プロの仕事
プロの仕事をする,私が日々意識している課題です。
かなり前の話になりますが,とある報道機関の記者から「若手弁護士の苦しい現実」というテーマでの取材申込がありました。(テーマの是非はさておき)何か参考になる話ができれば良いなと思い快く取材を受けたのですが,取材対象者である私について記者が何のリサーチもしてきておらず,私の所属事務所がどんな事務所なのか,どんな仕事をしているのかについて全く知りませんでした。
私は何だかがっかりしたのと同時に寂しくもありました。取材においては事務所の説明から始めざるを得ず,しかも私は期待に添った答えもできず,時だけが無情に過ぎていくというやるせない時間を過ごしました。
素人ながらの意見ですが,記者にとって記事を書くための取材とは,弁護士にとって書面の前提となる事実確認と同じくらいに大切なものだと思います。そうだとすると,弁護士が依頼者からお話を窺うときと同様に,取材対象者について前提として調べておくべき情報については取得し理解しておくのはプロとして当然の仕事ではないでしょうか。
と色々と勝手なことを思いながら私は自分が「プロの仕事」として常に誇りを持てる仕事をしているか,と自問自答するのです。依頼者に対して,相手方に対して,裁判所に対して,私はプロとしての仕事をしているか。法的知識のアップデートはもちろんのこと,世の中の動きの把握,話の聴き方や挨拶の仕方など所作に関することまで「プロ」としての仕事をしているか。振り返ってみると日々反省することも多いのが現実です。しかし,一つ一つ気付いて同じことを繰り返さないように精進していく他ありません。
常に自分が「プロ」であることを自覚しなければいけないと,報道のプロの仕事に触れて改めて思いました。
(國松里美・法テラス千葉赴任中)
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