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2013年5月

2013年5月27日 (月)

弁護士たちの街角再放送

当事務所の活動をシリーズで追ったドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション 弁護士たちの街角」シリーズ(フジテレビ)が,CSフジで再放送されます。

 シリーズの第1回,第3回はすでに放映が終了しており,5月28日,29日に第4回と第6回が放映予定です。

05/21(火) 09:00~09:50 #193 弁護士たちの街角
05/22(水) 18:00~18:50 #194 弁護士たちの街角3~やさしさの向こう側~
05/28(火) 09:00~09:50 #195 弁護士たちの街角4~素顔のハンサムウーマン~
05/29(水) 18:00~18:50 #196 弁護士たちの街角6~私はあきらめない~

ザ・ノンフィクション プレミアムセレクション
http://www.fujitv.co.jp/otn/b_hp/100000095.html

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浪江町の今

5月11日(土),浪江町復興支援弁護団の一員として,福島県双葉郡浪江町の現地調査に行ってきました。そこで,現地調査の様子をお伝えしたいと思います。

さて,みなさんは浪江町がどんなところかご存知でしょうか。
DASH村が存在していた,とっても自然が豊かな場所です。そして,原発の被害が大きかった場所でもあります。

浪江町の大部分は,帰還困難区域に指定されています。
帰還困難区域とは,「5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域」です。つまり,人が住むことのできない地域です。
午前9時30分,郡山駅から浪江町の方が運転してくださるバスに乗って出発。浪江町まではバスで約2時間かかります。

私たちは,放射線量計とにらめっこしながらずんずんと浪江町に向かっていきました。

 浪江町に入ると,除染作業の様子が目に飛び込んできました。黒いビニール様の大きな袋に,高い放射線量を含む土や草木が入れられていました。空き地には,その黒い大きな袋が山積みになっています。民家の隣にもその黒い袋は置かれていました。物々しい空気が漂っていました。

そして,いよいよ帰還困難区域に。入口にはゲートが設置されており,警察官が常駐し,私たちは身分証の提示を求められました。浪江町の方は,「自分の町に入るのに,どうして身分証を見せなければいけないのだろう。言いようのない寂しさがこみ上げてくる。」とおっしゃっていました。自分の故郷が失われた喪失感はどれほどのものでしょうか。言葉にできない悔しさや悲しみが私たちにも伝わってきました。

 帰還困難区域に入ってからのレポートは,さらに続きます。

(國松里美)

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2013年5月22日 (水)

6月,7月,8月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
平成25年6月3日(月)午後6時から午後8時30分ころまで
平成25年7月22日(月)午後6時から午後8時30分ころまで
平成25年8月27日(火)午後6時から午後8時30分ころまで

場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
特に,実務家の方からの,現在受任している事件の持込相談を歓迎いたします。方針の相談や,冒頭陳述・弁論案の批評等,弁護活動にお役立ていただければと思います。なお,進行予定の都合上,受任事件の持込相談がある場合には,参加連絡の際にその旨伝えていただけると助かります。
終了後には懇親会も予定しています。
参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を國松までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 6月の神山ゼミ(7月の神山ゼミ,8月の神山ゼミ)
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・懇親会参加の有無:

2013年5月20日 (月)

母さん助けて詐欺

かつて「オレオレ詐欺」の名で一世を風靡?した詐欺は、後に振り込め詐欺と呼ばれるようになりましたが、最近またしても名称を変更したそうです。

名付けて「母さん助けて詐欺」。

オレオレ詐欺が振り込め詐欺と名を変えたのは、詐欺犯の名乗り方が「俺、俺」ではなくなってきたからとのことですが、今回振り込め詐欺が更に名を変えたのは、金銭の受け渡し方法で振込を指定することの方が少数派になってきたからということのようです。

