« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月

2014年6月26日 (木)

死刑に反対

 6月26日,大阪拘置所において1名の死刑囚の死刑が執行されました。私は,安倍内閣発足後9人目となる今回の死刑執行に抗議の意を表明します。

 私が死刑執行に反対するのは,死刑囚が犯した罪の大きさを弁えていないからでもありませんし,死刑囚に同情を寄せているからでもありません。現代国家の刑罰,それも最高刑が,単純に憎悪を叩きつけるような刑罰であってはならないと考えるからです。

 かつてハムラビ法典は「目には目」「歯には歯」という応報刑を定めました。しかしそれらは歴史が進む中で野蛮で残忍な行為として否定され,「命には命」という死刑だけが最後まで残りました。そしてそれも,ヨーロッパの先進国では非人道的な刑罰だとして否定されるに至りました。

 確かに刑罰の主要な目的に応報がありますが,それは専ら身体を拘束して自由を奪うことによって実現されるべきだと考えられるようになりました。そして今日の刑罰は,受刑者の改善更生に重きを置かれるようになりました。まだまだ十分とは言えませんが,刑務所などの矯正施設も様々な取組をするようになって来ています。

 これまで様々な点で範としてきた国々がこぞって捨て去り,しかも我が国に対しても捨てるように求めている制度を維持するには相応の理由が必要だと思いますが,死刑に関してそのような理由があるとは私は思いません。

 被害者の感情に対する配慮を理由にする存置論があります。被害者の中には,せめて犯人を死刑にしてほしいと思う方がいるのは承知していますし,当事者であればそのような気持ちになることも当然だろうと思います。実際,私自身,残忍な犯罪などに接するとそのような行為をした犯人などは「こんな奴は死んだ方がいい」と思うことがよくあります。ただ,そのことと国家が正義の名のもとに死刑を執行するのは全く別のことだと思っています。仇討ちや私刑を許さず,国家が刑罰権を独占するということは,そもそも犯罪者を被害者や群衆の手に委ねないということだからです。

 また法は,現実にも遺族の意向だけを考えているわけではありません。例えば薬物を吸引して自動車を運転して人を死傷させた事件が立て続けに起きています。犯人はとんでもない大ばか者です。その被害に遭われたご遺族の無念さと,強盗殺人事件の被害に遭われたご遺族の無念さとでは何の変わりもないでしょう。それでも法は,無謀な運転で人をはねて死なせた被告人を死刑にすることはありません。ならば強盗殺人犯も,必ず死刑にしなければ遺族を軽視しているのだということにはならないように思います。

 犯罪被害者に対しては,十分な経済的保障と,精神面でのケアを行う体制を作ることで報いるべきです。それをせぬまま,ご遺族に憎悪の炎を燃やし続けさせることはそれ自体ご遺族にとっても苦しいことだと思います。そして,犯人を死刑にして殺しさえすれば国の役割は終了。国はやるべきことはやりました,という態度は,実は極めて安上がりな被害者対策であり,被害者に対する支援としては極めて不十分なものだと思います。被害者支援を,死刑でごまかすな,と言いたいです。

 21世紀の日本は,どんな凶悪犯罪者であっても,英知を結集した教育の力でじっくりと時間を掛ければきっと改善更生させることができる,そういう行刑,矯正を誇ることができる国でありたいと思います。

(櫻井光政)

2014年6月19日 (木)

児童虐待

先月、私宛に「HELP・HELP・HELP」という題名のメールが飛び込んで来ました。最近外国からの迷惑メールが多いので、いつものように削除しようとして、ふと内容を読み出したところ、日本に住んでいる外国人からのメールでした。

 自分の妻が子供を虐待していて、自分では止められない。警察には、何度も説明しているのだが、逆に自分が虐待していると思われているようだという訴えです。 文面からは、どうも言葉が障害になって、子供を保護できないように見えました。助けてくれる弁護士を探している。なんとか助けてくれという悲痛な訴えでした。

