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2013年8月

2013年8月27日 (火)

「風立ちぬ」を観てきた

ありふれた人物のありふれた日常を描いただけでは人の心は動かない。それは私たちが毎日実際に経験していることだからだ。だから,娯楽としての映画は非日常を体験する場なのだ。もし日常を描くのであれば,日常の単調な積み重ねの中にある,見落としがちだけど重要な何か,を描くのでなければわざわざ見る価値がない。

「風立ちぬ」を観た。期待はしていなかったが様々な論評が飛び交っていたので私も参加したくなったからだ。私が観た渋谷の映画館はほぼ満席の状態だった。

 けれど,あまり面白くなかったし,多くの人の評価が低いのも理解できた。

 それは,「ありふれた人物のありふれた日常」しか描かれていない映画だったからだ。こう書くと,「あの時代の,稀代の設計家の,恋愛の話」がどうしてありふれているのかと叱られそうであるが,私がありふれていると断じる理由はこうだ。

 「あの時代」は今から見れば異常な時代であったが,その異常さは,当時の人には既に日常になっていた。的外れな取締りをする特高から身を隠すのも,ありがちな厄災に過ぎない。さらに言えば,今の時代の喧騒も,どこかあの時代に似ていなくもない。

 「恋愛の話」も,伴侶を病で失うことは珍しいことではない。夫婦の思いの強さが描かれれば違って来ようが,そういうものも描かれていない。内心は深く愛し合っているのだ,と言われるかもしれないが,病気の配偶者をろくに見舞もできずに仕事に追われているのは私たちの日常そのものだ。身につまされることはあるが,それ以上のものではない。

 そして最も重要なのは,「稀代の設計家」が描かれていないことだ。もちろん,秀才で,鳴り物入りで三菱に入社し,社内でも自他ともに認める優秀な人材であるという程度の紹介はされるが,その程度だ。凄さが語られない。設計上の課題をどのように解決して行ったかが語られることもない。沈頭鋲のエピソードだけでは不十分だろう。様々な要求の中で妥協を強いられたことがさらりと描かれる。それでもその解決の手腕が示されるでもない。

より人間的な,喜びや苦悩についても同様だ。例えば技術的妥協の優先順位の選択に葛藤はなかったのか。当たり前のことを当たり前に処理するように淡々と設計されたのか。違うだろう。と思ってしまうのだ。また,名機と呼ばれたゼロ戦も,軽量化するために装備は薄く,被弾すればたちまち火を噴くので米軍パイロットからはゼロライターと呼ばれた。大戦後期のゼロ戦は最早グラマンの格好の餌食ですらあった。けれど,喜びも苦悩も語られることはない。

 実在の堀越二郎氏がどのような人だったのかは知らない。けれどその人を主人公にする映画を作るなら,主人公に相応しい造形は必要だったのではないか。ある程度は観客の感情移入を許す人物像を描く必要があったのではないか。不特定の大衆を観客として想定するならそうであるべきだったのではないかと思う。

 そう考えると,この映画は不特定の大衆を相手に作られたものではないということがわかる。結局,堀越二郎という人について既に一定の知識を持っている,機械好きの男の子(ジェンダー御免)が,GIジョーの人形で遊ぶみたいに堀越を主人公にして物語を作って遊んでみた,という映画なのだ。誰が見ても面白いというものでないのはその故だと思う。

(櫻井光政)

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2013年8月19日 (月)

 近時、中小の事業者が悪徳商法の被害に遭っている例が散見されるようになってきました。

 悪徳商法から消費者を保護する取組みは古くから行われてきました。そのため、現在では消費者を保護する法律もずいぶん整備されてきています。クーリングオフを認めた特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます)や、過大な損害賠償額の予定を無効化することなどを規定する消費者契約法はその代表です。

 消費者保護の歴史は法律の抜け穴を探る悪徳業者とのイタチごっこの連続でした。例えば、特定商取引法は政令で指定された商品やサービスにしか適用されない状況が長く続いていました。そのため、ある商品が政令で指定されて特定商取引法の規制を受けるようになると、今度は未指定の別の商品を同じような手法で売りつけるといったことが行われ、結局のところ悪徳業者が消費者を食い物にし続けるという構図そのものが変わることはありませんでした。

 こうした問題意識から平成20年の改正で原則として全ての商品・役務が対象にされるようになりました(ただし、権利だけは今でも指定が維持されています。特定商取引法2条の各定義規定参照)。

 このように、近時では悪徳業者から消費者を守る動きが活発になっています。もちろんそれ自体は好ましいことなのですが、消費者保護法制の拡充は悪徳業者の目を消費者から中小事業者に向けさせるという副作用を生じさせました。事業者には原則として特定商取引法や消費者契約法が適用されないからです。

