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2012年10月17日 (水)

はるえの活動日記(その1)

弁護士の師子角です。

 9月14日、地域活動支援センターはるえ野での勉強会に参加してきました。障害者・センター職員・弁護士の三者で障害者虐待防止法をテーマに議論が交わされました。

 障害者虐待防止法は今年の10月1日から施行された新しい法律です。児童虐待防止法、高齢者虐待防止法に引き続き、障害者を虐待から保護する仕組みも漸く整いました。

 これまで障害者のみ取り残されていたのは、当事者が声を上げにくかったからではないかと思います。

 精神障害や知的障害を持っている方の中には虐待を受けていても、自分が被虐者であることに気付かない方が珍しくありません。養護者によって外出を制限されている場合には社会との接点も希薄になります。福祉施設を利用している場合であっても、専門的なケアを依頼している負い目から障害者もその家族も処遇に関する不満を述べにくいという構造的な問題があります。

子どもや高齢者であっても当事者が声を上げるには多かれ少なかれ困難を伴いますが、精神障害・知的障害を持つ方の場合にはそれが特に顕著ではないかと思います。今更ではありますが、声を上げられない人の抱えている問題に気付くため、人権意識を磨いていくことの重要性を痛感しました。

 勉強会で議論した内容は大きく二つあります。(1)何が虐待なのかということと、(2)虐待を発見した人はどのような行動をとったら良いのか、ということです。

 障害者虐待防止法は虐待にあたる行為を列挙しています。A身体的虐待、B性的虐待、C心理的虐待、D放棄・放置、E経済的虐待の五つです。

 しかし、何が虐待に該当するのかは、それほど明確ではありません。

 例えば、身体的虐待には「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」も含まれます。他の入所者に対して何度注意しても暴力を振るう障害者を拘束して鍵付きの部屋に押し込めることは、身体的虐待にあたるのでしょうか。

 複数の異性と交際している男性施設職員が、交際相手の一人として通所者と性的関係を結んだ場合はどうでしょうか。

 別の仕事をしなければならないため、障害者から話しかけられた時に適当にいなしておくことも問題とされるのでしょうか。

 判断能力の不十分な障害者が消費者被害の対象にされることを防ぐため、年金が振り込まれている通帳を施設職員が管理することはどうでしょうか。

 ある行為が虐待に該当するかどうかは専門家でも判断に困る場面が珍しくありません。

(続きます)

(師子角)

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