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2013年8月 5日 (月)

アパート経営における法的な知識の必要性

 投資用不動産として1棟アパートへの問い合わせが増加しているとのことです
(http://suumo.jp/journal/2013/06/27/46916/?vos=nsuusbsp20111206001)。

 背景には年金制度への不安から安定した収入を確保したいなどのニーズがあるようです。何もしなくても収入が得られるようなイメージがあるのもアパート経営が魅力的に映る一因ではないかと考えられます。

 ただ、弁護士としてトラブルに直面している方を見る限り、アパート経営はそれほど簡単ではないように思われます。

 先ず、賃貸用不動産の購入自体がそれほど容易ではありません。契約書の理解が不十分なまま、契約を結んで後悔している方はそれほど珍しくありません。近時事務所に寄せられた相談の中にも、業者から賃料収入を永続的に保証してもらえると思って契約したものの、契約書を見返してみると保証期間が数年に限定されていたという事例がありました。こうした場合、後に錯誤に陥っていたと主張しても、業者が誤った説明をしたことについて余程確たる証拠でもない限り、契約の効力を否定することは困難です。

 また、上手くアパートを購入できたとしても、1棟アパートを賃貸に利用するためには、多数の借り主を相手に契約を結ばなければなりません。そうすると、必然的にトラブルになるケースが出てきます。

 借り主が賃料を払ってくれない、居室を無断で改造された、雨漏りを修理するように請求された、普通の人に貸したと思ったら実は借り主が暴力団構成員だった、隣室の騒音を何とかして欲しいと苦情を受けた、多額の立退料を請求されたなどトラブルの種は多岐に渡ります。

 もちろん、ある程度は間に立っている不動産会社が処理してくれるでしょうが、争いが先鋭的・深刻なものに発展した場合には、自分で対処しなければなりません。その場合、対応を誤ると法的な責任を追及されることになりかねず、注意が必要です。

 一例を挙げると、賃料を滞納した人に部屋から退去してもらうというだけでも、きちんとした手順を踏まなければ、借り主から損害賠償責任を追及されてしまいます。例えば、札幌地方裁判所判決平成11年12月24日 判例時報1725号160頁は「賃借人が賃料の支払を7日以上怠ったときは、賃貸人は、ただちに賃貸物件の施錠をすることができる。また、その後七日以上経過したときは、賃貸物件内にある動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は、異議の申立てをしないものとする。」との契約書の文言を根拠に賃貸人が留守中の部屋に立ち入り鍵を取り換えるなどしたことが不法行為だと判断されました。この事件ではマンションの管理会社に慰謝料10万円の支払が命じられています。契約書で合意されたことを実行しただけなのに、家賃を払ってもらうどころか、逆に慰謝料を払う事態になってしまいました。

この場合の正しい対処法は、先ず契約を解除した上で、建物明渡しを求める訴えを提起し、強制執行という手続をとって部屋の占有を取り戻すことになります。契約書で合意したからといって、決して何でも自分の判断でやっていいことにはなりません。

 個人的にはアパート経営においては不動産の購入段階から気軽に相談できる弁護士を確保しておくことが必須ではないかと思います。お悩みをお抱えの方は今からでもぜひご相談ください。

(師子角允彬)

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