2013年1月1日から家事事件手続法施行(2)
この1月1日から施行された家事事件手続法。今回は調停期日段階での変更点についてご説明します。
第1は本人出頭主義の趣旨の徹底です。従来も家事審判規則で本人出頭が原則とされていましたが,家事事件手続法ではそれが直接定められています。それを受けて,東京家庭裁判所では,各調停期日の開始時と終了時に,双方当事者本人立会いの下での手続説明を行うことを予定しています。ですから,相手方と顔を合わせるのが不快だから顔を合わせないようにしてほしい,という程度の理由では,聞き入れてもらえないのが原則となります。ただ,新しい制度開始後しばらくの間は柔軟な運用がされるようですから,心配であれば弁護士と相談してみると良いでしょう。
第2は電話会議システム,テレビ会議システムによる手続きへの参加が可能になった点です。これらのシステムは主として弁護士が利用することが想定されているようですが,これにより,従前交通費や日当が割高になるので難しかった弁護士選びが比較的容易になると思われます。
第3は,離婚・離縁を除いて,調停成立の場面でも,裁判所に出頭せずに,電話・テレビ会議システムや,書面
による受諾で成立させることができるようになった点です。これにより,調停成立という重大な局面においても遠隔地の裁判所への出頭の労力を割かなくて良いことになります。但し離婚や離縁は事柄の重要性から例外とされました。
以上が,一般の方も知っておいた方が良い,家事事件手続の変更点です。率直に言って,一般の方にはやや難しくなったのではないかという気がしないでもありません。家庭裁判所の裁判官,書記官,調停委員の努力に期待したいところですが,私たちも可能な限り適切なサポートをして,新しい法律の良い面を生かして行けるようにしたいと思います。
桜丘法律事務所ではWEB相談,面談による相談を随時受け付けていますので,お気軽にご相談下さい。
(櫻井)
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