確かに、最近私が取り扱ったことのある詐欺は、ほぼ振込の形を取っていません。
現金書留で送金するか、直接現金を手渡すかです。

何故かというと、振込の形で騙し取られたお金は、口座を凍結するという手法で簡単に犯人の手に金銭が渡ることを阻止できるからです。

口座凍結は、該当口座がある銀行にFAXで一報するだけで簡単にできます。
一定期間経過後に、特に権利行使の届出等が口座名義人から行われることがなければ、口座に残っている金銭は振込を行った口座の名義人に返金されます(但し、複数名の振込人がいる場合は、振り込んだ金額で按分された金額が返金されます)。

なお、口座の凍結が行われているか否か、権利行使の届出等がされていないか否かは、預金保険機構のホームページで該当口座情報を入力するだけで調べられます。

さて、そういうわけで、振り込め詐欺の金銭受け渡し方法は、現金書留を送るか、または直接金銭を受け取るかに進化?したわけです。

しかし、現金書留を送るという手法だと、送り先の住所を反復して使用することができません。何度も同じ住所を使用していれば、いずれ足が付くからです。

ところが、直接金銭を受け取る方法だと、金銭を受け取りにいく人物には逮捕の危険がありますが、金銭を受け取って来いと命令している者にはなかなか実害が及びません。何故なら、実際に受け取りに行っている人物は、上の人間の情報をほとんど持っていないからです。逮捕の可能性が一番高い危険な役どころを割り振られている者は、大抵小遣い稼ぎ、バイト感覚で小金をもらって(あるいは金をやると騙されて)動いているに過ぎず、母さん助けて詐欺だとは認識していないことも多いのです。

大金を受け取ってくるバイトを持ちかけられた場合、安易に飛びついてはいけません。
美味しい話には裏があります。受け取りに行った先で、現行犯逮捕されるかもしれません。

「お金」あるいは「書類」を受け取りに行く簡単なバイトだという誘い文句、当日携帯電話を渡すから指示されたところへ行けと言われて前もって回収先を知らされない仕事、行ってみたものの「そこは今日は止めになった」と何度も言われて空振りが多い仕事、「周囲に誰かいないか」などと無闇に周辺を警戒するような指示が来る仕事は、赤信号です。

即座に手を引いてください。警察に一報できればベストです。

最後まで、徴候に気付かず逮捕された場合は、すぐに弁護士を呼びましょう。無罪の主張ができることもあります。

(石丸文佳)

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2013年5月16日 (木)

行政書士さん,それもないでしょう。

東京都行政書士会中野支部のホームページの記載について,昨日不適切である旨を指摘したところ,今朝には内容が変わっていました。迅速な対応は良いのですが,内容的にはまだ疑問に思うところがあります。以下,ホームページからの引用とそれに対する私の意見を記します。

注:本記事は,平成25年5月16日17:30分時点でのホームページの記載事項を前提として書かれています。対象ホームページの記載が変更される場合がありますので,ご留意ください。
http://nakano-lawyer.org/gyousai.html
http://megalodon.jp/2013-0516-1731-35/nakano-lawyer.org/gyousai.html

「行政書士と弁護士は法律家として相反する立場の業務を主として担当する場合があります。」

 のっけから揚げ足取りのようで恐縮ですが,「主として・・・場合がある」というのは普通は使わない用語例でしょう。慎重を期そうとしたのかもしれませんが,わかりづらい表現ですね。

「 刑事事件においては、行政書士は告訴状の作成を通じて被害者の味方をします。弁護士は、加害者すなわち被告人の弁護、味方をします。」

これが一面的で誤解を招く表現であることは昨日述べました。

「弁護士も犯罪被害者の支援のための業務を行っているとの反論もあるようですが、それはあくまでも法律家の社会貢献としての業務で、弁護士の本来的主たる業務ではありません。刑事事件における弁護士の責務は被告人(加害者)の人権擁護が中心です。」

