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2013年7月 6日 (土)

いつまで経っても結婚してくれない交際相手への損害賠償請求

「時期が来たら結婚するから。」という言葉を信じて継続的に性交渉に応じてきた女性が、何時まで経っても結婚してくれない男性に業を煮やし、「結婚詐欺だ。騙された。」と損害賠償を求める事案が一定の頻度で相談されています。そうした事例での損害賠償請求の可否についてお話しさせて頂きます。

 交際開始から結婚までの期間の長短は人によって千差万別ですから、婚約が成立していない場合に、単に継続的に性的関係が続いた後に結婚に至らなかったというだけでは、なかなか損害賠償請求は認められません。ただ、下記の二つの類型に見られるように人格無視の意味合いの強い事案では損害賠償請求が認められる例も散見されます。

 一つ目は妻子等がいることを隠していた場合です。

 例えば、東京地方裁判所判決平成16年3月25日LLI/DB判例秘書登載は、妻子がいることを隠し、繰り返し婚姻の意思があるような言動を続け、性交渉を伴う交際をつづけてきた背信行為は極めて重大であるとして男性に対し300万円の損害賠償の支払を命じました。

 二つ目は、結婚する意思を持たない一方の側が他方の側の結婚への強い期待を利用した場合です。結婚相談所を介して知り合った女性を弄んだような場合が典型です。

 例えば、東京地方裁判所判決昭和53年12月7日判例タイムズ380号114頁は、当初から婚姻の意思がないのに結婚相談所で知り合った婚姻を希望する女性と1年余にも及ぶ性関係を含む交際を持続した男性に対し、100万円の慰謝料の支払を命じました。

 この判決は「原、被告間に婚約が成立したとみることは困難であるが」と婚約が成立していない段階でも不法行為責任が生じることを明らかにしています。なお、本事例では被告が原告と交際後もなお結婚相談所から情報の提供を受け続けていたことが、被告に原告と婚姻する意図が当初からなかったとの認定を導く一因になっているようです。

 また、東京地方裁判所判決平成15年11月14日LLI/DB判例秘書登載は、結婚斡旋業者を介して知り合った中国人女性との関係につき、結婚する期待感を抱かせ継続的に性関係を持ったとして、男性に対し80万円の慰謝料の支払を命じました。

 この判決も「婚約が成立したものと認めることはできず」と婚約の成立が認められないことを前提にしています。その上で、結婚を真面目に考えていない男性が、結婚に対する強い願望を有していた女性に対し、そのことを容易に察知できたはずであるのに、自らも結婚する意思があるかのような言動を示しながら、結婚に対する期待感を抱かせ、継続的な性的関係を結ぶ所為は女性の人格権を違法に侵害するものとの趣旨の判断を下しています。

 婚約が成立していないとしても、相手方があまりにも不誠実な態度に出ている場合には慰謝料を請求できる場合があります。本稿が同様の問題でお困りの方の一助になれば幸いですが、ご自身のケースで損害賠償請求が可能かどうか気になる方は是非お気軽にご相談ください。

(師子角允彬)

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