 例えば、契約の申込みをしたものが営業のために締結した契約には訪問販売に認められるクーリングオフなどの権利が認められません(特定商取引法26条)。

 特定商取引法などの適用対象から除外されてきたのは、事業者には十分な交渉力・情報力があると考えられてきたからです。しかし、中小の事業者は必ずしも全方位的に情報力・交渉力を有しているわけではありません。得意とする領域での情報力・交渉力には優れたものがありますが、それ以外の領域では一般消費者とさしてかわらない程度の情報力・交渉力しか持っていないこともあります。ここに悪徳業者がつけ込む隙が生じます。

 もちろん、行政もこうした悪徳業者の動きを野放しにしてはいません。例えば、特定商取引法の訪問販売の規制等の適用除外に関して、経済産業省は「契約の目的・内容が営業のためのものである場合に本法が適用されないという趣旨であって、契約の相手方の属性が事業者や法人である場合を一律に適用除外とするものではない。例えば、一見事業者名で契約を行っていても、購入商品や役務が、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合は、原則として本法は適用される。特に実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合には、本法が適用される可能性が高い。」との通達を出しています(消費者庁取引・物価対策課 経済産業省商務情報政策局消費経済政策課 編 『特定商取引に関する法律の解説 平成21年版』。609頁(商事法務,平22))。

 また、「各種自動車の販売,修理及びそれに付随するサービス等を業とする会社」が「消火器の充填薬剤の購入」をしたという事案において「営業のためもしくは営業としての購入でないことが明らかであるから,法26条1項1号(適用除外の規定)は本件に適用されない」として事業者からなされたクーリングオフの主張を認めた判例に神戸地判平成15年3月4日金判1178号48頁)があります。本件でクーリングオフを主張した会社は資本金3500万円と一定の規模を有しており、裁判例上も会社・事業者であることから直ちに特定商取引法の保護を受けないという硬直的な解釈が採用されているわけではないことが窺われます。

 この他にも、あまりに暴利を貪るような契約は、公序良俗に違反するとして、その効力を否定することも考えられます(民法90条)。

 現在は中小企業の交渉力や情報力の欠如につけ込んで悪徳業者が利益を貪るという構図そのものを是正することが求められている段階だと思われます。悪徳業者に不当な契約を押しつけられてお困りの方は、事業者なのだから仕方ないと諦めることなくぜひ一度ご相談ください。救済の難しい領域ではあることは否めませんが、詳しくご事情を伺えば、お力になれることがあるかも知れません。

(師子角允彬)

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2013年8月16日 (金)

ハローワークの求人票の記載と労働条件が違う場合の法律関係

昨年度、求人票の記載された労働条件と実際の賃金が違うとしてハローワークに6641件もの苦情が寄せられていたとのことです
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130731/k10013418031000.html)。

 求人票の記載と実際の労働条件が違っていた場合、労働者は自分の待遇が不当であると争うことができるのでしょうか?

 結論から申し上げると、労働者は求人票に記載されていた労働条件を当然に主張できるわけではありません。ただ、採用前の段階で、きちんと労働条件が明示されていなかった場合には、求人票記載の労働条件を主張したり、約束を破られて精神的な苦痛を被ったとして慰謝料を請求したりできる場合があります。

 確かに、求人者には労働条件を明示する義務があります(職業安定法5条の3第1項参照)。求人票の記載と実際の労働条件とがあまりに懸け離れていた場合、当然行政指導等の対象になってくるだろうと思われます。
ただ、求人は不特定多数の人に目安を提示して「契約を申し込みませんか?」と勧誘するものです。それ自体が契約の申込みに該当するわけではありません。東京高等裁判所も「求人は労働契約申込みの誘引であり、求人票はそのための文書であるから、労働法上の規制(職業安定法一八条)はあつても、本来そのまま最終の契約条項になることを予定するものでない。」と判示しています(東京高判昭和58年12月19日判タ521号241頁参照)。

 もっとも、使用者には雇用契約の締結に先立って賃金などの重要な労働条件を明示した書面を交付することも義務付けられています。(労働基準法第15条、労働準法施行規則第5条)。この義務は求職票や求人広告で代えられるわけではありません。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/sonota.html参照)。

 事前に交付される労働条件明示書面にきちんと目を通していれば予想外の不利益を受けることはあまり考えられません。求人票や求人広告の記載がそのまま労働条件になるわけではないという解釈論が展開される背景の一つには上記のような事情があるのではないかと推察されます。

 しかし、事前に労働条件明示書面が交付されていない上、労働条件について面接でもきちんと話し合われていなかったという場合は話が違ってきます。このような場合、求人票や求人広告の内容は労働条件に関する合意の内容を解釈する上で重要な資料になります。求人票や求人広告に記載されたとおりの労働条件が認められる可能性は十分にあります。