刑事事件における弁護士の責務のうち大きな部分を占めるのが被疑者・被告人の権利擁護であることに異論はありません。歴史的な経緯からもそうですし,刑訴法も弁護人は弁護士の中から選任しなければならない旨定めています。けれども,だからと言って「犯罪被害者支援の業務が本来的主たる業務ではない」ということにはなりません。現に被害者参加人の委託を受けて公判期日に出席できるのが弁護士に限られていることは昨日も述べたとおりです(刑訴法316条の34)。つまり,被害者参加制度の主たる担い手として想定されている職能は弁護士だということです。このように見ると,同ホームページの次の記載がおかしいことも一目瞭然だと思います。

「別の観点から、刑事事件における弁護士の報酬は被害者の支援から多くを得ているのでしょうか。否、殆どは加害者の弁護をして得ていると考えます。また、そうすることがこの世に弁護士が存在する意義でもあると考えます。国家権力から加害者の人権を守る事こそ弁護士の刑事における一番の使命だからです。」

刑事事件に関与して弁護士が得ている報酬を全体としてみた場合,刑事弁護報酬が被害者参加支援の報酬をはるかに上回っていることはご指摘の通りです。ただ,主たる収入源が何かということと,制度の主たる担い手が誰であるべきかは異なる性質の問題だと思います。

なお,国家権力から「加害者」を守るのが弁護士の使命,ではありません。この点の重要性は法律を学んだ者には自明と思いますが,弁護士が守るのは「加害者」の権利ではなく「被疑者・被告人」の権利です。加害者でない者が被疑者として逮捕勾留され,被告人として起訴されたときこそが最も弁護人の活躍が期待される場面です。それを知ってか知らずかあえて「加害者」と強調されることに強い違和感を覚えます。

記載は桶川ストーカー事件に触れ,次のように述べます。

「もし、告訴状が受理されていたら被害者は殺害されなかったのではと考えるのです。告訴状の作成は明治時代から現在まで敷居の低い行政書士が取り扱ってきております。そのことがもっと広く社会に知れ渡っていたらと思うのです。職域争いではなく、桶川事件を二度と起こさない為にも、これからも警察署に対する告訴状の作成を行政書士としての責任として普及し受託したいと考えます。」

告訴状が受理されていたら…との指摘はある意味その通りだと思います。告訴で難しいのは告訴状の作成よりも告訴状を受理してもらうことだからです。私たち弁護士が告訴の代理人として活動する際に一番苦労するのはいかにして警察に受理してもらうかという点です。そもそも告訴は口頭でもできます(刑訴法241条1項)。桶川事件の告訴がどのようになされたのか,私は知りませんが,行政書士が告訴状を作成していたら警察に受理されたはずであるかのような表現は事実を誤認させる恐れがあると思います。

民事事件についてのまとめの部分は次のような記載です。

「最近は、弁護士が会社設立や許認可等を取り扱っている場合があります。勿論合法ですが、弁護士は許認可業務に携わることなく人権擁護に徹して欲しいと願うものです。憲法の条文に名称が記載されている士業は弁護士のみですから使命を果たして欲しいと願います。勿論、行政書士は争訟性のある法律事務に関与することなく官公署に対する手続きや予防法務に徹するべきです。 何でもできることは何も専門がないことを意味します。それぞれの士族は、専門の棲み分けをして業務を担当すべきと考えます。」

「最近」がどのくらいの時期を指しているのかわかりませんが,私は開業当初の30年以上前から会社設立の手続きなどをしています。むしろ行政書士が会社設立などに関与するようになったのが比較的最近のことなのではないでしょうか。
弁護士が人権擁護の活動をすべきは当然ですが,典型的な人権擁護活動のみを行うべきとの考え方には賛成できません。良心的な弁護士はむしろ関与する業務全般にわたって人権の擁護者たる視点を忘れずにいようとします。そうして,関わる領域に広く人権擁護の観点を入れて行くことも弁護士の職責だと考えています。

(櫻井光政)

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2013年5月15日 (水)

