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2014年1月14日 (火)

元勤務先からの国家試験の受験妨害(実務経験を証明してくれない)

資格試験の中には、一定の実務経験のあることで受験資格が与えられるものがあります。

介護福祉士もその中の一つです。福祉系高校や養成施設を出ていない場合、介護福祉士国家試験を受験するには3年以上の実務経験が必要になります。

 実務経験を証明する書類は勤務先に書いてもらうのが一般です。複数の事業所での実務経験を合算して所定の期間を満たす場合には、それぞれの勤務先に証明書を書いてもらうことになります。

 現在の勤務先が実務経験を証明する書類の作成を拒むことはあまりありません。労働者のスキルアップは事業者のメリットにも繋がるからです。

しかし、過去の勤務先になると話が違ってきます。過去の勤務先に実務経験を証明する書類の作成を依頼したところ、これを拒否されたという例が相当数あるようです。私自身も介護福祉士試験の受験生から同様の相談を受けたことがあります。近時、辞めさせてくれない会社が問題になっていますが、必ずしも円満に退職できなかった場合、こうしたトラブルに陥ることが多いようです。

 当然のことながら、事業者が嫌がらせをする目的で実務経験を証明する書類の作成を拒むことは違法です。

 労働基準法22条1項は「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」と規定しています。

 見解に議論はあるようですが、実務経験証明書は労働基準法22条1項の「証明書」に含まれるという見解も有力に唱えられています。私が相談を受けた事案でも、労働基準監督署に行政指導してもらうよう助言したところ、実務経験証明書の発行を受けられたとのことでした。電話で確認したところ、当該労働基準監督署は実務経験証明書を労働委基準法22条1項の「証明書」に含まれるという解釈を採用しているとのことでした。日本全国で同じ運用がされているのかまでは分かりませんが、少なくとも事業者に行政指導をしてくれる労働基準監督署は確かに存在します。

 介護福祉士試験で実務経験証明書が得られない場合、「給与明細書、雇用契約書、介護サービスの提供に係る記録書類等により、業務従事期間等を証明することで差し支えない」とされています(内閣衆質168第202号 平成19年11月16日 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 町村信孝
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a168202.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168202.htm)。

実際の試験でも国会答弁を受けて比較的柔軟な取り扱いがされているようです。そういう意味において実務経験証明書は必須の書類ではありません。

 しかし、書類の発行を円滑に受けられるのであれば、それに越したことはありません。

 同じような問題でお困りの方は、労働基準監督署なりお近くの法律事務所なりに相談してみて頂けるとよろしいかと思います。

(師子角 允彬)


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