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2013年5月 9日 (木)

痴漢サイト成りすまし事件

今日,驚くような事件が報道されていました。

痴漢交流サイト“なりすまし”に騙され?堂々お触りの男逮捕 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130509/crm13050907400003-n1.htm 痴漢のインターネットサイトを利用した同容疑者は、合意の上での「痴漢プレー」を主張しているが、女性はこれを全面否定。同署は、何者かがネット上で女性に成り済ましたとみて調べている。

容疑者が利用したとみられる痴漢プレー掲示板には「和歌山線で痴漢してくれる人いませんか」などの書き込みがあり、座っている車両も指定していた。途中駅で下車した男もこのサイトを利用したとみられる。

痴漢サイト成り済まし?女性わいせつ被害、電車で隣の男が触る http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/05/09/kiji/K20130509005765670.html

容疑者は「ネットのサイトで女性から電車の時間と車両を指定された」と供述。女性は通勤時、いつも同じ席に座っているといい、同署はこの習慣を知る人物が成り済ましたのではないかとみて調べている。

被害に遭った女性はとてもお気の毒です。また,被害女性に何らかの悪意をもってなりすました人物がいることも,気味が悪い感じがします。

さて,この事例,刑法や刑事弁護の観点から見ると,なかなか興味深い問題を含んでいます。
本件の被疑者は強制わいせつ罪で逮捕されていますが,言い分としては,「触ったことは間違いないが,ネットの書き込みは本人によるものと信じており,本人の承諾があったと信じていた」というものになるのでしょう。

強制わいせつ罪においては,被害者の承諾があることは構成要件該当性を阻却する事由になります。承諾があったと誤信していたのであれば,故意がかけるために犯罪が成立しないということになりそうです。

仮に自分が本件の弁護人になった場合は,対捜査機関の関係では,承諾があったと誤信し,故意がかけるために犯罪が成立しない,不起訴処分にすべきだという主張をしつつ,対被害者との関係では,結果として意に反して猥褻行為を働いたことは間違いないので,謝罪の上示談交渉を試みて,告訴取消による不起訴処分を目指すという,両面作戦をとるのではないか,ということを,報道を見て考えていました。

当事務所でも,痴漢事件の刑事弁護は多く取り扱っていますが,このような珍しい事例は見たことがありません。

(新谷泰真)

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