行政書士さん,それはないでしょう

★5月16日追記:文中における,東京都行政書士会中野支部のHP引用箇所は,本記事原稿作成時点(5月15日19時30分頃)の内容を引用していますが,その後HPの表現に一部加除修正があったようです。そのため,現時点でのHPの表記と異なる部分があることをお断りしておきます。また,表現の修正に留まらずに削除された記載に対応する部分については,本記事でも取り消し線を付すこととしました。

東京都行政書士会中野支部のホームページを目にする機会がありました。そこにはこうありました。
http://nakano-lawyer.org/gyousai.html

「◆行政書士と弁護士  行政書士と弁護士は法律家として相反する業務を担当します。」
 ごく一部,重なる部分もあると認識していた私にとって「相反する業務を担当」とされているのはちょっとした驚きでした。そこで読み進むと,
「刑事事件においては、行政書士は告訴状を通じて被害者の味方をします。弁護士は、加害者すなわち被告の弁護、味方をします。」
との記載です。

 告訴状を通じて被害者の味方?弁護士は加害者の味方?被告?
 
 行政書士が告訴状を作成することは禁じられてはいないでしょうが,それとて告訴事実と罪名が明らかな場合に限られるでしょう。犯罪によってはどの罪に該当するかの判断は容易ではないからです。それに告訴・告発は弁護士が普通に行う業務です。また,被害者参加制度で被害者の委託を受けて公判期日に出席することができる職能はむしろ弁護士に限られます(刑事訴訟法316条の34,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律5条など)。
 
 確かに被疑者・被告人(刑事事件の場合は「被告」ではなく「被告人」と呼びます)を弁護する刑事弁護は弁護士が独占している業務ですが,だからといって被害者の味方と相対する立場であるかのように言うのは単に「不正確」では許されない誤りというべきでしょう。
 
 民事事件についてはどう書かれているかというと,

「民事事件においては、行政書士は原則として紛争に関わることなく予防法務を専門とします。弁護士は、予防法務と言うより紛争処理業を中心とします。」

とのことです。

 そもそも行政書士が報酬を得て法律相談を受けて良いのかという大きな問題がありますが,ここでは措きます。しかし弁護士が予防法務よりも紛争処理業を中心とする,というのはあまりにもいただけません。私たち弁護士の大半は多かれ少なかれ大小さまざまな企業の顧問をしていますが,その主な仕事はむしろ予防法務です。確かに訴訟提起などは弁護士(簡裁に限っては認定を得た司法書士も)が独占していますが,予防法務をしなかったり,行政書士にお任せしている意識はありません。

 そしてこの項の最後はこのようにまとめられています。

「優秀な行政書士が増えることは弁護士が少数で良いことになるなど、行政書士と弁護士は相反する立場にあります。」

 どうしてそうなるのか,よくわかりません。例えば,行政書士が立派な告訴状を書くようになると,被害者の味方が増えることになるから,加害者を弁護する弁護士は少なくて済むということになるのでしょうか。よくわからない対比ですが,誤解される人がいると困るので,とりあえず私が所属する第二東京弁護士会に報告して対応をお願いしました。

 このホームページの作成にこそ,予防法務に長けた優秀な行政書士さんに関与して頂きたかったです。

(櫻井光政)

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2013年5月13日 (月)

痴漢冤罪「この人です!」と騒がれたら

 電車で痴漢をしていないにもかかわらず、「この人です!」と騒がれたらどうすれば良いのでしょうか?

 ある弁護士は「その場から走って逃げる。」のが合理的であり、逃げられない場合には「騒動になったその場で、感情をむき出しにして、徹底的に怒った方が良い」と主張しています。「この人に関わったら面倒なことが起きる。」と思わせて「第三者による証言」が出てくるのを避けるためとのことです。また、「警察署へ行ってから容疑を否認し続けると、1週間から10日間程度拘束される」ことを理由に否認することに慎重な姿勢を示し、弁護士を通じて示談することを進めています
http://president.jp/articles/-/9332?page=2)。

 私も現在の捜査・公判の在り方に全く問題がないとは考えていません。ただ、上記の主張はやや極端で、個人的にはあまりお勧めできません。別の考え方をする弁護士の存在を発信することにも一定の意義があると思い、本稿を執筆することにしました。

