公証役場に行くだけでは公正証書は作成できない?
先日、債務弁済契約公正証書を公証役場で作成してきました。
依頼者は、貸したお金を返してほしいと思っていたのですが、借主に請求すると「ちゃんと返す」と言ってくれるものの、返済計画が具体化せず、これまでお金を返してもらうことができずにいました。
驚いたのは、依頼者はこれまでにも市の無料相談などでアドバイスを受けて、借主とともに公証役場に赴いたことがあるのだそうです。しかし、公証人から「訳のわからないことを言われて」証書の作成に至らなかったというのです。
おそらくは、弁済条件が煮詰まっていなかったか、あるいは公正証書にしてほしい文案をうまく伝えることができなかったということなのだと思われます。
公証役場で公正証書を作ってもらうとよい、という知識があっても、知識だけでは武器を使いこなせないということがあるわけです。
武器を使いこなすのは、やはり専門家の役割なのでしょう。弁護士は、交渉を行って和解内容をまとめ、文案を作成するお手伝いができます。
本件は、専門家をうまく利用した事例のひとつでした。
(石丸文佳)
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