 調べると、確かにその町には弁護士はいません。少し離れたところには何人か弁護士はいるようなので、電話をしてお願いをしてみましたが、英語が話せないから無理だと断られました。私だって英語が得意という訳ではなく、片言の英語で手振りや図を書いたりしてコミュニケーションが取れるだけですが、外国人だからといって、事件を断らないけどなあ、忙しいのかなあ。

 うーん、困った。自分が行くしかないか、・・・幸い近くの別の県に知り合いの弁護士がいたので、頼みこんで、一緒に行ってもらうことにして、東京から片道6時間電車に乗って現地に行きました。

 外国人は、事件に巻き込まれると、自分が外国人だから差別されているのだと強く感じるようです。なぜ、そういう目に会うのかを誰も説明してくれないので、そう考えてしまうのでしょう。外国人だからお金を払ってもらえない、外国人だから裁判では勝てない、外国人だから親権をとれない、などなどの言葉を良く聞きます。

 本当は、現在の日本の制度はかなりの分野で外国人を差別しないようになっています。裁判もできます。そう、制度は出来ているのです。 

 さて、本論の児童虐待ですが、警察署に行き、女性センターに行き、児童相談所の話しを聞くと、子供はとりあえず無事に保護されているようです(ごめんなさい、詳しいことはここでは書けません。)。

 心配してわざわざ遠くまで電車賃をかけて来たのだからと、子供の安全を守ってくれるように関係機関に良くお願いをしました。一方、父親には、日本の制度を説明して、子供の安全は守られるようになっていること、そして、外国人だからという理由で子供と引き離されたわけではないことを説明しました。彼はしぶしぶ納得し、子供に渡す手紙を準備し、それを子供に渡すように警察署にお願いしました。言葉が通じないとこれだけのことをするのも外国人は一人ではできません。

 日本人にとっても、行政や司法の手続は分りにくいものです。
 ましてや外国人は異なる文化の中で育っているのですから、余計に理解できません。短絡的に外国人だから差別されているという結論に至り、本来すべき適切な対応ができません。

 これからの日本には、外国人がもっと増えるでしょう、政府は、外国人労働者を日本の労働力として利用しようと計画しています。利用するだけ利用して、その権利は保護しないということがあってはなりません。

 外国人の居住者の権利擁護のために働く弁護士が求められていることを痛感しました。

(神山昌子)

桜丘法律事務所のHPはこちら。

刑事事件のご相談・ご依頼はこちらへ。

ウェブ上の簡易な無料相談もやっています。こちらへどうぞ。

2014年6月16日 (月)

優れた弁護士の探し方

最近、「刑事に強い」「刑事専門」などと大々的にうたって活動している法律事務所をよく目にします。その中には、相場を明らかに逸脱した報酬を請求している事務所であったり、単に依頼を多く受けたいだけの経験の浅い弁護士だったり、刑事専門と表示しておきながら別のホームページでは離婚専門と表示したりしている事務所が、かなりの数含まれています。

 刑事以外の分野でも、離婚専門や相続専門、交通事故専門などと表示している事務所も増えていますが、インターネットの検索上位に表示させるためにそうしているだけであって、「専門」とうたっておきながら、実はその分野以外の業務も扱っている事務所も、かなりの数存在しています。

 こういう、優良誤認表示まがいのことを平気でしている不誠実な法律事務所が乱立しているため、一般の方が、ちゃんと仕事のできる弁護士、優れた弁護士を探すのは、ますます難しくなってきています。

 さらに、広告費を払うことで作成されている雑誌記事やブログ記事、広告費等とセットの番組出演まであるので、例えばインターネットを駆使して慎重に慎重に弁護士を探しても、結局広告費を多くつぎ込んでいる弁護士に辿り着いてしまうことが起きています。

