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2012年12月

2012年12月27日 (木)

恋人に貢いだお金は返してもらえるか?

元恋人に損害賠償を請求したいという相談が相当数あります。話を聞いてみると「あんなひどい女(男)と分かっていれば、お金をあげたりプレゼントを渡したり食事を奢ったりすることはなかった。今まで費やしたお金を全部返して欲しい。」という内容が多く聞かれます。

 別れた直後に腹が立つのは良く分かります。

しかし、婚約が成立している場合を除けば、関係が破綻したとしても一方が他方に慰謝料を請求することはできないのが原則です。プレゼントを返してもらうこともできません。食事代の精算も先ず認められないと思って頂いて結構です。

 もっとも、「結婚する意思がないにもかかわらず、あたかも結婚を検討しているかのように装う一方、婚約ないし結婚の承諾をすることを巧妙に避けながら長期間性的関係の継続を図」った男性に対し「交際の当初より、結婚できるかもしれないと誤信して付き合いを続け、その結果、初めて身籠もった個の妊娠中絶手術をせざるをえなくなるなど、人生設計を大きく狂わすこととなった」女性への損害賠償を命じた判例もあります(東京地方裁判所平成8年6月7日 判例タイムズ915-171 慰謝料認容額300万円)。

この判例は婚約に至らない男女関係の解消が女性の人格権の侵害となり得ることを認めた事案として理解されています。

自由恋愛では済まされないほど酷いケースでは慰謝料の請求が認められています。

 損害賠償請求が認められる事案なのかは話を聞いてみないと分かりませんが、請求は難しいという回答を差し上げざるを得ない場合でも、相談後に表情が柔らかくなるお客様は結構おられます。お気持ちを整理する手段として使うのも、弁護士の使い方の一つかも知れません。

(師子角)


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2012年12月26日 (水)

あなたの契約は本当に定期賃貸借契約ですか?

先日,法律相談を受けました。何でも,5~6年前に,大家の好意により,破格の賃料かつ取り壊しまでいてよいという口約束で,一室を借りたのだそうです。ところが,その時交わした契約書では,何故か2年間の定期賃貸借契約という体裁になっていたそうです。

やがて2年が過ぎましたが,相談者は口約束どおりにそのまま部屋を借り続けておりました。ところがある日,相談者は大家から突然出て行って欲しいと言われました。大家さんは,部屋を綺麗にしたらもっと高額で貸せるよと誰かに入れ知恵されたようです。

相談者が慌てている内に,今度は弁護士から内容証明が来るようになりました。この部屋は定期賃貸借契約期間を経過しているから,半年以内に出て行くように,というものです。相談者には,出て行く当ても引越費用も持ち合わせがありません。

相談者は,確かに口頭で聞かされた話とは違っているが,書面上は完全に定期賃貸借契約だったので,定期賃貸借契約だと主張されても仕方ないと思っていました。

しかし,期間の定めがあるだけでは定期賃貸借契約とは言えません。

定期賃貸借契約と言えるためには,①期間の定め②建物賃貸借である旨の定め③賃貸借の当事者④賃貸借目的となる建物の表示⑤契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨の定めが書面化されていなければなりません。

しかも,⑥予め本件が定期建物賃貸借であって契約の更新がない旨の特約,及び期間満了によって賃貸借が終了することが書かれた書面を交付して,賃借人に説明をしていなければなりません。

そして,この⑥の書面は,契約書とは別個独立した書面を交付して説明をしなければならないということが,近時の最高裁判決で明らかにされています(平成24年9月13日判決)。

相談者の件は,口頭では取り壊しまでいてよいと言われて契約していますから,⑥の条件を満たしておらず,相談者の確信とは裏腹に,定期賃貸借契約は成立していないと言えます。

また,仮にそのような説明があったとしても,期間満了後何年も異議が唱えられることなく貸借関係が続けられているのであれば,期間満了以後は「定期」ではない,普通の賃貸借契約として再賃貸借が為されていると言え,正当の事由がなければ賃貸借契約は更新されていきます。

