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2012年10月19日 (金)

はるえの活動日記(その3)

(昨日から続きます)
ただ、どれだけ意識を鋭敏にしたとしても虐待は起こります。誠実に仕事に取り組む限り善意に基づく虐待と正当な業務行為との線引きの難しい事態に直面することは避けられません。

もっとも、間違いが生じること自体は多くの場合さほど大した問題ではありません。間違いを犯しても、他の人や組織から指摘された時に直せば問題はありません。重要なのは同じ誤りを繰り返さないことです。気にしなければならないのは、間違いをチェックする仕組みが機能しているかどうかです。この点で問題がないのであれば、組織としては健全だと言って差し支えありません。

 そうした意味で今後の障害者福祉施設には所内研修の実施だけではなく通報の所内窓口に外部の目を入れることが極めて重要だと思いました。組織・団体は同じ価値観を共有する人材で占められがちです。自分達のしていることに違和感がもたれにくい素地があります。

虐待を通報するにあたっては、緊急性が認められる案件でない限り基本的には所内で事実確認をした上で市町村への報告を行うのが適切だと思いますが、所内の確認部局に外部の者を入れておくことは問題の潜在化を防ぐための選択肢の一つです。こうした領域でも弁護士は一定の役割を果たすことができるのではないかと思いました。

 虐待を発見した人がどのような行動をとったら良いかにも触れておきます。上述のとおり、所内通報窓口がある場合にはその部署へ、それがない場合には所長に連絡して適切な対応を促すのが良いと思います。そこで問題が隠蔽された時に初めて市町村に直接通報すれば良いでしょう。ただし、物理的な暴行の場面を目撃した時など緊急性の高い場面では、直ちに市町村等に通報する必要があります。

虐待の通報を受けた施設の責任者は、根も葉もない風聞であった場合を除き、事実関係を整理した上で速やかに市町村に報告しておくべきです。広く情報を提供しておいた方がリスク管理上望ましいのは間違いありません。あらぬ疑いをかけられて行政から調査が入った場合でも、利用者から寄せられた虐待情報を定期的に市町村に報告していれば問題がないことの説明がし易くなります。

実際に虐待が存在した場合でも事実関係を隠蔽したという誹りを避けられ、建設的な話合いをすることに繋がります。更に言えば、自分達のしていることが行政から見ても適切と言えるのかを常に確認しながら施設を運営していれば、そもそも致命的な誤りは起こり得ないとも思われます。

(師子角)

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