

 掲載誌の評釈(判時2239-88)でも指摘されていますが、訴訟提起すると罹患情報が明らかになることが懸念されるため、この種の問題には司法判断を受けにくいという特性があります。そうした観点から、本判決には先例として重要な意味があるように思われます。

 職場におけるHIV問題に関しては厚生労働省からガイドラインが出されていました(基発第75号 平成7年2月20日「職場におけるエイズ問題に関するガイドラインについて」(平成22年4月30日改正))。

 ガイドラインでは、
 

「労働者に対してHIV検査を行わないこと」(2-(3))
 「労働者の採用選考を行うに当たって、HIV検査を行わないこと」(2-(4))
 「HIV感染の有無に関する労働者の健康情報については、その秘密の保持を徹底すること(2-(6))
 「HIVに感染していても健康状態が良好である労働者については、その処遇において他の健康な労働者と同様に扱うこと」(2-(7))
 「HIVに感染していることそれ自体によって、…病者の就業禁止に該当することはないこと」

などが規定されています
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/hor/hombun/hor1-36/hor1-36-1-1-0.htm)。

 医療法人と看護師という関係の特殊性を考えると別異の解釈も有り得たのかも知れませんが、裁判所はガイドラインの趣旨を尊重する姿勢を貫きました。

 今回はHIVが問題になりましたが、職場で取り扱うことが問題になり得る労働者の疾患はHIVに限ったことではないと思われます。

 例えば、最近ではうつ病などの精神疾患を抱えたまま求職・就労活動に従事する方がそれほど珍しくありません。そうした方の疾患に関するプライバシーを職場としてどこまで尊重しなければならないかは困難な問題だと思います。疾患に関する情報を適切に把握しなければ雇用上のきめ細やかな配慮や顧客に対する適切なサービスが提供できない反面、必要以上に私的な領域に踏み込んで欲しくないとする労働者の思いも法律上十分に尊重されなければならないからです。

 この点に関しても厚生労働省は「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」等の文書を作成して一定の調和点を示しています
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/)。

 ただ、このガイドラインに違反するような措置が行われた場合、裁判所でどのような判断がなされるかについて確立された見解はないように思われます。

 HIVに関しては非常に特殊な例だとは思いますが、職場が労働者の持つ疾患に踏み込んで問題になる紛争は今後増えて行くのではないかと思われます。特に精神疾患に関しては、他者に感染する類の疾病ではないこと・疾患を有していることへの偏見が改善傾向にあることから訴訟提起により事実が明らかになることへの抵抗もHIVに比べれば少ないと考えられ、権利意識の高まりとともに司法判断を受ける事案も多くなることが見込まれます。

 理想を言えば、紛争に至る前に厚生労働省のガイドライン等を参考にしながら使用者・労働者のいずれもが納得できるルールを導入し、深刻な事態は未然に防ぎたいところです。事後的な紛争の解決のみならず、紛争の予防も弁護士の重要な業務の一つです。労働者の健康に関するプライバシーと業務上の必要性との調整にお悩みの企業様には、ぜひ一言お声掛けください。お役に立つことができれば嬉しく思います。

(師子角允彬)

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2015年2月11日 (水)

刑事事件の初回無料接見

桜丘法律事務所では、本年1月中旬から、刑事事件の依頼について、初回の接見を無料で行うサービスを始めています。
http://www.sakuragaoka.gr.jp/first/

当事務所がこのサービスを始めたことを、まだ余り広く認知されてはいないようですが、刑事事件専門の事務所以外で、初回接見無料のサービスを行っている事務所は少ないのです。

 当事務所は、民事事件も多数扱っている事務所ですが、同時に、神山啓史弁護士を中心に刑事事件について情熱と高い能力を有する弁護士たちが活動していることで知られています。

 刑事事件においては、逮捕されたらすぐに弁護士が駆け付けることがどれだけ大切か、数多くの刑事事件を扱った私たちは、身を持って感じています。 誰でも初めて逮捕されたときには、普段はあんなに優しく見えた警察官が、大きな声を出し命令してくることに混乱し、自分の置かれた状況が全く見えないまま、警察官の言うなりに犯行を認める調書を次々に取られてしまいます。