つまり,相談者は,部屋を出て行かなくてもよいということになるのです。

定期賃貸借契約が成立していると思い込んでいても,実際には要件を満たしていないということは,往々にしてありそうです。

期間の定めがあるだけでは,定期賃貸借とは言えません。

本件の相談からもおわかりいただけるように,素人の思い込みは危険です。
軽々に判断して動く前に,是非法律家にご相談ください。

(石丸)

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2012年12月25日 (火)

ネット掲示板での誹謗中傷

ネット掲示板に誹謗中傷の書込みをされました。誰にどんな責任を問えますか。

書込みの内容によっては、書込んだ相手に対して、書込みの削除、新たな誹謗中傷の書込み禁止、書込みによって受けた損害の賠償を請求することが可能です。弁護士名義で内容証明郵便を送り、それでも相手が応じない場合は、訴訟を行うことが考えられます。特に悪質な名誉毀損の書込みについては、名誉毀損罪で刑事告訴することも考えられます。

書込んだ相手の責任を問う前提として、書込んだ相手を特定する必要があります。書込んだ相手が特定出来ない場合は、プロバイダに対して、書込んだ相手の氏名、住所、メールアドレス、IPアドレス等を開示するよう求めることが出来ます(プロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求)。

書込んだ相手とは別に、掲示板管理者に対して、書込みの削除を請求することも考えられます。掲示板管理者に対する具体的な削除請求後も,掲示板管理者が不当にこれを放置したような一定の場合は,条理上の作為義務違反を理由に掲示板管理者に対して損害賠償請求をする余地もあります(東京高判平成13年9月5日判タ1088号94頁)。

いずれの手段をとる場合にも、書込みのされたページは重要な証拠となります。きちんと保存をしておくことが大切です。

(鏑木)

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2012年12月24日 (月)

付調停

何日か前に、このブログに調停の話が載っていましたね。それで、この話を思い付きました。

「付調停」という言葉は余り聞かない言葉です。なのに、私は何回もこの手続きを経験しています。それは、上の階の人が犬を飼ってその足音がうるさいとか、お隣さんが塀越しに脅してきたりという隣人トラブルで、何回か経験しています。

とても話し合いが出来る状態ではないと思って、損害賠償請求の訴訟を起こしたのに、裁判所から調停の手続きを提案されることがあるのです。訴訟の手続きを一時的に止めて、途中で調停をするという妙な手続きです。

調停にしようか訴訟にしようか悩んだ挙げ句に大決心して訴訟を選択した依頼者は目が点になります。話し合いはとても出来る状態ではないと頑張りますが、私は、やりましょう、と説得します。何も無い状態でただ話し合いをしようとしたり、最初から調停を申し立てたのではうまく行かなくても、付調停の場合は、一歩間違えば、裁判所から何百万円ものお金を払えと言われるかもしれないという状況に置かれているので、相手も本気で話し合いに応じる気持ちになってくれることがあるからです。

とくに隣人トラブルなどは、最初のボタンの掛け違いから誤解が積み重なって余り話をしない状態が何年も続いていることが多いので、とても有効な場合があります。

調停で話し合いをしても、やっぱり解決しないという場合は、訴訟に戻ります。早く解決したいと思う依頼者には少し時間を無駄にしたと思われることもあります。

でも、隣人トラブルのように、お金を払わせるだけでは、本当の解決にならないと言ってくれる裁判官は、本当に親身に考えてくれている裁判官です。

皆さんも「付調停にしたい」と裁判官が言ったら、「お願いします」と言って素直に調停をしてみましょうね。

(神山昌子)

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2012年12月23日 (日)

「次回は契約を更新しない」旨の契約書に署名を求められた

平成24年に労働契約法が改正され,有期雇用契約(いわゆる契約社員)の雇止めを一定の場合に禁止するルールが明文化されました。

 具体的には,有期雇用の契約でも,(1)期間の定めのない契約(いわゆる正社員)と同視できる場合,(2)更新につき合理的な期待がある場合には,雇い止めは許されないというものです(19条)。