 このような状況ですので、一般の方が、優れた弁護士を探すのは難しいのですが、刑事弁護については、一ついい方法を思いつきましたので紹介させていただきます。

 現代人文社が出している「季刊刑事弁護」という雑誌をご存知でしょうか。ほとんどの方はご存知ないと思いますが、刑事弁護に熱心に取り組んでいる弁護士の多くが定期購読している、要するに弁護士業界のマニアックな雑誌です。裁判官や検察官も目をとおしている、という話しも耳にします。

 一般の方が見ても、あまり面白くないであろう専門的な記事が載っているこの雑誌ですが、この雑誌で取り上げられている弁護士や、この雑誌で特集等を執筆している弁護士の多くは、当事務所の神山啓史弁護士はじめ、腕のある弁護士から見て優れた活動をしている弁護士ですので、ここで取り上げられている弁護士は誰か、あるいはその弁護士が所属している法律事務所は何という事務所か、その事務所には他にはどんな弁護士が所属しているか、という視点で弁護士を探すという方法が、優れた弁護士に辿り着く方法の一つでしょう。

 他にも似たような発想としては、別の分野の専門誌に登場している弁護士、講演や講師を務めている弁護士、その分野の日本弁護士連合会や弁護士会の委員会に所属している弁護士、○○弁護団に所属している弁護士、という視点で探すという方法が考えられるでしょう。

 法律事務所は、何か特殊なことをしていたり、多額の利益を稼いでいたりしなければ、そこまで多額の広告宣伝費をかけられない業態です(日弁連広報室の仕事で、様々な広告宣伝費の例を見る度にそう感じています)。現在の弁護士選びは、相当慎重に選ばないと間違った選択をしてしまう状態ですので、この記事が正しい選択をするための一助になれば幸いです。

(小口幸人)

桜丘法律事務所のHPはこちら。

刑事事件のご相談・ご依頼はこちらへ。

ウェブ上の簡易な無料相談もやっています。こちらへどうぞ。

2014年6月 4日 (水)

手の込んだ詐欺

 ツイッターを見ていたら手の込んだ詐欺の情報があったので詳しく教えてもらいました。

 最初に「有料サイトへの電子通信料3910000円を今週中に振り込んで貰わないとご自宅の差し押さえを執行致します」というメールが来るのだそうです。それにしても391万円とはずいぶん欲張りですが,ここはメールを受信した人をビビらせるために敢えて高い金額を設定しているようです。 

 続いて「悪徳業者から高額請求の督促メール、差し押さえの通知が来てませんか?対処法をお教えしますのでご連絡下さい」というメールが来ます。あまり間を置くと別の所に相談されてしまうと思うのか,ほぼ「セット」というタイミングで届くのだそうです。

 でもって発信者は「危機管理局」「情報課」だそうです。アドレスが

bgudghfksd@byxyeta7j3.co

だって。正規の教育をきちんと受けていない人が背伸びして考えたような名称と,一見して機械でランダムに付けたようなアドレスです。

 そして,半信半疑で何のアクションもしないでいると追い打ちが・・・。
債権回収代行アームズというところから,「近日中に差押えに行く」というメールが来るのだそうです。

 ちなみに,債権回収代行アームズというのはネットで調べると法務省が許可した債権回収業者の中には存在せず,いかがわしい詐欺会社であることがわかります。また,「被害救済」を謳う各種の団体が同社を詐欺会社だと断じています。

 以上から,391万円を請求してきた会社に連絡しても,「危機管理局」に連絡しても,債権回収アームズに連絡しても,詐欺師にあなたの連絡先を教えることになります。

 ただ,私の心配はそれだけに止まりません。アームズをネット検索したときにすぐに登場する「被害救済」団体。これらの活動はその内容から弁護士法で禁じられた非弁活動を含むと思われます。もしかしたら,これらの団体も,上記の詐欺会社などとつながっているのではないか,などと考えたりしています。

 とにかく,お金は慌てて払わないこと。変だと思ったら実際に弁護士に相談することです。最近は当事務所に限らずネットでの相談を受け付ける事務所も多いですから,積極的に利用されると良いでしょう。

(櫻井光政)

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