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2014年8月21日 (木)

土砂災害に遭われた方や、支援者の方へ

★一部修正,ダウンロードPDFファイル修正(平成26年8月26日)
★本ブログ記事をPDF化しました。こちらからダウンロードできます→ダウンロード


弁護士の小口です。連日、広島の土砂災害について大きく報じられています。東日本大震災発生当時被災地にいた私としては他人ごとではありません。正直なところ、支援のために広島に飛んでいきたくていてもたってもいられません。

広島の件以外にも、この夏は豪雨による災害が続いています。まずは、被災者の方にお見舞いを申し上げると共に、救助活動にあたられている方々に敬意を表します。

さて、まだ被害の全ぼうがわからない中なので、暫定的な部分もありますが、被災者の方に法律関係の情報提供をしたいと思います(基本的に広島のケースを想定して書いていますが、他の災害にもほとんどのものはあてはまると思います)。

まず、役に立つのは岩手弁護士会ニュースです。これは、東日本大震災後岩手弁護士会が作成した被災者向けのニュースです(私自身、当時被災地である岩手県宮古市におりました)。 
http://www.iwateba.jp/wp-content/uploads/2014/04/news01_02.pdf

1 仮設住宅等
仮設住宅が建つのか建たないのかは、被害の全体像と、空いている公営住宅の数や、親族の家に避難する世帯がどのぐらいになるかによって決まってくると思います。

参考になりそうなのは、昨年10月の台風26号による伊豆大島の土砂災害です。このときは、当初空いていた公営住宅(新築工事が終わって入居前の物件)に一度避難し、仮設住宅を建てるか建てないかを検討した上で、最終的に仮設住宅が建ちました。

今回の場合も、空いている公営住宅を供与する方法か、どこかに仮設住宅を建てる方法か、いずれかの方法で、被災者の方に仮の住まいが提供されることになると思います。

2 被災者支援制度

被災者支援制度の全体像は、内閣府のこの冊子が非常に便利です。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf

(1) 災害弔慰金
災害により亡くなられた方のご遺族には、災害弔慰金(500万円または250万円)が支給されることになります(制度の詳細については、上記内閣府の冊子をご覧ください)。

(2) 被災者生活再建支援金
住んでいた建物に一定以上の被害を受けた世帯(賃貸の場合借りていた世帯)に、最大300万円の現金が支給される、被災者生活再建支援法という法律があります。

広島の土砂災害については、現時点では被災者生活再建支援法が適用されていません。被害の全貌が明らかになると共に、数日のうちに正式に適用の有無が決まると思いますが、報道をみる限り適用される可能性が相当高いと思います(適用された場合には、内閣府防災のホームページで発表されます)。


★2014年8月22日午前1時追記
8月21日19時の発表で,20日付で被災者生活再建支援法が適用されました。
http://www.bousai.go.jp/kohou/oshirase/pdf/20140821-8kisya.pdf


適用された場合には、一定以上の被害を受けた場合や、建物を壊さざるを得ない場合に、世帯辺り最大300万円の被災者生活再建支援金が支給されます。詳しくはリンク先をご覧ください。
http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/080818gaiyou.pdf

・罹災(りさい)証明
被災者生活再建支援金は、後ほど市町村から発行されることになる罹災証明の記載によって、支給されるかどうか、されるとしても金額が決まってきます。

明らかに全壊の場合は問題になりませんが、被害状況によっては、罹災証明に記載された認定に疑問を抱かれるケースがでてくると思います。もしそうなったときは、最寄りの弁護士会に相談するようにしてください(もちろん、事務所にお越しいただけるのであれば私が相談対応させていただきます)。

(3) 二重ローン
報道を見る限り、比較的多額の住宅ローンを抱えた方が多い地域で土砂災害が発生してしまったようです。土砂で家が流れてしまったがローンは残る、という、俗に言う二重ローン問題が、またもや起きてしまいそうです。もしそのような事態になってしまったら、金融機関と何らかの合意をする前に、ぜひ一度最寄りの弁護士会にご相談ください。

3 保険
災害後、気になることといえば、保険の適用があるかないかです。まず、加入していた保険会社がわからないときは、以下のリンク先にお問い合わせください。
損保 → http://www.sonpo.or.jp/useful/icrcd/index.html
生保 → http://www.hoken-saigai.com/

なお、日本損害保険協会に、今回の広島の災害用ページが開設されていました。
http://www.sonpo.or.jp/news/information/2014/1408_09.html

各種保険会社の、問合せ一覧はこちら http://www.sonpo.or.jp/useful/soudan/each/
このサイトの番号に電話をすると、下記の「水災」や「水害」が対象となっている保険か、そうでないかがわかってくると思います。

(1) 家について
土砂災害は、保険約款上「水災」にあたるとされており、火災保険の商品内容によって、保険の対象になったり、対象にならなかったりするのが一般的な状況です。
このサイトが参考になります  http://allabout.co.jp/gm/gc/22873/

総合保険という商品名では対象になっていることが多く、総合保険が別ラインナップである場合の火災保険では対象になっていないことが多い、という傾向にあるようですが、結局は保険契約がどうだったかで決まるので、その確認が必要、ということになります。

うまく確認できないときや、保険会社の説明に納得がいかないときは、弁護士にご相談ください。

(2) 車について
車については、まず車両保険に加入していたかどうかです。車両保険に加入していない場合は、残念ながら原則として保険料の支払いは受けられません。

車両保険に加入していた場合、あとは契約内容次第、ということになります。
いくつかの保険会社を見る限り、地震や津波と違って、安い方のタイプでも対象に含まれていることが多いようですが、「自分の分は?」というときには、やはり契約内容の確認が必要となってきます。お手数ですが各保険会社にお問い合わせください。

こちらも、うまくできないときや、保険会社の説明に納得がいかないときは、弁護士にご相談ください。

(小口幸人)


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