 この雇い止め禁止のルールは,すでに判例では確立されたルールになっていましたが,法律には明記されていないため,一般の人には,どのような場合に雇い止めが禁止されるのか分かりづらいものでした。これを法律に明記したことには大きな意味があります。

 ただし,法律は,更新を拒絶された後に「遅滞なく」更新を申し込むことが必要であると定めています。厚生労働省の解説では,書面でなく口頭でも足りるとされていますが,あとで紛争になったときに証拠とするために,書面で更新を求めておく方がよいでしょう。

 また,来年4月1日からは,労働基準法施行規則が改正され,雇用契約締結時に契約期間だけでなく,更新の場合の基準も明示しなければならないことになります。そのため,基準を示していなかった場合には,雇止めが認められづらくなると考えられます。

 それでは,この法律により雇止めがなくなるかと言えば,そうではありません。逆に,企業の側は,確実に雇い止めをするために,雇用条件通知書や雇用契約書に「契約更新は3回まで」とか「契約更新はしない」と明記する対応ととってくると予想されます。

 このような契約書に署名を求められたら,どうすればよいのでしょうか。これから入社する場合には,その条件を拒否することは難しいでしょうが,すでに有期雇用契約を締結しており,何回も更新されている場合には,契約書に署名するのは待った方がよいでしょう。

 たとえば,すでに5年以上も有期契約が更新されているという場合には,すでに更新に合理的な期待が生じており,雇止めは許されない状態になっていると考えられます。そうだとすれば,契約書に「次回は更新しない」と明記したからと言って,いったん生じた合理的な期待がなくなるとは考えられません。

 このような場合には,当該条項は無効であり,契約書から削除するよう求めるべきでしょう。また,仮に契約書に署名しても,合理的な期待は失われず,仮に次回更新が拒絶されれば,雇止めの無効を主張することができると考えるべきです。


厚生労働省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

(田岡)

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2012年12月22日 (土)

年末年始の刑事弁護

桜丘法律事務所では,年末年始に刑事事件で逮捕された方・勾留された方のために,正月休暇の期間中も刑事弁護をお引き受けしています。

○依頼の方法
親族・知人が逮捕されたので,弁護人を付けたいとご希望の方は,日時を問わず,まずは事務所にお電話ください。(03-3780-0991)

他の刑事事件で警察に出動しているなどの理由で,事務所を不在にしていることもあります。
電話が繋がらない場合には,ウェブフォームから,刑事弁護を希望する旨と,折り返し連絡用の電話番号を明記して頂いた上でメールをご送信ください。早急に弁護士から折り返しのご連絡をさせて頂きます。
ウェブフォームはこちら

○対応エリアについて
東京都内を基本としますが,千葉県,神奈川県,埼玉県内の弁護活動も,場所によってはお引き受けしますので,お問い合わせください。

○費用について
事務所の報酬基準に準じます。
 起訴前弁護活動の費用として,着手金42万円を基本とします。このほか,成果に応じた成功報酬金を頂くことになります。また,事件の内容により,金額が変化することがあります。
 
 このほか,東京都外の事件については,接見日当と交通費を頂くことがあります。
 なお,当事務所は通常2名体制で弁護活動に当たりますが,年末年始のため,1名で行わせて頂くことになります。

 ※注 当事務所の報酬体系は,示談交渉活動や身体拘束からの解放活動,接見活動の費用(但し,都外は日当等を頂きます)も全て含んでいますので,別途費用が発生することはありません。

○早期の身体拘束からの解放を目指します。
 今年は,4日が休めれば,7日が仕事始めとなります。万一年末年始に逮捕されたとしても,6日中に釈放されれば,会社等に知られることなく事件を解決できることが期待できます。
 
