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2013年4月

2013年4月26日 (金)

死刑執行に異議あり

本日、4月26日、2人の死刑囚の刑が執行されました。2人は暴力団の組長と組員で、対立する組員2名をファミレスに呼び出して射殺した罪で死刑を言い渡された者でした。

悪質な事件であり、社会に不安を与えたことはその通りですが、死刑について国際的な批判を受け、国内的にも議論を深めようという機運が高まっているこの折に、敢えて執行を急ぐ理由はありません。収容者数が定員をオーバーしているというのが理由であれば何をか言わんやです。

与党内に強硬な意見が多いことは想像に難くありませんが、党総裁まで務めた実力者である谷垣法務大臣には、その見識に相応しい慎重な態度を取ってほしかったと思います。大臣には率先して死刑制度についての議論を提起し、当面の執行を停止することを強く求めます。

(櫻井光政)

2013年4月19日 (金)

水俣病訴訟最高裁判決

去る4月16日,最高裁第三小法廷は水俣病認定申請棄却処分を争う訴訟で画期的な判決を下しました。

チッソ水俣工場からの排水に含まれるメチル水銀が水俣病の原因であることは昭和43年には政府も認めるところになり,同44年には救済法も制定されました。救済法は昭和48年に制定された公害健康被害補償法(公健法)に引継がれ今日に至っています。そして公健法は,知事が公害健康被害認定審査会の意見を聴いて行うと規定しています。

他方国は公健法における水俣病の認定にかかる所管行政庁の運用の指針として昭和46年,昭和52年及び昭和53年に通知を発出しました。その中で昭和52年に発出された環境庁企画調整局環境保健部長通知は水俣病の判断条件として複数の症状を呈する4つのパターンについて,「通常その兆候は水俣病の範囲に含めて考えられる」ものとしました。また,53年発出の環境事務次官通知は,今後は52年の通知で示された判断条件(52年判断条件)に則り申請者の全症候について水俣病の範囲に含まれるかどうかを総合的に検討し判断するものとしました。

その結果,単一の症状しか呈さない患者は結果的に切り捨てられることになりました。今回提訴した水俣病患者の方はそうして切り捨てられた2名の患者でした。

いずれも水俣病の認定を受けられず裁判に臨みました。1人は勝訴(福岡高裁),1人は敗訴(大阪高裁)で最高裁の判断を仰ぐことになりました。

今回の判決は,要旨次のような理由で患者に勝訴の判決を下しました。

裁判所の審理及び判断は,行政庁の判断条件に不合理があるか否かとか,認定審査会の調査審議・判断に誤りがあってこれに依拠して行政処分を行った行政庁の判断に不合理があったか否かという観点からではなく,裁判所が関係証拠を総合的に検討し,症状と原因物質との間の個別的な因果関係の存在を審理の対象として,申請者について水俣病のり患の有無を個別具体的に判断すべきものと解するのが相当である。

52年判断基準は多くの申請について迅速かつ適切な判断を行うための基準を示したもので,その限度で合理性があるが,この基準を満たさないものを排除するものとは言えない。

水俣病に罹患しているか否かの判断は事実認定に属するもので,行政庁の裁量に委ねられるべきものではない。

患者を迅速に救済するための簡易な基準が絶対視され,この基準に達しない患者が何十年も切り捨てられてきたことには憤りを禁じ得ません。最高裁まで争った2人の患者は既に故人となっていますが,訴訟に踏み切った勇気とそれを引き継いだ遺族の方々の献身並びに代理人となった弁護士たちの奮闘には心から敬意を表したいと思います。

(櫻井光政)

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2013年4月16日 (火)

ウェブ相談利用時のご注意(受信設定確認)

当事務所では,メールによる簡易なウェブ相談のサービスを行っています。しかし,携帯電話等でのご利用者の中には,パソコンからのメールを受信できないように設定されていることがあり,当方からの回答が届かない例が散見されます。

ご利用前に,ご自身の携帯電話で,パソコンからのメールが受信できるようになっているかどうか,ご確認下さい。また,ウエブ相談を利用した際は,下記のような受信確認のメールが当方から送られますので,この受信確認メールが届いているかご確認下さい。

お問い合わせありがとうございました。

お問い合わせ頂きました内容を確認後、
担当よりご連絡させて頂きます。

なお、迅速な回答を心がけておりますが、
休業日や出張等の関係で数日かかる場合があります。


メール相談送信後,数時間以内に受信確認メールが送られてこない場合や,いつまで経っても回答が届かない場合は,ご利用者の側の設定に問題がある場合がほとんどです。

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2013年4月 9日 (火)

続・町田市教育委員会

町田市教育委員会が態度を変更し、朝鮮学校の児童にも防犯ブザーを配布することになりました。そのこと自体は良いのですが、報道の中に気になる箇所がありました。

そもそも配布しない旨の決定は、委員に無断で事務局が勝手に行ったのだというのです。これには驚きました。こんな大事なことを、委員に諮らず、事務局が勝手に決めてしまうなど、委員会無視も甚だしい。

教育委員会は、しばしば機能していないと批判され、その存在意義すら問われる昨今ですが、実態は、多くの自治体で、行政自身が教育委員会を軽んじ、機能させていないのです。ですから私は教育委員会の権限を行政に委譲するなどは本末転倒な議論だと考えています。

