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2013年6月 3日 (月)

教育委員会廃止論に疑問

 現在与野党からいじめ防止法案が示されています。比較検討して,与党案では教育委員会の役割がほとんど示されていないことが気になりました。野党三党案では教育委員会が行うとされている事項が,与党案では地方公共団体や学校設置者が行うとされているのです。何故だろうと思っていましたが,疑問はすぐに氷解しました。教育再生実行会議です。

 教育再生実行会議は「21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を実行に移していくため、内閣の最重要課題の一つとして教育改革を推進する」目的で開催することが閣議決定された会議で,開催するのは内閣総理大臣です。

 その教育再生実行会議の第2次提言が「教育委員会制度の在り方について」という内容でした。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/dai2_1.pdf

そこでは「現行の教育委員会制度には、合議制の執行機関である教育委員会、その代表者である委員長、事務の統括者である教育長の間での責任の所在の不明確さ、教育委員会の審議等の形骸化、危機管理能力の不足といった課題が依然としてあります。」との指摘がなされ,その原因として「根本的な問題として、非常勤の委員の合議体である教育委員会では、日々変化する教育問題に迅速に対処し、責任を果たしていくにはおのずと限界がある」ことが挙げられています。

そうして代替案として挙げられているのが,「首長が任免を行う教育長が、地方公共団体の教育行政の責任者として教育事務を行うよう現行制度を見直す。教育長を教育行政の責任者とすることに伴い、教育委員会の性格を改め、その機能は、地域の教育の在るべき姿や基本方針などについて闊達な審議を行い、教育長に対し大きな方向性を示すとともに、教育長による教育事務の執行状況に対するチェックを行う」というものです。その結果,その名称についても,「新たな教育行政組織の名称について、役割や機能が国民に分かりやすいものとなるように配慮する」とされており,要するに「教育委員会」という名の組織がなくなることになります。

しかし,審議の形骸化や危機管理能力の不足が代替案で改善されるとは思えません。代替案は,教育委員会の審議の内容を制限し,当たり障りのないものに薄めるものに過ぎませんし,危機管理能力の不足についても,これまで教育委員会が足を引っ張っていた事実はありません。むしろこれまで見られる各地の教育委員会の不見識な対応には教育長の暴走とみられるものが少なくありません。

私は,自身の経験からも,非常勤で生活の糧を行政以外から得ている教育委員が果たすべき役割はむしろ大きく,その活性化こそが教育の質の向上に資するのではないかと思います。

私は,いじめ対策法案については,与党案の骨組みに野党案の具体的な内容を入れ込んで行けばそれなりに良いものができるのではないかと考えているのですが,教育委員会の権限や機能を縮小することには抵抗があります。

(櫻井光政)

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