 かつて,当事務所の新谷弁護士が年末年始に受任した事件では,
12月30日 被疑者弁護受任
12月31日 勾留決定
 1月3日  被害者との示談成立
 1月4日  検察官に対し,早期の釈放を求める交渉
 1月5日  被疑者釈放
といった経緯をたどり,年始の仕事に間に合うよう釈放された事件がありました。

全ての事件がこのようにうまくいくとは限りませんが,できる限りの活動を行い,早期に釈放されてもとの生活に戻れるよう,全力を尽くさせて頂きます。

年末年始に知人や家族が逮捕されて不安な気持ちで過ごしている方は,一度ご相談頂ければと思います。

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残業時間が月60時間を超える場合の残業代は?

平成22年4月1日から,残業時間が月60時間を超える場合は,割増率が「50%」に引き上げられました。

 従来は,時間外労働の割増率は25%,休日労働は35%,深夜労働は25%(それぞれ重複した場合には,合算した割増率。たとえば,時間外・深夜労働の場合は50%)とされてきました。

 しかし,現在は,時間外労働の割増率が50%になりますから,深夜労働と重複した場合には,最大75%の割増賃金を支払ってもらえます。

 ただ,中小企業については,当分の間は猶予措置が定められています。では,中小企業に当たるかどうかは,どのようにして判断するのでしょうか。法律は,資本金と従業員の数によって判断することにしています。

 主として問題になるのは,従業員の数です。たとえば,小売業の場合には,常時雇用する従業員が50人以下の場合には適用が猶予されることになっています。これには,パート社員も含まれます。逆に言えば,50人を超える場合には,50%の割増率の適用があるということです。
 
 月60時間以上の残業を行っている場合には,しっかり残業代を払ってもらいましょう。ただ,過度の残業は,精神疾患や脳・心臓疾患の原因となりますので,働き過ぎには注意してください(たとえば,脳・心臓疾患の場合には,発病前1か月間におおむね100時間,発病前2ないし6か月間におおむね80時間を超える残業があった場合には,労働災害と認定される可能性が高くなります。)。

厚生労働省のリーフレット
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf

(田岡)

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2012年12月21日 (金)

辞めたいのに辞めさせてくれない会社2

さて,一昨日に引き続いて,「辞めたいのに会社が辞めさせてくれない」という相談の事例を取り上げます。今日は,「会社に退職を申し出たところ,辞めるな,辞めたら損害賠償請求する」といわれた,というケースを取り上げます。

○会社からの損害賠償請求について(退職自体を理由とする損害賠償)
一昨日ブログに書いたとおり,期限の定めのない雇用契約においては,2週間以上の期間をおいて退職の予告をしておけば適法に退職できるわけですから,退職したこと自体に対する損害賠償請求はできないこととなります。代わりの人員を探すための費用を請求するとか,お前の退職で仕事に穴が空くからその分の弁償をしろとかいった請求は,まず認められる可能性はないと考えておいてよいでしょう。

(そもそも,法律では,こうした会社側の代替要員確保や引継ぎの都合のために,2週間前の予告を必要としており,かつそれで十分だと考えているともいえます。)

○会社からの損害賠償請求について(在職中のミスを理由とする損害賠償)
一方,会社としては,上記のような請求が認められないのは百も承知なので,それ以外の理由を元に損害賠償請求をしてくることが多いでしょう。典型的なのは,在職中の仕事のミスによって会社が損害を受けたので,その賠償をせよ,というものです。これはどうでしょうか。

会社は,従業員を使用して収益を上げている以上,従業員のミスによる損害の発生リスクも負担するべきであるとするのが法律や裁判所の基本的な考え方です。従業員の働きによる利益は会社が総取りするが,損害が発生したら従業員に押しつけるというような都合のいい話は認めない,ということです。

業務の過程で通常発生することが予想されるようなミスについてはそもそも従業員に対する損害賠償請求はできません。また,重過失や故意による行為の場合の損害賠償請求は可能でしょうが,その場合であっても公平の観点から,従業員が全額を支払う必要がない場合も少なくありません。

