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2012年10月26日 (金)

会社役員を解任されたという相談が増えています。

会社役員の方から相談を受けることが増えました。役員というのは、非常に微妙な立場です。とくに株主(親会社)が米国法人やベンチャーキャピタルの場合には、役員と言っても、「雇われ社長」のような立場にあります。株主から「解任する」と言われてしまえば任期途中でも失職します。退職慰労金も、株主総会決議がなければ、もらえません。労働者であれば解雇権濫用法理(労働契約法16条)によって解雇は制限されていますし、退職金規程や慣行があれば退職金ももらえるのと対照的です。

これまでは、株主と役員が一致する、いわゆる同族会社が多かったために、役員が会社を訴えることは多くありませんでした。しかし、最近は世代交代により、創業者の株式が分散して役員と株主が一致しなくなったため、いわゆるクーデターが起きることがあります。また、米国法人などが親会社の外資系企業、ベンチャーキャピタル等から出資を受けている場合には、業績が悪いとすぐに解任されてしまいます。そのために、役員から、会社を訴えたいという相談が増えているのです。

では、気軽に相談できる弁護士がいるかといえば、意外に役員にはいないのです。会社の顧問弁護士は、あくまで会社の代理人ですから、依頼はもちろん、相談することもできません。会社の案件で何度も顔を合わせて打ち合わせをしていた間柄でも、解任されてしまえば敵同士です。他方で、従業員のように労働組合があるわけでもありませんし、労働事件というカテゴリーにも当てはまりません。そのために意外に弁護士を見つけられず、困っている方がいらっしゃるようです。

会社法は、任期途中の解任は、正当な事由がない限り、損害賠償をしなければならないと定めています。業績の悪化などは、正当な事由にはならないと解されており、これはかなり厳格な要件です。そのために会社を訴えれば、多くの場合に、残任期分の報酬相当額を全額賠償してもらえます。取締役の任期は通常は2年ですから、就任直後や更新直後の場合には、かなり高額になることがあります。

親会社が米国法人等の外資系企業の場合には、日本の会社法にこのような規定があることを知りません。契約書にいつでも解任できると書いてあるから、賠償する義務はないと言ってくることがあります。しかし、日本法人である会社と役員の紛争なのですから、日本の会社法が適用されるのは当然のことです。裁判まですれば、最終的には和解になるとしても、賠償金が支払われることになります。実際には、税務上の控除を利用するため、退職金名目にすることも多いです。

実際にどのくらいの割合で訴訟が起こされているのかわかりませんが、本来は受け取れるはずの賠償金を受け取っていない役員の方は、すくなくないのではないか、という印象を受けます。役員といえども、子会社の役員の場合には実際には労働者と同じような地位にありますので、もっと弁護士を利用されてもよいのではないでしょうか。

(田岡)

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