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2013年1月22日 (火)

体罰について

大阪市立高校で体罰を受けた生徒が自殺した痛ましい事件をきっかけに,体罰についての議論が盛んです。そこで,私も,体罰についての考えを述べることにします。

 私は体罰には絶対に反対です。私のいう体罰とは,罰・懲戒・制裁等の名目でなされる,児童生徒に対する物理的有形力の行使のことです。加える力の強弱や「思い」に左右されません。

私が体罰に反対する理由は,第一に,児童,生徒のためにならないからです。児童,生徒は,筋道を立てて話せばわかります。それなのに暴力を振るわれることは理不尽で,それに従わなければならないことは屈辱的なことです。理不尽でも暴力に従わなければならない,などと言うことは,児童,生徒に教えるべき事柄ではありません。また,児童,生徒の中には教師に対して恐怖感を抱く者が出るかもしれませんし,嫌悪感を抱く者が出るかもしれません。実際そういう子どもたちも少なくありません。それは,良い影響とは言えません。

これに対しては,話しても分からない子どもがいるのだという反論があるかもしれません。しかし,話して分からない子どもは,体罰を加えても分かるわけではありません。暴力に服従するだけです。暴力で服従させたことを,教育的な効果があったと判断するのは間違いだと思います。

私が体罰に反対する理由の第二は,教師のためにならないことです。もう10年以上も前,私の子どもが世話になった先生はとても教育熱心な良い教師でした。私の子どもも可愛がってもらいました。ただ,その先生は,厳しい体罰を行う先生でした。体罰を加えられるのは生活態度が芳しくない一部の生徒に限られていましたが,それでも中には却って反発する者もいたようです。体罰がなければもっと良い先生なのに,と親子で話したことがあります。

それから数年後,教育委員になった私のところに,その先生が体罰で処分を受けることになったという知らせが来ました。熱意あふれる良い先生が,禁じ手を使ったために処分されなければならないことに,私自身,残念な思いをしました。禁じ手の利用を厳しく禁じていれば,この先生が傷つくこともなかったのに,と思いました。
ほかにも,加減を誤って心ならずも児童,生徒にけがを負わせるという事態だってあり得ます。また,体罰はとりあえず子どもを服従させる効果はありますから,それに依存して,言葉で人を動かす技術を磨く努力がおろそかになりがちだという面もあります。

結局体罰は,児童,生徒にとっても,教師にとっても良いものではありません。

それでは体罰を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。

私は1人1人の教師の心構えの問題にしてはならないと思います。体罰は使いようだとか,体罰は加減を間違わなければ良いという発想は,結局のところ,失敗のリスクを児童,生徒と教師とに負わせることになります。それではだめです。校長,教育委員会が一体となって体罰を許さないことを宣言し,毅然とした姿勢を示すことが必要なのだと思います。もちろん,公立学校の設置責任者である首長なども,体罰を許さないこと姿勢を示す必要があります。教師に対して懲戒権や任免権を持つ者が,本気で取り組めば,体罰をなくすことは決して難しいことではないと思います。

なお,時々誤解される方がいるので蛇足。生徒がナイフを持って向かってくるような場合に,竹刀でこれを打ち据えるのは,正当防衛であって,体罰ではありません。体罰の禁止は,そのような場合にやられっぱなしでいろという趣旨ではありませんので誤解なさらぬようにお願いします。相手が何らの攻撃もして来ない状態でするのが体罰ですので,その点は区別して下さい。

(櫻井光政)

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