一般論として述べるのは難しいものの,会社から損害賠償請求をされたとしても,労働者側が賠償をしなければいけないケースは限られており,仮に賠償をしなければいけないとしても,全額賠償をしなければいけないケースはさらに限られていると考えておけばよいでしょう。

○判例の紹介
もともと会社による退職拒否があり,労働者が退職したところ,会社から在職中のミスや不適当な業務処理などを理由に損害賠償請求を受けた事件,これに対して労働者側から未払時間外手当等を請求した事件として,
平成21年(ワ)第2300号 損害賠償請求事件,
同年(ワ)第3204号 時間外手当等反訴請求事件,
平成22年(ワ)第1444号 損害賠償等請求事件
があります(全て同一当事者間の事件です)。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111129185940.pdf

結論として,裁判所は会社側からの損害賠償請求を排斥し,労働者側の時間外手当等の請求を認めています。

会社に「辞めるな,辞めたら損害賠償請求をする」などといわれたとしても,むやみに恐れて退職を断念する必要はありません。弁護士に相談して,自分のケースについての見通しを立ててから,行動すればよいのではないでしょうか。


(新谷泰真)

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2012年12月20日 (木)

國松里美弁護士入所

12月20日から國松里美弁護士が入所しました。若く有能で熱いハートを持つ働き者の弁護士です。
従来のメンバー同様、どうぞよろしくお願いします。プロフィールも近々掲載予定です。

『東電OL事件--DNAが暴いた闇』を読む

読売新聞社会部『東電OL事件--DNAが暴いた闇』を読みました。読売新聞は,東電OL事件に関する一連の取材報道により新聞協会賞を受賞したそうです。DNA型鑑定の結果別人の型が出たことを知った記者が,他社に抜かれないように秘密裡に取材を進める過程はスリリングであり,朝日新聞取材班『証拠改竄--特捜検事の犯罪』などと同じように最後まで一気に読むことができました。

 読み終えて感じるのは,DNA型鑑定の威力です。読売新聞は,数十人規模の遊軍を動員し,ネパールやアメリカに渡り関係者の取材に当たっていますが,こうした取材報道を行うようになったのは,DNA型鑑定でゴビンダさんと別人の型が出たからです。

 記者は,後書きで「正直に打ち明ければ,ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告が東電女性社員殺害事件の犯人だと思っていた」と率直に認めています。別の箇所では「『外国人』『売春』をどこか軽く見る意識が捜査官にあり,それが捜査の行方を狂わせたのではないか」とも指摘していますが,このような思い込みは捜査官だけでなく,検察官や裁判官にも通じるものではなかったでしょうか。

 当事務所の神山啓史弁護士は,12年前に出会ったときから「ゴビンダさんは無罪だ。自分が無罪だと信じる人を助け出せないほど,つらいことはない」と言っていました。

 曇りのない目で証拠を見る神山弁護士には,DNA型鑑定などなくても,最初から真実が見えていたのだろうと思います。一審弁論要旨と一審判決を読み直せば,DNA型鑑定以外の証拠はすでに揃っていたはずです。

 ゴビンダさんを無罪にするのに,なぜ15年もの歳月を待たなければならなかったのか,検察庁,裁判所は真摯に過ちと向き合い,検証結果を公表してもらいたいと思います。

2012年12月19日 (水)

辞めたいのに辞めさせてくれない会社

新谷です。先日,師子角弁護士が労働事件の話題を取り上げたところ,意外なほど反響がありました。やはり,厳しい経済情勢の下,弱い立場の労働者にしわ寄せがいっているということなのでしょうか。

さて,今回も引き続き労働事件の話題を取り上げます。労働問題に関わる法律相談では,「辞めたいのに,会社が辞めさせてくれない,退職するな,といわれた」という類型の相談が散見されるようになりました。すこし前までは,「会社に不当解雇された」という相談はあっても,「辞めたいのに辞めさせてくれない」という相談はなかったように思います。

