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2014年1月15日 (水)

「永遠のゼロ」を観ました

映画「永遠のゼロ」を観ました。日本の戦争映画は基本的に観ないのですが、観客動員数が多く、好意的な評価が多いことと、これに対して宮崎駿監督が批判的な評価をしているらしいという報道に接したことから、自分の目で確かめてみようと思いました。

念のため、予めお断りしますが、私は映画通でもありません。また、太平洋戦争やそれに先立つ日中戦争は起こしたことが間違いだと思っていますし、百歩、千歩、あるいは一万歩譲って起こしたことが仕方なかったとしても、その戦争を指揮した指導部の無能ぶりは本当に腹立たしいものだと思っています。その故もあって、日本の戦争映画は基本的に観ないようにしているのです。だから、映画に造詣の深い人の映画評ではなく、そういう考えを持つ個人の感想であることを予めお断りする次第です。

その上での感想は、一言で述べれば「作りすぎた、エンターテインメントとしての戦争映画」という印象でした。娯楽映画としてはそこそこ面白かったですが、若者が祖父の生い立ちを探るという迫り方も、祖父にまつわる様々なエピソードも、どちらかというとステレオタイプな印象を受けましたし、それぞれのエピソードの内容のいくつかが「作りすぎ」という印象でやや鼻白んだりしました。戦争を美化しているとは思いませんでしたが、これを見て非戦や反戦の気持を持つようになる人もいないだろうと思いました。ただ、それは、娯楽映画なので、それで良いのではないかと思います。

それでも何度も涙があふれました。それは、70年後の今日から見れば、あんなに馬鹿げた、あんなに無能な指揮官に指揮された戦争に、若者たちの命が消費されたことの悔しさ、気の毒さからです。指導者が、人の命を大切と思えば、あれほどの犠牲を余儀なくされる前に降伏の途を選んだはずだと思うからです。

私の祖父は海軍の下士官(兵曹長)でしたが、昭和19年2月の米軍によるトラック島空襲で乗務艦(潜水母艦平安丸)を撃沈され、総艦退避命令の中で九死に一生を得ました。このときの彼我の損害は、米軍の戦死者わずか40名とされるのに対し、日本軍の地上での戦死者は400名、海没による戦死者は7000名にも達したとされています。冷静に分析したら、こんな戦いを続けても勝てないことがわかるはずですが、日本はここから更に1年半も戦争を続けました。

指導者自身が責任を取ることを恐れて、勝ち目がないと分かってからも降伏の決定が出来ませんでした。最後の最後まで決断する責任を取らず、天皇の聖断を仰ぎました。しかもそれまで自身が表明し、部下に強要していた価値観に反し、自決すらしませんでした。

私は、今戦争映画を観るなら、指導者の無能と無責任をきちんと描いたものが観たいです。無能な指導者を選ぶとどんなにひどい目に遭うか、私たち日本国民は改めて思い起こす必要があると思うからです。

(櫻井光政)


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