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2012年10月10日 (水)

SNSを利用した消費者被害が増加

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用した消費者被害が増えているそうです。東京都のウェブサイトをみると、今年に入ってから、ミクシィなどを利用して勧誘していた競馬投資ソフトと、オイルマッサージの業者に対する業務停止命令が掲載されています。

マルチ商法が禁止されれば、ネットワーク・ビジネスと名前を変えたり、訪問販売が規制されれば、自宅を訪問して貴金属を買い叩く「押し買い」なるものが登場したりと、消費者被害はいつも規制の抜け穴をつく業者と、それを規制しようとする行政のイタチごっこです。

ところで、SNSを利用した勧誘は何に抵触したのかと調べてみたら、訪問販売に当たるということのようですね。訪問販売というと違和感があるかもしれませんが、特定商取引法(かつては訪問販売法といいました。)は「訪問販売」とは、文字どおり自宅を訪問する場合だけでなく、営業所に呼び出して契約する場合を含んでおり(2条1項2号)、いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールスは、これに含まれます。

特定商取引法の文言は「営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した」となっていますので、SNSだと「呼び止める」とは言いづらいように思いますが、施行令1条1号が「信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して」と規定していますので、SNSもこれに含まれるということのようです。たしかにこの文言だと、あらゆる勧誘方法が含まれそうですね(含まれないのは伝書鳩とテレパシーくらいでしょうか。)。

こうしたイタチごっこの結果、規制がどんどん複雑になるために、いまや特定商取引法と割賦販売法はもっともややこしい法律のひとつになってしまった感があります。

東京都は、関東甲信越ブロックで、悪徳商法被害防止の共同キャンペーンを張っているそうであり、それはそれでとてもよいことだと思うのですが、他方で、手を変え品を変え「おいしい話」に騙される私たち消費者の側も、もっと賢くならないといけませんね。

もし悪徳商法の被害に遭いましたら、特定商取引法や割賦販売法によるクーリングオフ、取消し等ができる可能性がありますので、最寄りの消費者センターか、弁護士にご相談ください。


東京都のウェブサイト
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m3m600.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m67600.htm


(田岡)

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