企業が余裕を失い,ぎりぎりの人員で労働基準法違反の労働をさせることも辞さずに仕事をまわしているなか,一人辞めると職場全体が限界を超えて崩壊しかねない,といった状況になっていることなのかもしれません。

では,「辞めてはいけない」という会社の言い分は正当なものでしょうか。この点は,雇用契約の形態によって結論に差が出てきます。

○ 期限の定めのない雇用契約の場合
期間の定めのない雇用契約の場合,労働者側からの退職は,基本的には自由にできます。
民法627条第1項は,

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
と定めていますので,労働者側から2週間前に退職を予告すれば問題なく退職できることになります。予告をしておけば,法律上は会社の同意や承認は必要なく退職できることとなっています。 

 会社の就業規則等で2週間より短い予告期間が定められているときは,その期間を置くことで足ります。逆に,就業規則で予告期間を延長したとしても,その規定は無効であり,2週間の予告で足りることとされています。
(但し,就業規則による予告期間延長が有効であるとする立場もありますし,最後に有給休暇をまとめて消化するとなると,2週間では実質的に全く引継ぎ等をしないまま辞めることとなる場合もあり,さすがに妥当で無かったり,無用のトラブルを招くこともあります。状況が許す限りは就業規則に定められた期間をおいて退職予告をするのが望ましいでしょう。)

○期限の定めのある雇用契約の場合
一方,期間の定めのある雇用契約の場合は,原則としてその期間中に退職することはできません。やむを得ない場合に契約を解除し,退職をすることができるのみです。

 民法628条では,

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
と定めており,契約解除(退職)の事由によっては,会社から損害賠償請求される可能性があります。

「やむを得ない理由」の典型例については,長期療養の必要な疾病や怪我ですが,それに限られるものではありません。

○ 対応方法
まずはご自分の雇用契約と就業規則を確認し,退職するためにはどのような手順を踏めばよいのかを確認しましょう。期限の定めのない契約であれば,最終的には2週間以上の期間をおいた退職通告をして辞めてしまうのも一つの手です。

 会社と円満に話し合いをして退職の合意ができるのがベストですが,そもそも「退職は認めない」と言うような会社とは,円満な話し合いができないことがほとんどかもしれません。そういった場合は,弁護士を代理人に立てて会社との交渉を任せてしまうのもよいでしょう。当事務所では,こうした相談やご依頼もお引き受けしています。

なお,「退職を認めない」等と主張するような会社では,他にも残業代の未払,有休消化を認めていないといったような種々の労働法規違反もおかしている可能性が高く,こちらもあわせて弁護士に相談し,対応することが望ましいケースも多くあります。

少し長くなりましたので,明日に続きます。明日は,会社から「辞めたら損害賠償請求する」といわれた場合や,類似ケースの裁判例を紹介します。

辞めたいのに辞めさせてくれない会社2に続きます。
http://sakuragaoka-lo.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-7153.html

(新谷泰真)

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2012年12月18日 (火)

離婚調停は相手方と同席?

家庭裁判所の調停では相手方と会わなければいけないのでしょうか?

離婚の相談の際,このような質問をよく受けます。離婚の調停のために家庭裁判所に出向くとき,配偶者と険悪な関係になっていて顔を合わせたくない,相手方と話すことが怖いという方は多くおられますが,調停が裁判所での話合いの場であると聞くと,せっかく弁護士に依頼したのに,相手方に会わなければならないのかと不安に思われるようです。

裁判官や調停委員から話を聞かれる際には,当事者双方は,別々に調停室に呼ばれるので,相手方と直接話すわけではありません。

ですが,平成25年1月1日から新たに施行される家事事件手続法のもとでは,各調停期日の開始時と,終了時には当事者やその代理人が一堂に会し,進行予定や争点の確認等をすることが予定されているので,少なくとも,調停の始まりと終わりには,相手方と同席する必要があり,このことは代理人がついていても同じです。

