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2012年12月23日 (日)

「次回は契約を更新しない」旨の契約書に署名を求められた

平成24年に労働契約法が改正され,有期雇用契約(いわゆる契約社員)の雇止めを一定の場合に禁止するルールが明文化されました。

 具体的には,有期雇用の契約でも,(1)期間の定めのない契約(いわゆる正社員)と同視できる場合,(2)更新につき合理的な期待がある場合には,雇い止めは許されないというものです(19条)。

 この雇い止め禁止のルールは,すでに判例では確立されたルールになっていましたが,法律には明記されていないため,一般の人には,どのような場合に雇い止めが禁止されるのか分かりづらいものでした。これを法律に明記したことには大きな意味があります。

 ただし,法律は,更新を拒絶された後に「遅滞なく」更新を申し込むことが必要であると定めています。厚生労働省の解説では,書面でなく口頭でも足りるとされていますが,あとで紛争になったときに証拠とするために,書面で更新を求めておく方がよいでしょう。

 また,来年4月1日からは,労働基準法施行規則が改正され,雇用契約締結時に契約期間だけでなく,更新の場合の基準も明示しなければならないことになります。そのため,基準を示していなかった場合には,雇止めが認められづらくなると考えられます。

 それでは,この法律により雇止めがなくなるかと言えば,そうではありません。逆に,企業の側は,確実に雇い止めをするために,雇用条件通知書や雇用契約書に「契約更新は3回まで」とか「契約更新はしない」と明記する対応ととってくると予想されます。

 このような契約書に署名を求められたら,どうすればよいのでしょうか。これから入社する場合には,その条件を拒否することは難しいでしょうが,すでに有期雇用契約を締結しており,何回も更新されている場合には,契約書に署名するのは待った方がよいでしょう。

 たとえば,すでに5年以上も有期契約が更新されているという場合には,すでに更新に合理的な期待が生じており,雇止めは許されない状態になっていると考えられます。そうだとすれば,契約書に「次回は更新しない」と明記したからと言って,いったん生じた合理的な期待がなくなるとは考えられません。

 このような場合には,当該条項は無効であり,契約書から削除するよう求めるべきでしょう。また,仮に契約書に署名しても,合理的な期待は失われず,仮に次回更新が拒絶されれば,雇止めの無効を主張することができると考えるべきです。


厚生労働省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

(田岡)

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