« 2013年10月 | トップページ | 2014年1月 »

2013年11月

2013年11月28日 (木)

買え買え詐欺

最近流行の高齢者に対する詐欺の有名な手口は,その名も「買え買え詐欺」。

要はダイヤモンドや土地を買わされるのですが,その手口が巧妙なのです。

例えば,貴方のもとに,ある日Aさんという人から一本の電話が掛かってきます。Aさんは,

「X社のパンフレットが届いていませんか。客層を信用ある限られた人に絞って販売しているのですが,残念ながら私は選にもれてしまいました。でも,とても良い品で,持っておくと今後多大な収益を上げることができそうなので,どうしても欲しいのです。私の代わりに申し込んでくれませんか。お金は私が払います。代わりに申し込んでくれたら,お礼に○万円を差し上げます」
と言います。

貴方が考えさせてほしい,と言って電話を切ると,次々に似たような電話が掛かってきたり,あるいは

「X社のダイヤモンドをお持ちではないですか,持っていたら私に売ってください,元値の3倍で引き取ります」

等という電話まで来るようになります。

貴方は,随分良い物のようだ,話を信用してもよいのではないか,仮にAさんがお金を払ってくれなくても高値で買い取ってくれる人がいるなら問題ないだろうと思い,申し込みをしてしまいます。

すると,X社は,早期の金銭の支払を請求してきます。Aさんは,お金の都合が月末になったら付くので立て替えておいてほしいと言います。X社は,限られた数しか存在しない品を貴方の申し込みで取り置いてあるのだから,今購入を止めるというなら貴方が高額な違約金を払うことになると脅してきます。仕方がないので,貴方は自分のお金で立て替えてしまうのです。

さて,上記小噺の登場人物は,一人残らず全員がグルです。ダイヤモンドや土地の権利証は送られてきますが,これには何の価値もありません。購入後は,買い取ってくれるという人からの連絡もなくなります。こうなってからではほとんどの場合手遅れです。

できれば実際にお金を払ってしまう前に,また,もし支払ってしまった場合はすぐに,弁護士にご相談ください。

(石丸文佳)


桜丘法律事務所のHPはこちら。

刑事事件のご相談・ご依頼はこちらへ。

ウェブ上の簡易な無料相談もやっています。こちらへどうぞ。

2013年11月27日 (水)

岩内ひまわり基金法律事務所引継式

少し、時期遅れではありますが・・・、当事務所の古宮靖子弁護士が、北海道の札幌から100キロほど西の岩内という場所に開設されている岩内ひまわり基金法律事務所の新しい所長として赴任いたしました。そして、当事務所の弁護士5名が、11月11日(月)に行われた引き継ぎ式に参加しました。

 季節外れの大雪にも関わらず、町長、町議会議長の方々、札幌弁護士会の弁護士の方々が大勢参加して、盛大な式が行われました。

 引継式の前には、記者会見も行われ、翌日の新聞には、カラーで、大きく記事として取り上げていただき、期待のほどが伺われました。

 当事務所に入所してきたときの古宮弁護士は、初々しい新人という名にふさわしいかわいらしさの漂う女性でしたが、引継式で堂々と挨拶する姿は、もう立派な一人前の弁護士となっており、事件や環境が人を育てるということを実感して来ました。

 岩内は、人口1万5000人余りの岩内町と周りの海岸沿いの地域を含むそれほど大きな管轄区域ではありませんが、ここから、多くの弁護士がいる札幌までは、車で2時間ほどの距離があり、冬には、道路の氷結と吹雪に阻まれ、容易に弁護士にアクセスできる環境ではありません。

 そこに、なんとか法的支援を行き届かせたいとの札幌弁護士会を始め弁護士達の思いがこの岩内ひまわり基金法律事務所に結実しています。

 弁護士なんか必要ないと思っておられる方々ともうちょっと早く弁護士に相談してくれていたら、こんなにこじれなかったのに、とか、ちょっと手続きをしておけば、問題は起きなかったのに、と口惜しい思いをしている弁護士たちとの間には、ギャップがあります。

岩内の皆さん、
「弁護士に相談してみるということが、気軽にできるように、頑張ります。」
「なぜか、私の人生の節目には、いつも雪が降るのです。」と明るく笑う古宮靖子弁護士を、どうぞよろしくお願いいたします。

(神山昌子)


桜丘法律事務所のHPはこちら。

刑事事件のご相談・ご依頼はこちらへ。

ウェブ上の簡易な無料相談もやっています。こちらへどうぞ。

2013年11月26日 (火)

東日本大震災,復興用地確保に特例案

タイトル:東日本大震災,復興用地確保に特例案

弁護士の仕事といえば,多くの方は「裁判」を思い浮かべられると思います。
しかし,実は多くの弁護士は様々な公益活動に取り組んでおり,特に,桜丘法律事務所の弁護士は公益活動に精力的に取り組んでいます。

平成25年10月まで東日本大震災の被災地である岩手県宮古市で執務していた私が,この3,4か月間特に力を注いできた公益活動の一つが,このたび大きく報道されましたので報告させていただきます。