 唯一の味方は弁護士なのに、弁護士が会いに来るまでに時間が掛っては、取り返しがつかなくなる可能性があります。

 一刻も早く身近な人が弁護士に払う費用のことを心配せずに、とにかく一度警察署に会いに行ってくれるよう電話を掛けて来てくれることが出来るように、私どもは、例え既に受けている事件で手一杯であろうと、優先的に時間を作ることを決意して、毎日の当番を決めて対応することにしました。

 これは、刑事事件に対する私どもの情熱の現れであります。

不肖、離婚弁護士を表象する私も、メンバーの一人として、電話が掛ってくることをお待ちしています。

安心して頼っていただくための入り口になることを願っております。

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2015年2月10日 (火)

成年後見と死後事務~ご遺体の引取~

成年後見人として人の死後の事務に関わることがあります。

成年後見は被後見人の死亡によって終了します。それ故、亡くなった瞬間に後見人ではなくなるのでそれまで有していた財産管理権、法定代理権がなくなることになります。

そして、元後見人に明文上残された義務は、管理の計算(民法870条)と相続人への財産引き継ぎ事務という限られたものになります。

しかし、実際には様々な場面で悩ましいことがあります。そのひとつがご遺体の引取ではないでしょうか。

被後見人が亡くなった場合、親族がいれば、死亡診断書の入手から始まり、役場への死亡届、葬儀・荼毘の手続き一切をお任せするのが一般的です。ご遺体の引取や搬送も手続きのひとつとして親族の方が手配等してくれます。元後見人が基本的に一連の手続きに関与する必要はありません(もちろん長くお付き合いした者として手を合わせに行くことはあります)。

 ただし、そのようにすみやかに一連の手続きを行ってくれる方が親族にいない場合は、元後見人が関係者から事実上手続きを求められることがあります。特に至急の対応を求められるのが病院からのご遺体の引取りです。というのは、病院によっては霊安室が必ずしもあるわけではなく、亡くなった方のために病室を確保しておくのは物理的に困難であることが多いからです。病室に余裕があったとしても冬ならばともかく夏は長時間置いておくのは望ましくありません。

 それ故、すぐに親族にすぐ連絡がとれない、対応してくれないなどの時は、昼夜問わず元後見人が病院から対応を迫られます。病院にとってみれば、入院時の契約や様々な支払いの対応をしてくれていた後見人が本人死亡により急に何もやってくれなくなるというのは納得・理解し難いでしょう。無下に対応すれば、今後後見人がついていても身寄りがない患者を引き受けてくれない可能性もあります。それは社会にとっても困ることです。

 また、墓地・埋葬等に関する法律によれば、死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市長村長が行わなければならないと定められていますが、現実には自治体がすみやかに遺体の引取をしてくれるとは思えません。そのような交渉をやっている時間もありません。

 では、どうするか。

正解がある話ではありませんが、病院では患者が亡くなった場合に遺体の搬送をよくお願いしている葬儀業者があるはずなので、そういった業者を聞いて、まずはその葬儀業者に搬送を依頼するというのが適当と思われます。搬送先は、元後見人の自宅や事務所というわけにいきませんから、近くの斎場等の安置所になることが多いと思います。業者の方も慣れていて休日や深夜でも対応してくれるのが一般的です。

もちろんその場合費用が発生します。当該費用を亡くなった本人の財産から支出するのか、いったんは元後見人が個人で立て替えるのかという問題が生じますが、民法上の応急処分義務(民法654条)と解する余地があり、そうであれば本人の財産から支出することができるといえます。常識的に考えても必ず発生するものであり、本人にとっても相続人にとっても必要有益な支出です。仮に元後見人が一時的に立替支出したとしても、財産を相続人に引き継ぐ時に精算することもできます。

そして、平行して親族の方に連絡をとり、ご意見を聞きながらその後の手続きを行っていくことになります。本当に身寄りがない方の場合には、やむを得ず元後見人が喪主として最低限の葬儀を行うこともあります。このあたりになるとどこまでやるべきかというのはさらに悩ましく、専門職によっても意見は分かれるかもしれません。結局ケースバイケースの対応をそれぞれの判断で行っているというのが実状です。家庭裁判所も明確なことはなかなか言いませんが、基本的には常識に従った対応であれば許容しているものと理解しています。