 例えば、募集広告の記載を根拠に基本給の額を認定した事案に東京地判平成20年11月11日労判982号81頁があります。この事件で被告とされた会社は、試用期間中の給料は18万8000円であるものの本採用後は12万8000円に減額されると主張しました。これが自社の給与体系であると主張したようです。これに対し裁判所は、①「募集広告に…『月給18万8000円+能力給+各種手当』と記載」されていること、②被告会社が原告に「給与が減額になる…点を説明したという証拠(が)存在しない」こと等を理由に原告の基本給は18万8000円のままであると認定しました。

 また、給与待遇について誤解を招く不適切な説明をして中途採用者を入社させたことが不法行為に該当するとして、企業の側に100万円の慰謝料の支払を命じた判例もあります(東京高判平成12年4月19日労判787号35頁 ただし、本判決は慰謝料の考慮要素として配置転換の点に問題があったことなども問題にしており、雇用契約締結の過程の点のみを取り出して高額の慰謝料を認定したわけでないことには注意が必要です。単に事前の説明と実際の労働条件が違っていたというだけではこれほど高額な慰謝料が認定される可能性は低いと思われます。)。

 求人票の記載とは異なる労働条件を適用されるに至った経緯によっては、使用者に法的な責任を追及できる余地があります。遵法意識に欠ける会社では、労働契約の締結過程のみならず、残業代の未払い・パワーハラスメントなど他にも問題のあるケースがままみられます。こうした問題と併せて使用者の姿勢を問題にするのも良いかも知れません。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

(師子角允彬)

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2013年8月 6日 (火)

精神病の発症と離婚

最近,精神病を理由とする離婚の相談が増えています。配偶者が精神病と診断されたが離婚できないか,とか,自分は精神病と診断されたが離婚されてしまうのだろうか,というような相談です。そこで今回は精神病と離婚についてご説明します。

民法770条1項4号は「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき」には離婚を請求することができると定めています。

 精神科を受診する患者数は増加する傾向にあります。厚生労働省の統計によると、医療機関を受診する患者数は平成8年には218万1000人であったところ、平成24年には320万1000人にまで増加しています。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

増加の背景には精神疾患に対する社会的な理解が深まるとともに受診することへの抵抗が少なくなっていることがあるのではないかと思われます。

 精神疾患を持つ患者の増加とともに、ご自身あるいは配偶者が精神病を持つ方からの離婚の相談も増えてきました。時には相談者の方が既に民法770条1項4号の規定を既にご存知の場合もあります。

 しかし、精神病を理由とした離婚はそれほど簡単には認められません。

 先ず、精神病は「強度」のものでなければなりません。具体的には「正常な婚姻共同生活の継続が期待できない程度の重い精神的障害」でなければなりません(島津一郎ほか編『新版注釈民法(22)』370頁〔阿部徹〕(有斐閣,平成20))。やさしく言い換えると、一緒に住んでお互いの幸福を思いやり助け合うことが不可能であるほど重症でなければならないということです。治療や服薬により精神的な協力関係を維持できるといえる限り、「強度の」精神病に該当するというのは難しいように思われます。

 また、ここでいう精神病は回復の見込のないものでなければなりません。具体的な期間の定めはありませんが、「病気の性質上、相当の期間、治療を継続してみないと回復不能との判断はできない」と解されています。その意味で病状の相当期間の継続は精神病離婚の要件となっています(島津一郎ほか編『新版注釈民法(22)』370頁〔阿部徹〕(有斐閣,平成20))。単に再発が続くというだけでは回復の見込のないことにはなりません。この点に関して「病状が軽く回復の見込がある以上は再発する可能性の多い精神病の場合でも離婚の事由にならない」との判断を示した裁判例もあります(大阪地判昭和27年9月13日 判タ25巻62頁)。

更に言えば、強度の精神病で回復の見込がないと判断される場合でも、「諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上」でなければ離婚は認められません(最判昭和33年7月25日 民集12巻12号1823頁)。「具体的方途」の典型としては療養費の支払などが挙げられます(最判昭和45年11月24日 民集24巻12号1943頁)。「具体的方途」の見込がついていることは770条1項4号に規定されている要件ではありませんが、民法770条2項は「裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる」と規定しているところ、「具体的方途」が講じられていない場合には、この規定を根拠に婚姻の請求が棄却されることになります。

 キリスト教式の結婚では、「病める時も健やかなる時も…妻/夫を想い、妻/夫のみに添うこと」を誓約するのが通例ですが、病気の発症という本人に責任のない理由のみによっては簡単に離婚することはできません。

