障害者刑事弁護人名簿
刑事弁護をしていると,被疑者や被告人に,知的能力の問題を抱えている人が多いことに驚かされます。法務省の平成23年矯正統計年報によると,2011年中の新受刑者25,499人のうち,IQ69以下の,医学モデルで言う知的障害者は,5,532人であり,新受刑者総数に対する比率は21.69%ということです。知能分布指数によるIQ69以下の比率は2.25%であることからすると,刑務所における知的障害者の比率は,一般社会におけるそれの約10倍であるということが言えます。
知的能力に問題のある被疑者は,捜査官に誘導や刷り込みの影響を受けやすいという特徴があります。弁護人としては,被疑者に障害があることを早期に発見し,それに応じた被疑者本人へのアドバイス,捜査機関への申入れ,福祉機関との連携等をしてくことが必要になります。
しかしながら,全ての弁護人が知的能力に問題のある被疑者の弁護に精通しているわけではありません。そこで,大阪弁護士会では,平成23年11月から,「障害者刑事弁護人名簿」を作成し,裁判所から被疑者国選の依頼を受ける際,知的障害や精神障害の有無を連絡してもらうとともに,こうした障害に関する知識を持つ弁護士を派遣する新制度を始めています。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120908/osk12090814070010-n1.htm
東京でも,早期に同じような制度を実現すべきでしょう。
桜丘法律事務所事務所では,同様の問題意識から,これまでも知的能力に問題のある被疑者・被告人の刑事弁護を積極的に行ってきました。これらの方々の支援にあたる地域活動支援センターとも,定期的に勉強会を行ってきました。知的能力の問題を抱えたご親族やご友人が逮捕された場合,警察から取調べを受けた場合は,特別な配慮が必要です。ぜび,私どもにお気軽にご相談ください。
(鏑木信行)
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