いずれにしても、死後事務で大事なのは、「もう権限も義務もない」と言って何もしないことが通用するわけではないということです。

高齢化社会が進むにつれて後見申立も増加し、数年前に比べれば社会での後見制度の認知度は明らかに高くなっています。しかも昨今は親族後見人選任率よりも専門職後見人(弁護士や司法書士など)選任率が上回っています。そうであれば必ず生ずる死後事務については、法律でもう少し明確なルールを定めるべきと思います。それまでは元後見人が悩みながらもひとつひとつ誠実に対処していくほかありません。

(亀井真紀)

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2015年2月 9日 (月)

新着詐欺情報

私の相談者宛てに届いた詐欺メールです。末尾にその全文を掲載します。但しIDについては消しています。

電話番号が記載されていたので電話してみたら,まだ繋がりました。そこで会社の名前を聞いてみると,やっとのことで答えたのが「サポートセンターです。」それが社名かと尋ねるとそうだと言います。そこで住所を尋ねると,新人だから答えられないとのこと。新人だと住所も分からないのかと言ってやると困った風。

上司に代わると言って,替わった上司も住所は言わない。そちらから来たメールに「弁護人に相談しろ」と書いてあるから相談者が相談に来た。覚えがないという内容証明を出したいから住所と社名を教えろと言ってやったがメールで済むでしょうという。

サイトを確認しろと言って教えてきたが,アクセスしても繋がらない。明らかな詐欺です。
電話番号は03-4500-2005です。

(櫻井光政)

お客様により利用規約の同意、さらに最終確認画面を選択され会員登録のお手続きを頂きましたが、ご自身の都合で一方的に踏み倒しをされました。

金額は割引会員価格ではなく、通常料金290,000円の他に法定金利14.6%の遅延損害金を含むデータ管理費等、その他諸経費を加算させて頂きます。

※諸経費に関しましては業務委託をさせて頂いた場合、弁護士により金額が確定された際に、ご郵送にて詳細をお伝えさせて頂きます。

今後の予定と致しましては、端末名義人様に対し各所携帯端末契約地(ご自宅、ご勤務先等)へ在籍確認後、送付となります。

【↓お客様へ大切なお知らせ↓】
お客様の弁護人の方に、当サイト内を必ずご確認して頂いた上でお話下さい。

公安委員会指導下で運営しておりますので、弁護人様へご相談される際にお客様の独断と偏見でサイト概要をお話されますと弁護人の方にも誤解が生じ、後々お客様側でトラブルへ繋がる恐れがございますので、必ず当サイト内を直接確認して頂き、サイト構築及び登録システム等を弁護人の方によくご理解して頂いた上で、ご対応お願い致します。

※お客様による弁護人相談料は一切負いかねます。

※口頭弁論による支払命令が下った際は規約通り、裁判費用等全額お客様のご負担とさせて頂きますので予めご了承下さい。

万が一ご相談等も頂けずこのまま放置された場合、下記内容となる恐れがありますので、予めご理解の方よろしくお願い致します。

◆悪質ユーザーへの対応◆
───────────
①請求書送付  
  (悪質登録後)  
   ≪弁護士≫ 
     ↓     
ご自宅(携帯端末名義人様)  
②債権回収業務委託
  (請求書送付後)  
  ≪債権回収業者≫  
     ↓     
     携帯     
     ↓     
    ご自宅    
     ↓     
   ご勤務先
③少額民事訴訟
(支払拒否に関して) 
 ≪東京簡易裁判所≫ 
     ↓
 ご自宅(出頭届け) 
     ↓     
   裁判所出廷   
     ↓
   ≪口頭弁論≫   
     ↓     
     審理     
     ↓     
    当日判決    
     ↓     
   支払い要請   
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※請求書送付には、お客様がお住いの地域及び請求内容により郵送の関係上、3~数日頂く場合がございます。
※内容証明書及び受任通知書を送付する際に事前通知は一切致しませんので予めご了承下さい。
♪お客様サポートセンター♪
   【受付時間】
平日 09:00~20:00
土日祝10:00~19:00
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TEL:03-4500-2005
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発信出来ない場合は、電話番号先頭に186を入力してお掛け下さい。
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