◆復興用確保へ特例案 迅速化に向け県などが国に要望 (岩手日報)
 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20131126_3

◆土地取得、特例措置要望へ 復興へ手続き迅速化 岩手県(河北新報)
 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131126t31012.htm

◆復興用地確保に特例案 岩手県 着工、半年程度に短縮 (産経)
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/131126/iwt13112602250000-n1.htm

◆用地確保で県などが“具体案”(NHK盛岡放送局) ※動画もあります。
 http://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043278101.html?t=1385373202854

この動きは,東日本大震災の復興にまつわる動きです。被災地の自治体は町を復興するため,高台の土地や堤防の土地など,多くの土地を確保しなければなりませんが,これがうまくいっていません。確保しようとした土地の多くが,例えば相続手続きが済んでいなかったり,あるいは行方不明の方がいたり,あるいは土地の境界が不明だったりという状態だったからです。

この現状を解消するため,岩手県が岩手弁護士会に研究を持ちかける形で,両者共同で復興用地確保の新制度を提言することになり,多数回の意見交換を重ねた上で,上記の記者発表に辿り着きました。

今後は政府や国会議員にこの制度を丁寧に説明して周り,国会で無事可決されるために力を注ぐことになるのですが,こういった俗に言う「ロビー活動」も,弁護士の活動と無縁なものではありませんので,引き続き力を注いでいきたいと思います。
(小口幸人(おぐちゆきひと))

※国会議員のみなさま,また報道関係のみなさま,東京にいる人の中でこの研究成果に一番詳しいのは,恐らく私ですので,いつでもお声がけ下さい。誠心誠意対応させていただきます。

桜丘法律事務所のHPはこちら。

刑事事件のご相談・ご依頼はこちらへ。

ウェブ上の簡易な無料相談もやっています。こちらへどうぞ。

2013年11月24日 (日)

桜丘法律事務所67期弁護士の採用について

桜丘法律事務所は67期弁護士を以下の要領で募集します。

募集人数
1名

条件 
入所後1年ないし1年6か月で,事務所の指定に従い法テラスのスタッフ弁護士又はひまわり基金公設事務所の弁護士として地方に赴任できる方。法テラス・ひまわりの別及び任地についての希望はお聞きしませんので,ご注意下さい。

選考方法
書面審査 2013年12月1日から2014年1月10日までの間に,履歴書,志望理由書及び司法試験の成績票(写し可)をお送り下さい(手書きの必要はありません)。
なお,選考合格者以外の応募書類は原則として後日廃棄しますが,返還を希望される場合には返信用封筒を併せてお送り下さい。
応募書類が一定数を超える場合には,書面審査の結果面接をお断りすることがあります。

面接 
1月26日に実施します。同日他の事務所の面接の予定が入っている人に対してはなるべく面接時間の配慮を致します。

(櫻井光政)


2013年11月22日 (金)

保護者制度と精神保健福祉法の改正

 「保護者」というと一般的には子供の親、親権者というイメージがあるのではないでしょうか。実は、精神保健福祉法上、精神疾患にある人を保護するために「保護者」という制度があります。これは親権者とは全く違う意味です。

 精神障害者については、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者が保護者となるとされています(精神保健福祉法第20条)。扶養義務者が数人いるような場合は家庭裁判所により保護者が選任されることもあります。

さらに、保護者がおらず、また保護者がその義務を行うことができないときは精神障害者の居住地を管轄する市町村長が保護者となります。

 保護者は、精神障害者の財産上の保護も担いますが(成年後見人とは異なります)、役割として一番大きいのは、医療保護入院の同意権を持つことです。医師が精神病患者の入院が必要と判断した時に、本来であれば本人の同意が必要なところ、仮に本人が入院を拒んでいても保護者の同意により入院させることができるというものです(精神保健福祉法第33条)。
 
このような保護者制度が精神保健福祉法の改正により平成26年4月1日より廃止されます。そして、医療保護入院は指定医の診断があれば保護者の同意がなくても、家族等のうちのいずれかの者の同意で可能となります。ここでいう「家族等」には、配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人が含まれます。改正法施行前の現在と大きく異なるのはこれらの者に順位がついていないことです。

改正の背景には、これまでの保護者の権限が家族にとっては重い負担になっていることが挙げられます。例えば、精神疾患の妻を持つ保護者の夫は妻が入院を拒んでいる時に本人のためと思って同意しても、結果的にそれを理解しない本人から恨まれることになってしまうのです。そのような親族の辛い状況は珍しくなく、精神的負担を大きくしているのも事実です。逆に保護者の同意がなければ、入院の必要性があったとしても市町村長の同意をとらない限り入院させることができず、そのことが治療の妨げになっていると言われることもあります。

医療保護制度が現場では必ずしも上手くいっていないことが多々あり、そういう意味では、上記改正も理解できるところではあります。

しかし、保護者の同意を不要とし、一方で「家族等」という広い範囲の人からの同意で足りるとすることは強制的な入院を事実上広げることにもなりかねません。

また、「家族等」はまさに家族であり、保護者でないにせよその負担は結局変わらないのではないかという見方もあります。さらに、家族等に含まれる人達の間で意見が分かれた場合に医師が事実上悩ましい立場に置かれることもあり得ます。