 上記の主張の問題点ですが、失敗した時のリスクをあまり考慮していないように思われます。

 確かに、その場から走って逃げられればそれに越したことはありません。しかし、逃げられずに捕まってしまったらどうするのでしょうか。その時になって冤罪だと主張しても疑いの目で見られることは必至です。また、逃げようとして周囲の人と接触し、怪我でもさせたら大変です。傷害罪でも捜査されることになります。駅には人や障害物がつきもので、逃走しようとしたとしても中々上手く行くものではありません。

 感情を剥き出しにして怒ることにも意味があるとは思えません。そのようなことをしなくても、冤罪なら「この人、お尻を触っていました。」という第三者が現れることは原理的にありません。美人局のようなケースでは有り得るかもしれませんが、その場合は怒ろうが怒るまいが自称目撃者が出てくるでしょうからあまり意味がありません。冤罪が疑われるケースでは通勤中など日常生活圏での電車の利用中に問題が生じていることが多く見られますが、同じ電車を利用している同僚等から「この人に関わったら面倒なことが起きる。」と思われることの方が余程危惧されます。

 警察が来たら否認せず速やかに示談に着手することを勧めている点も問題だと思います。そもそも否認しなければ身体拘束から解放してくれるという保証はどこにもありません。被害者を怒鳴りつけた事実があれば仮に自白に転じたとしても、「後に供述を翻した上で被害者を威迫する可能性がある」として罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると判断される可能性は十分にあります。自白があることから安心して身体拘束を継続した上、起訴することもあります。また、被害者の面前で喚き散らしたりすれば、被害感情が厳しくなるので示談交渉も一般に難航します。

 では、どうすれば良いのでしょうか。

 身体拘束を防ぐため、その場を立ち去るというのが適切であろうことは変わりません。ただ、その際には走って逃げるというリスクのある方法ではなく、身分証を提示したり、名刺を渡したりして連絡先を明示した上で歩いて立ち去るのが良いだろうと思います。連絡先を明示することは勾留の要件である「逃亡すると疑うに足りる相当な理由」を減じる方向に作用します。こうして身体拘束を回避した後、社会生活を営みながら不起訴・無罪を主張して行くのです。

 その場から立ち去れない場合には冤罪であることを冷静に説明することです。常識的に振る舞っていれば「その人じゃないですよ。」と証言してくれる人が出てくるかも知れません(可能性は少ないかも知れませんが、怒鳴り散らすよりは合理的な選択であると思います)。警察が来たら手指や掌の付着物に被害者の衣類の繊維が混じっているか鑑定してもらえるよう自分から申し出るのも良いだろうと思います。近時の捜査機関は痴漢冤罪には比較的慎重な姿勢をとっており、同種前科でもない限り被疑者の言い分に全く耳を傾けることなく機械的に勾留するということはなくなっているように思われます。

 冷静に弁解しても信じてもらえず、身体拘束を受けてしまった場合には、それ以上話すことを止め(黙秘権の行使)、すぐに弁護士を呼んでもらうことです。これは不起訴処分や無罪判決を得るために必要な取調対応を打ち合わせるためです。身体拘束から解放するための手続をとるためです。
そして、家族や職場には自分を信じて待っていて欲しいと連絡をしましょう。弁護士から説明したことで解雇するかどうかの決定を裁判が済むまで待ってくれると回答してくれた会社もあります。

 自分に嘘を吐いて生きるのは辛いことです。嘘を吐いて罪を犯したと言えば、通常の生活に戻ったとしても一生後悔し続けるだろうと思います。

 私は法廷で無罪を主張することをお勧めします。確かに簡単なことではありません。しかし、当事務所では痴漢で既に2件の無罪判決を得ていますし、否認のまま不起訴処分を得た事例も数多くあります。冤罪を晴らすことは可能です。絶望したり悲観したりする必要はありません。ご依頼を頂ければ、最後まで寄り添い、ともに戦い続けることをお約束します。