もっとも,DV被害に遭われた方など,相手方と顔を合わせることに具体的な支障がある場合には,実施しない方針が取られます。また,当事者本人同士が顔を突き合わせることに抵抗がある事案であれば,裁判所は座り方を工夫するなどして,できる限り同席の抵抗感を少なくする配慮しているようです。私がこの前出席した東京家裁での調停では,代理人(私)を挟んで左右に,申立人と相手方が座って,この手続きが実施されました(東京地裁では,新法実施前に手続きの試験的運用がなされていました。)。

代理人がついていれば,説明の際に立ち会うことが可能ですし,裁判所に対し,ご本人が不安を感じていることを伝えて配慮をお願いするなどのサポートが可能でしょう。ぜひ代理人をご利用の上,安心して調停に参加していただければと思います。

(古宮)

2012年12月15日 (土)

残業代の請求

当事務所ではWEB上から無料での法律相談を受け付けています。景況感を反映したものか、最近は残業代の不払いに関する相談が増えています。

 未払残業代を請求するにあたっては、いつからいつまで働いていたのかを証拠に基づいて主張できなければなりません。ただ、残業していたことの証拠さえ確保できれば、後はそれほど難しい問題はありません。

 最も有力な証拠になるのはタイムカードです。残業代の不払いがタイムカードから明確である事案は比較的簡単に解決できます。ただ、悪質な企業ではタイムカードの改ざんが常態化していることもあります。こういった場合、働いている人は残業代の請求を諦めなければならないのでしょうか?

 答えはNoです。タイムカードがなくても悲観する必要はありません。時刻記載のある業務日報、電子メールの送受信時刻、シフト表、PCのログデータに記録された立ち上げと立ち下げの時刻などから労働時間を立証できることもあります。

 法律は立場の弱い人を守るためにあります。残業代の不払いで悩んでおられる方は、ぜひ当事務所までご一報ください。

(師子角)

残業代の請求

当事務所ではWEB上から無料での法律相談を受け付けています。景況感を反映したものか、最近は残業代の不払いに関する相談が増えています。

 未払残業代を請求するにあたっては、いつからいつまで働いていたのかを証拠に基づいて主張できなければなりません。ただ、残業していたことの証拠さえ確保できれば、後はそれほど難しい問題はありません。

 最も有力な証拠になるのはタイムカードです。残業代の不払いがタイムカードから明確である事案は比較的簡単に解決できます。ただ、悪質な企業ではタイムカードの改ざんが常態化していることもあります。こういった場合、働いている人は残業代の請求を諦めなければならないのでしょうか?

 答えはNoです。タイムカードがなくても悲観する必要はありません。時刻記載のある業務日報、電子メールの送受信時刻、シフト表、PCのログデータに記録された立ち上げと立ち下げの時刻などから労働時間を立証できることもあります。

 法律は立場の弱い人を守るためにあります。残業代の不払いで悩んでおられる方は、ぜひ当事務所までご一報ください。

(師子角)

2012年12月14日 (金)

東京電力の虚偽表示

現在,複数の原子力損害賠償請求を仲介センターに申し立てて行っています。
その請求項目のひとつに,「生命身体損害」というものがあります。
原発事故により生じた生命身体損害,つまり事故に基づく避難で身体を壊したり病気になったり,あるいは持病の悪化があった場合に請求する項目です。

生命身体損害について請求すると,診断書と通院証明の提出を求められます。
この書面には,事故との因果関係という項目があり,医師によって因果関係が「ある」「なし」「不明」のどれかにチェックがつけられています。

さて,仲介センターに賠償請求を申し立てると,東電からは各請求項目につき認否がされます。
そして,ほぼ例外なく因果関係が「なし」「不明」とされているものに対しては,因果関係が立証できないためお支払いできませんという回答が返ってきます。

では,下記東電のホームページに移動してみてください。
http://www.tepco.co.jp/comp/faq/images/jyokyo.pdf
ここまで言っていることとやっていることが違うと,もはや天晴れという気分になります。
うっかり,選挙で東電の解体を主張している党に票を投じてしまいそうです。