私達弁護士にとってもこのような悩みは他人事ではありません。精神障害者の成年後見人という立場で医療保護入院に関わることがあり得るからです。成年後見人は改正前までは保護者として第一順位の権限を持っていますが、来年4月以降は第一順位ではないので医療保護入院の同意を巡って他の家族と意見対立する可能性もあります。

衆議院厚生労働委員会の附帯決議では、同意を得る優先順位等をガイドラインに明示するとありますが、その策定を急ぐ必要があるように思います。

いずれにしても入院は任意が原則であるところ、医療保護入院は本人の意思に反する以上例外的なものであり慎重な判断が必要です。改正法は精神科病院の管理者に退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う精神保健福祉士等の設置、地域援助事業者との連携、退院促進のための体制整備を義務づけています。実際わたしが関わったことのある精神科病院でも医師やケースワーカー、福祉関係者等何人もの人がひとりの患者のために退院に向けた環境調整を一生懸命サポートしている例がありました。

あくまでも保護者制度の廃止は、このような早期退院を目指した人的体制の充実とセットで行わなければなりません。そして、我々弁護士もその一端を担えればと思っています。

(亀井真紀)

2013年11月 3日 (日)

「今後の地方教育行政の在り方について(審議経過報告)」に関するパブリックコメントを提出しました。

文科省中教審教育制度分科会は,去る10月11日「今後の地方教育行政の在り方について」と題する審議経過報告を発表し,これに対するパブリックコメントを求めていますが,この報告では教育委員会の形骸化を一層進める方向性が明らかにされています。

しばしば機能していないと批判されることがある教育委員会ですが,だからといってその機能を奪うのは本末転倒。ブレーキの利きが悪いからブレーキをなくそうという人はいないでしょう。機能が不全ならばその回復こそ模索すべきです。締め切りは11月5日と目前であることに気付いたので,慌ててコメントを送りました。以下は私が送信したパブリックコメントの全文です。

東京都大田区の教育委員を8年務めた経験から,審議会経過報告の,新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性について反対します。以下その理由を述べます。

 今回の「改革」の理由に,責任者が不明確だという点が挙げられていますが,それならばそれを明確にすれば良いだけの話で,その責任者を教育長とする理由に乏しいと思います。現状では責任を負うべきは合議制の教育委員会だと思いますが,最終的な法的責任は当該自治体が負うことになりますから,あまり実益のある議論とも思えません。


 また,審議すべき事項を「限定する」必要性も,「一歩離れる」必要性も感じられません。あえてするなら必要的審議事項を定めれば良いのであって,余力のある教育委員会はそれ以外の事項全般にわたって審議できるようにする方が,あり方として優れていると考えます。

 合議体だと危機管理能力が不足するという意見は論外です。重大な事項であれば深夜でも早朝でも集まればよいですし,電話やインターネットの活用も可能です。即断すべき事項は教育長が即断して,後に事後承認を得るやり方でも一向に構わないでしょう。どんな組織でもそのように対応しているはずです。教育委員会ではそれができない,というのであれば,その人選こそを問題とすべきでしょう。

 制度と実態の乖離を改めるため教育長の任命権者を首長とすることには反対しませんが,他方で教育委員の職務権限を制約するのは反対です。また,「実態との乖離」を理由に首長を任命権者にしながら,それとの整合性を理由に,現在の「実態と異なる」首長の罷免権が広く認められようとしていることが窺われますが,出発点の「実態との乖離」の解消の目的からは逸脱するものですから反対です。

 教育の責任者を教育長とし,教育委員会の審議事項を制約し,且つ教育長の任免権を首長に委ねることにより,教育の中立性,安定性は,制度的に,大きく損なわれることになると考えます。

 以上を踏まえると,今回「新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性」として最有力に提案されているA案の,「教育委員会は,首長又は教育長からの諮問を受けて答申を行うとともに,自ら首長又は教育長に対し,建議,勧告等を行う機関とする。」との案には到底賛成できません。

 諮問を受けて答申するのが原則となれば,教育委員会の形骸化は一層進むことでしょう。個別の教育課題とは離れた抽象的な教育目標の審議などに時間を取られることになり,教育の現場とは益々遠ざかることになると思われます。また,建議,勧告のような大掛かりな作業は,合議にせよ単独にせよ,教育委員のメンバーのみではできません。仮に教育委員会事務局の手を借りて行うということになれば,結局は首長・教育長の意を体現するような建議・勧告をする機関になるだけでしょう。現在比較的活発に活動している教育委員会のように,個々の具体的な課題について意見交換を行うことが,各教育委員の負担が少なく且つその持てる力を最大に発揮する方法であると考えます。

 A案は,教育委員の職務を制限することによって,その目的に反して,教育委員会のチェック機能を低下させるものと言わざるを得ません。

 以上から,今回示された「新しい教育長及び教育委員会の制度の方向性」について反対の意見を表明するものです。

(櫻井光政)

« 2013年10月 | トップページ | 2014年1月 »

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