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2012年11月 7日 (水)

市民後見人

この秋から,渋谷区成年後見支援センター「成年後見活用促進ネッワーク市民後見人養成事業専門部会」の委員に就任しました。

「市民後見人」とは,要するに親族でもなく,また弁護士や司法書士などの資格を持つわけではないが,成年後見人として活動する意欲と能力のある人のことをいいます。もちろん家庭裁判所から正式に後見人として選任されるまではあくまでも「候補者」ということになります。

平成24年4月施行の改正老人福祉法32条の2では,市町村が主体となって後見人を確保するための取組みをしなければならないという努力義務が規定されました。具体的には,市町村には,市民後見人を確保するための研修の実施,後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦等をすることが求められます。
この候補者を養成する事業を渋谷区でも本格的に始めたということです。

 現在,日本は国民の5人に1人が高齢者(65歳以上)という高齢社会を迎えています。今後もさらに高齢者の割合が高まり,今以上に多くの人が認知症等で成年後見制度を利用する可能性があります。一方で,少子化の進行,家族の分散化等により,親族以外の者が後見人にならざるを得ないというケースの割合も高くなると思われます。

 最高裁判所が公表している「成年後見関係事件の概況-平成23年1月~12月-」によれば,親族が選任されたのが約55.6%(中でも子が圧倒的に多い)であり,親族以外では司法書士,弁護士,社会福祉士などの専門家が多く選任されています。現在はこれらの人で成年後見人をほぼ担っている状況です。

 しかし,将来的にはどうでしょう。現在ですら,親族といえども元々ほとんど接触がない,関わりたくない,面倒なことはやりたくないという人は珍しくありません。このような場合,家庭裁判所は,親族に無理に委ねることはせず,一般的には専門職団体に推薦を求めるなどして,専門家から選任しています。

 ただ,後見申立件数がさらに増大したときに専門家だけで十分に対応できるかというと地域によっては不安もあります。また,必ずしも法的な紛争があるわけではなく,見守り的な身上監護にこそ重点が置かれるべきケースについては専門家よりもむしろ近くに住んでいてかつ信頼できるという人こそが後見人にふさわしいということもあります。

このような事情から市民後見人を養成する事業が数年前から既に各地で行われています。

 上記最高裁の統計によれば平成23年は92人の市民後見人が選任されたとのことです。
前年の統計には「市民後見人」というカテゴリーはありませんでした(おそらく「その他」に入っていたのでしょう)。いよいよ社会的に認知されるようになってきたということかもしれません。

 ただ,社会貢献の意欲と後見業務に関する能力を備えた方を市民後見人候補者として確保するのは容易ではありません。被後見人の立場からすれば,見ず知らずの他人が財産管理・身上監護の権限を持つことになりますが,後見制度の十分な理解と知識がない人が選任されたのでは困るわけです。

 そういう意味で,いよいよ本格化する各地での養成事業は大変重要といえます。市民後見人が普及するためには様々な検討課題がありますが,多くの市民が成年後見制度に関心を持ち,我々専門家とともに支える側になってくれたらと思います。

(亀井)

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