(石丸)

2012年12月12日 (水)

詐欺会社 ㈱明治リサーチ

先般ネット詐欺の被害者の下に性懲りもなくこんなメールが届いた。
以下引用

㈱明治リサーチ
03-4513-1143
※必ずご確認下さい。↓
弊社は身辺調査及び法的書類の内偵調査等を行う、調査機関になります。
現在お客様がご使用中の携帯端末より、以前ご登録されました《モバイル総合情報サイト》における無料期間内での退会手続きが完了されていない為、本会員登録となっております。(本会員登録自動移行については《ご利用規約》に記載があります。)
一切のご連絡がないまま登録料金の未納状態が続いているという事で、運営会社様より料金滞納者の住所確認、悪質滞納者の身辺調査依頼が入りました。
このまま放置されますと、発信者端末電子名義認証を行い、電子消費者契約法に基づき、身辺調査を開始させていただきます。
その後、運営会社様の方でアクセス記録等、詳細書類提出の上、法的手続きを行う事となります。
身辺調査の開始・法的処置への移行の前に、
・訴訟手続きの差し止め
・退会の処理
・お支払い・和解のご相談
をご希望の方は翌営業日正午までに[担当鈴木]までお問い合わせ下さい。
ご連絡なき場合は、即刻ご住所確認及び身辺調査に入らせていただきます。
メールでのご連絡は一切応じられませんのでご了承下さい。

※本通知をもって最終通告となります。

㈱明治リサーチ
03-4513-1143
担当:鈴木
引用終わり

だってさ。本当に懲りないね。暇な人は電話して遊んであげて下さい。

(櫻井)

2012年12月11日 (火)

障害者虐待防止法

先日,江東区の福祉施設で障害者虐待防止法の講演をする機会がありました。介護所などの施設職員,通所している障害者,約40名の方を前に平成24年10月に施行されたばかりの法律を解説するのは実はとても緊張しましたが,みなさん熱心に聞いて下さって嬉しかったです。鋭い質問もたくさん出て,私自身とってもいい刺激を受けました。
 
 障害者虐待防止法は,虐待の防止,養護者の支援を目的とし,そのための施策を国または地方公共団体の責務としている点で,児童虐待防止法や高齢者虐待防止法ととても似ている法律です。
ただ,前の2つの法律が対象者の年齢制限があるのに対し,障害者虐待防止法はそのような制限がありません。また障害者には,身体障害者,知的障害者,精神障害者,発達障害者が含まれます。とても広い人を対象としている点で,国や地方公共団体,そして国民ひとりひとりの責務もその分重くなるといえます。

 講演では,どういう場合が「虐待」にあたるか,どんな時に市町村や都道府県に「通報」するべきかという話を具体例交えてお話ししました。例えば,障害者施設でトラブルをきっかけに他の入居者を叩いた方の身体を拘束して隔離することは「虐待」か?などです。この場合でも,本人や他人が危険にさらされているという切迫性,他の方法をとることができないという非代替性,一時的なものであるという一時性などの要件が充たされなければ「虐待」にあたり得ます。もっとも現実には,判別が難しいことも多々あるはずです。

気を付けなければならないのは法律上の「虐待」にあたるか,「通報」の対象なのかを迷って結局何もしないということがあってはならないということです。関係者が,この行為(不作為も含まれます)は問題ではないかというアンテナを張り,一人で判断せずに複数で対応も含めてすみやかに協議するということが大事です。厚生労働省もマニュアルで「虐待」の判断はチームで行うべきとしています。言うまでもなく,これはチームで「虐待」と判断するまでは何もしなくてよいということではありません。結果的に「虐待」にあたらなかったとしてもチームで問題点を浮き彫りにし,成年後見申立てなどにつなげるべき事案は多くあるはずです。
必要な人に必要な救済や支援をしていくという今まで通りの当たり前の視点こそが関係者に求められています。
 (亀井)

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