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2014年6月19日 (木)

児童虐待

先月、私宛に「HELP・HELP・HELP」という題名のメールが飛び込んで来ました。最近外国からの迷惑メールが多いので、いつものように削除しようとして、ふと内容を読み出したところ、日本に住んでいる外国人からのメールでした。

 自分の妻が子供を虐待していて、自分では止められない。警察には、何度も説明しているのだが、逆に自分が虐待していると思われているようだという訴えです。 文面からは、どうも言葉が障害になって、子供を保護できないように見えました。助けてくれる弁護士を探している。なんとか助けてくれという悲痛な訴えでした。

 調べると、確かにその町には弁護士はいません。少し離れたところには何人か弁護士はいるようなので、電話をしてお願いをしてみましたが、英語が話せないから無理だと断られました。私だって英語が得意という訳ではなく、片言の英語で手振りや図を書いたりしてコミュニケーションが取れるだけですが、外国人だからといって、事件を断らないけどなあ、忙しいのかなあ。

 うーん、困った。自分が行くしかないか、・・・幸い近くの別の県に知り合いの弁護士がいたので、頼みこんで、一緒に行ってもらうことにして、東京から片道6時間電車に乗って現地に行きました。

 外国人は、事件に巻き込まれると、自分が外国人だから差別されているのだと強く感じるようです。なぜ、そういう目に会うのかを誰も説明してくれないので、そう考えてしまうのでしょう。外国人だからお金を払ってもらえない、外国人だから裁判では勝てない、外国人だから親権をとれない、などなどの言葉を良く聞きます。

 本当は、現在の日本の制度はかなりの分野で外国人を差別しないようになっています。裁判もできます。そう、制度は出来ているのです。 

 さて、本論の児童虐待ですが、警察署に行き、女性センターに行き、児童相談所の話しを聞くと、子供はとりあえず無事に保護されているようです(ごめんなさい、詳しいことはここでは書けません。)。

 心配してわざわざ遠くまで電車賃をかけて来たのだからと、子供の安全を守ってくれるように関係機関に良くお願いをしました。一方、父親には、日本の制度を説明して、子供の安全は守られるようになっていること、そして、外国人だからという理由で子供と引き離されたわけではないことを説明しました。彼はしぶしぶ納得し、子供に渡す手紙を準備し、それを子供に渡すように警察署にお願いしました。言葉が通じないとこれだけのことをするのも外国人は一人ではできません。

 日本人にとっても、行政や司法の手続は分りにくいものです。
 ましてや外国人は異なる文化の中で育っているのですから、余計に理解できません。短絡的に外国人だから差別されているという結論に至り、本来すべき適切な対応ができません。

 これからの日本には、外国人がもっと増えるでしょう、政府は、外国人労働者を日本の労働力として利用しようと計画しています。利用するだけ利用して、その権利は保護しないということがあってはなりません。

 外国人の居住者の権利擁護のために働く弁護士が求められていることを痛感しました。

(神山昌子)

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