(師子角允彬)

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2013年5月 9日 (木)

痴漢サイト成りすまし事件

今日,驚くような事件が報道されていました。

痴漢交流サイト“なりすまし”に騙され?堂々お触りの男逮捕 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130509/crm13050907400003-n1.htm 痴漢のインターネットサイトを利用した同容疑者は、合意の上での「痴漢プレー」を主張しているが、女性はこれを全面否定。同署は、何者かがネット上で女性に成り済ましたとみて調べている。

容疑者が利用したとみられる痴漢プレー掲示板には「和歌山線で痴漢してくれる人いませんか」などの書き込みがあり、座っている車両も指定していた。途中駅で下車した男もこのサイトを利用したとみられる。

痴漢サイト成り済まし?女性わいせつ被害、電車で隣の男が触る http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/05/09/kiji/K20130509005765670.html

容疑者は「ネットのサイトで女性から電車の時間と車両を指定された」と供述。女性は通勤時、いつも同じ席に座っているといい、同署はこの習慣を知る人物が成り済ましたのではないかとみて調べている。

被害に遭った女性はとてもお気の毒です。また,被害女性に何らかの悪意をもってなりすました人物がいることも,気味が悪い感じがします。

さて,この事例,刑法や刑事弁護の観点から見ると,なかなか興味深い問題を含んでいます。
本件の被疑者は強制わいせつ罪で逮捕されていますが,言い分としては,「触ったことは間違いないが,ネットの書き込みは本人によるものと信じており,本人の承諾があったと信じていた」というものになるのでしょう。

強制わいせつ罪においては,被害者の承諾があることは構成要件該当性を阻却する事由になります。承諾があったと誤信していたのであれば,故意がかけるために犯罪が成立しないということになりそうです。

仮に自分が本件の弁護人になった場合は,対捜査機関の関係では,承諾があったと誤信し,故意がかけるために犯罪が成立しない,不起訴処分にすべきだという主張をしつつ,対被害者との関係では,結果として意に反して猥褻行為を働いたことは間違いないので,謝罪の上示談交渉を試みて,告訴取消による不起訴処分を目指すという,両面作戦をとるのではないか,ということを,報道を見て考えていました。

当事務所でも,痴漢事件の刑事弁護は多く取り扱っていますが,このような珍しい事例は見たことがありません。

(新谷泰真)

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2013年5月 8日 (水)

送りつけ商法

近時、送りつけ商法が急増しているようです
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20130504ddlk07040076000c.html)。

送りつけ商法とは、簡単に言えば、注文していない商品を勝手に送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する商売のやり方を言います。ネガティブ・オプションと言われることもあります。強引でトラブルを招きやすい手法として古くから問題視されていました。

 最近の手口としては、高齢者の世帯を狙って健康食品を送りつけるケースが多いようです。被害を拡大させる背景としては、加齢により注文したかどうかに関する記憶に自信を無くしている方が多いこと、健康に対する意識が高い年齢層であることなどが考えられます。

 当然のことながら、法律は送りつけ商法を野放しにしてはいません。送りつけ商法は特定商取引法59条1項によって規制されています。これによると、注文してないにもかかわらず一方的に送られてきた荷物は、送られてきた日から2週間待っても業者が回収しにこなければ、開封して中身を好きに処分しても問題がないとされています。

 被害に遭わないために何よりも重要なことは、そもそも身に覚えのない荷物は受け取らないことです。しかし、誤って荷物を受け取ってしまった場合には、送られてから14日間は開封せず放置しておきましょう。そうすれば荷物をどうしようが誰にも文句を言われる筋合いはなくなります。

 14日間放っておいた後で処分したにもかかわらず、業者から代金の請求などが来るようであれば速やかにご相談下さい。不当な請求を止めるよう業者に警告するなど、平穏な生活を取り戻すお手伝いができるだろうと思います。

(師子角允彬)

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