弁護士も大変です。
やっと、大好きなスキーに行きました。予定をして日を空けておいても、他の日が一杯になれば、結局、空けて置いたはずの日に裁判の期日や、打合せの約束が入ってしまいます。なので、延び延びになっていた計画でした。
青空の下、スキー場の頂上ロッジで、深呼吸をしていたら、肌身離さず持ち歩いている携帯が鳴りました。「はい」「先生、僕の執行猶予何年だった?」「えっと、君は、私が弁護した人かな?」「そうです、3年前」
困った、執行猶予が何年かまで全部は覚えていない。結局、事務所の保管倉庫の中に記録が残っているはずなので、戻ってから調べて上げることになりました。それから、借金の話しになり、債務整理の相談に事務所に来るという約束をしました。
でも、来るかしら、3年前に、自分の刑事裁判の日に来なかった人です。そうだ、彼だ。
被告人が来ないと弁護士は大変です。裁判官に「なぜ来てないのですか」と責められて、上から下まで汗びっしょり、・・・「来ると約束したのですが」・・・「次は、家に迎えに行って、一緒に来ます。」
後で聞くと、裁判が怖くて怖くて堪らないので、お酒を飲んでしまって朝起きることが出来なかったそうです。気の小さい人なんです。 やっぱり今度の約束も来ないかもしれません。
弁護士になってから、事件から解放される日は1日もありません。いつでも、事件のことを考えています。何か良い解決方法はないのか、どういう言い方をすれば、納得して貰えるだろうか。また、どこかに遊びに行っても、携帯が通じてしまう昨今、依頼人からの連絡はどこでも受けることが出来ます。情報社会で、なんでもスピーディに答えが手に入る現在では、いつでも相談出来るということが、依頼者の安心のために必要なことのように思います。
だから、弁護士の方も、自分の携帯が通じなかったり、メールが読めないという場所にいると、留守の間に何かのっぴきならないことが発生しているのではないかと心配になって落ち着きません。
弁護士の休暇は、弁護士が早死にしないために絶対に必要なことなのですが、
なかなか難しいことのようです。
(神山昌子)
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