 ただ、精神疾患には夫婦生活を維持する上で問題と思われる行動が伴うことが珍しくありません。疾患の種類によっては配偶者に暴力を振るったり暴言を浴びせたりすることもあります。自制が利かなくなって多額の借金を重ね、家族の生活が破綻してしまうケースもあります。

 こうした場合に「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)が認められるとして離婚が認められることは珍しくありません。

 例えば、東京高判昭和57年8月31日判時1056号179頁は、妻が統合失調症である事案について「それが強度であり、かつ、回復の見込がないとは認められないから、民法七七〇条一項四号に該当することを理由とする控訴人の離婚請求は、理由がない」と判断する一方、夫婦関係が破綻した「主たる原因は以上認定したような被控訴人の粗暴で家庭的でない言動にあるものと認められ」るとして「民法七七〇条一項五号所定の婚姻を継続し難い重大な事由があることを理由とする控訴人の離婚請求は、正当として認容すべきである。」と判示しました。

 単に病気だというだけではなかなか離婚は認められませんが、病気だからといって配偶者に酷い仕打ちをすることが正当化されることはありません。問題行動を伴う場合に770条1項5号に該当することを理由に離婚が認められた例は数多くあります。

こうしてみると,単に精神病を発症したかどうかということよりも,そのことによって,婚姻を継続するのが困難なほどに日常生活が破綻しているかという実質の方がより重要と言えるようです。
この種問題でお悩みの方は、ご参考にして頂ければと思います。


(師子角允彬)

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2013年8月 5日 (月)

アパート経営における法的な知識の必要性

 投資用不動産として1棟アパートへの問い合わせが増加しているとのことです
(http://suumo.jp/journal/2013/06/27/46916/?vos=nsuusbsp20111206001)。

 背景には年金制度への不安から安定した収入を確保したいなどのニーズがあるようです。何もしなくても収入が得られるようなイメージがあるのもアパート経営が魅力的に映る一因ではないかと考えられます。

 ただ、弁護士としてトラブルに直面している方を見る限り、アパート経営はそれほど簡単ではないように思われます。

 先ず、賃貸用不動産の購入自体がそれほど容易ではありません。契約書の理解が不十分なまま、契約を結んで後悔している方はそれほど珍しくありません。近時事務所に寄せられた相談の中にも、業者から賃料収入を永続的に保証してもらえると思って契約したものの、契約書を見返してみると保証期間が数年に限定されていたという事例がありました。こうした場合、後に錯誤に陥っていたと主張しても、業者が誤った説明をしたことについて余程確たる証拠でもない限り、契約の効力を否定することは困難です。

 また、上手くアパートを購入できたとしても、1棟アパートを賃貸に利用するためには、多数の借り主を相手に契約を結ばなければなりません。そうすると、必然的にトラブルになるケースが出てきます。

 借り主が賃料を払ってくれない、居室を無断で改造された、雨漏りを修理するように請求された、普通の人に貸したと思ったら実は借り主が暴力団構成員だった、隣室の騒音を何とかして欲しいと苦情を受けた、多額の立退料を請求されたなどトラブルの種は多岐に渡ります。

 もちろん、ある程度は間に立っている不動産会社が処理してくれるでしょうが、争いが先鋭的・深刻なものに発展した場合には、自分で対処しなければなりません。その場合、対応を誤ると法的な責任を追及されることになりかねず、注意が必要です。

 一例を挙げると、賃料を滞納した人に部屋から退去してもらうというだけでも、きちんとした手順を踏まなければ、借り主から損害賠償責任を追及されてしまいます。例えば、札幌地方裁判所判決平成11年12月24日 判例時報1725号160頁は「賃借人が賃料の支払を7日以上怠ったときは、賃貸人は、ただちに賃貸物件の施錠をすることができる。また、その後七日以上経過したときは、賃貸物件内にある動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は、異議の申立てをしないものとする。」との契約書の文言を根拠に賃貸人が留守中の部屋に立ち入り鍵を取り換えるなどしたことが不法行為だと判断されました。この事件ではマンションの管理会社に慰謝料10万円の支払が命じられています。契約書で合意されたことを実行しただけなのに、家賃を払ってもらうどころか、逆に慰謝料を払う事態になってしまいました。

この場合の正しい対処法は、先ず契約を解除した上で、建物明渡しを求める訴えを提起し、強制執行という手続をとって部屋の占有を取り戻すことになります。契約書で合意したからといって、決して何でも自分の判断でやっていいことにはなりません。

 個人的にはアパート経営においては不動産の購入段階から気軽に相談できる弁護士を確保しておくことが必須ではないかと思います。お悩みをお抱えの方は今からでもぜひご相談ください。

(師子角允彬)

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