今回の町田の例を見ても、教育委員で構成される狭義の教育委員会を蔑ろにしたが故の誤りという側面があるのではないでしょうか。

少なくとも、児童生徒の扱いについて不利益変更をするときは教育委員会の承認を得ることを制度化すべきだと思います。

(櫻井光政)

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ストーカー被害について

先月14日に警察庁がストーカー事案への対応状況を発表しました。認知状況は前年比36.3%増で、法施行後最多とのことです
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/24DV.pdf)。
 ストーカー被害に関する相談は当事務所にも寄せられています。

 上述の警察庁の統計で52.5%を占めていることからも分かるとおり、加害者の属性として最も多いのは交際相手(元交際相手を含む)です。

 交際相手がストーカーになる場合、加害者は交際期間中に知った被害者の住所・勤務先・交友関係・家族関係などの個人情報を利用してストーカー行為に及びます。そのため、被害は周りを巻き込んで拡散して行く傾向にあります。被害者は家族・友人・職場の同僚など身近な人が巻き込まれて行くのを目の当たりにして、どこかの段階で加害者の要求に応じてしまいがちです。

また、加害者は交際期間中に撮影した性交渉中の写真等を利用して脅迫してくることもあります。そのような写真が存在すること自体に意外な印象を持たれる方が多いとは思いますが、実際に法律相談にあたっている者の印象として申し上げると決して珍しい事例ではありません。こうした場合、相談すること自体の恥ずかしさや写真を撮影させたことへの自責の念から、被害者は泣き寝入りを強いられがちです。

 粘着質な行為を見せつけられると、ストーカーは解決が困難な事件類型のようにも思われます。被害者の中には「この人からはどうやっても逃げられない。」と絶望している人も珍しくありません。

 確かに、解決の困難な事例が存在することは事実です。しかし、それは極少数です。ストーカー被害の殆どはそれほど解決の難しい事件ではありません。加害者の違法行為を指摘して弁護士名で警告を発すれば、概ねの事案でストーカー行為は止まります。この段階で止まらなくても、警察に被害を申告して警告を発してもらえれば、大多数の事案は解決します。警視庁の発表によると警告を受けると約90%の者が行為を止めているようです(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/stoka/stoka.htm)。残りの10%も実際に警察に検挙してもらう等の方法で相当数が解決していると思われます。

 深刻な被害を避けるためにはストーカー行為がエスカレートする前に法律に基づいて毅然とした対応をとっておくことが重要です。一生ストーカーにつきまとわれる人生を選ぶというわけでもない限り、遅かれ早かれストーカーには立ち向かわなければなりません。

 弁護士は違法行為を抽出してストーカーに警告を発することができます。ストーカー行為の差止めを求めて出訴することができます。損害の賠償を請求することもできます。警察に対して被害を的確に伝えることをお手伝いすることもできます。告訴を代理することもできます。弁護士というと罪を犯した人や罪を犯したと疑われている人を守るイメージがありますが、犯罪の被害者を助けるためにも色々なことができます。

 もし、ストーカー被害を受けて悩まれている方がいれば、ぜひ一度相談にいらしてください。また、お知り合いにストーカー事件の被害者がいる方は、ぜひ被害者に当事務所のことを知らせてあげてください。解決までに要する期間に長短はあるものの、勇気を出して一歩踏み出して頂ければ平穏な生活は必ず取り戻せます。

(師子角允彬)

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2013年4月 8日 (月)

町田市教育委員会の不見識に驚く

町田市教育委員会が,毎年新入学の小学生に配布する防犯ブザーを,今年は朝鮮学校に対しては配布しないことにした,というニュースを最初に知ったのはツイッターを通じてでした。

内容があまりに愚かしく且つひどいし,インターネットのニュースにもなかなか掲載されなかったことから,一部の者が面白半分に流したデマではないかと思い,すぐに反応することは控えました。しかし残念ながら事実だったようです。

報道によれば,朝鮮学校の児童に防犯ブザーを配布しない理由は「社会情勢と市民感情に照らし」てのことだといいます。しかし町田市教委は社会情勢と市民感情をどう判断しているのでしょうか。

私の目からは,社会情勢は,一部の人種差別主義者(「右翼」という評価は留保します。きちんとした思想を持っている人たちとは思えませんので。)が韓国・朝鮮の人たちを汚い言葉で激しくののしり,人々を扇動するような情勢で,とりわけ朝鮮学校の児童生徒などは今まで以上に危険な状態に晒されているように見えます。

市民感情も,ごく一部の者たちが差別主義者の言動に影響を受けつつも,大多数の人たちは,国際的に解決すべき問題があることと,国内において差別をしてはならないことを区別して考えています。

従って,「社会情勢と市民感情に照らす」なら,教育委員会は毅然とした姿勢でどの子も差別しない姿勢を貫くべきでした。今回の決定は,教育委員会自身が差別を助長するものであって看過できないものです。

現在町田市教委には抗議が殺到しており,同教委も今後の対応について再度検討するとのことですが,速やかに態度を改めることを期待します。

(櫻井光政)

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