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2012年10月

2012年10月30日 (火)

原子力損害賠償~東電への直接請求とセンター申立て(ADR)の長短

原発被災者弁護団に加わり,ADRを進めて行くにつれ,東電の直接請求とADRでの対応の違いが目につくようになりました。

直接請求をしても認められないものが,時間と手間をかけてADRで判断してもらえば多く賠償金がもらえるようになる…これが,通常人が抱いているイメージだったと思います。ところが,現実はどうも違うように感じられるのです。

同じような請求をしても,直接請求をした人には認められたものが,ADR申立てをした人には認められない,あるいは詳細な証拠を求められた挙げ句にその証拠を減額の根拠とされたというような事案を頻繁に見かけます。

これは,東電の中で直接請求に対応する部署と,ADRに対応する部署が異なることによって起こる現象のようです。数が多い直接請求の部署では,細かな認否や証拠の精査をしていられないため,かなり適当な主張や立証でも支払を認める一方,ADRでは東電側が弁護士をつけて,極力賠償額を減らすために主張や証拠を精査して,立証の弱い部分をどんどん切り捨てているのです。

そして,センターの仲介委員にも,和解させようという意気込みが先行するあまり,東電が認めない部分については和解案に盛り込まない(賠償対象から外す,あるいは減額する)という消極的な姿勢があります。
結果,直接請求者の方が手間も時間もかけずに多くの賠償金がもらえるという事態が生じることがあるようなのです。

上記現象は,交通費の請求や,生命身体損害の請求で比較的多く見られると感じています。
直接請求した人には,交通費に制限をかけずに支払う一方で,ADR申立をした者には月に2回目以降の移動費を認めなかったりしています。

生命身体損害の請求も,直接請求した人には事故と損害の因果関係を細かく問わない一方で,ADR申立てをした者には東電側で因果関係を調べ,明らかに因果関係があるという診断が出なかった場合は一切支払わなかったりしています。

無論,直接請求では歯牙にもかけられなかった請求が,ADRで申立をすることによって認められた事案も多くあるので,直接請求の方がよいと言うつもりはありません。
しかし,まず直接請求を先行させ,後にADR申立てをすると,どうなるでしょうか。上述した,生命身体損害が例としてわかりやすいので,これを題材にして,以下シミュレーションします。

直接請求では,因果関係を深くは問われないので,診断書がそこをあまり明らかにしていなくても,東電は通院慰謝料と交通費を社内基準で支払ってくるでしょう。
ただし,社内基準なので,払ってもらえる通院慰謝料はかなり低めです。
そこで,次にADR申立をします。

診断書が,事故と損害の因果関係をはっきり認めていれば,直接請求を先行させなくても結論は同じですが,因果関係がはっきりしていなかった場合は違いが出そうです。
つまり,先行する直接請求で,東電は因果関係を認めたことになるので,今更それを撤回するのは信義則に反するとして,因果関係を争わずに金額のみを争うことができるのではないでしょうか。

直接請求とADRには一長一短がありますが,それが当初言われていたような,「時間と手間をかけて多くの賠償金をもらうか,時間と手間をかけずに最低限の賠償金をもらうか」という選択では必ずしもなくなっているという現状があります。

個人的な意見としては,先に直接請求を行い,足りない部分をADRで補完するというのがよいように思うのですが,これだと実は代理人がADRの申立てを請け負える事案は限られて来るように思われます。何故なら,なかなか認められず手間がかかる部分のみがADRに残り,かつ少額の請求になることが多くなるため,代理人はかけた労力に見合う報酬が得られないからです。

センターには,申立てには極力弁護士をつけて,主張を分かりやすいものにしてほしいという意向があるそうですが,上記のような流れができると,そうもいかなくなるでしょう。弁護士をつけられない被災者は,不十分な主張立証しかできず,得られる賠償金が下がってしまいます。

そうならないようにするために,①東電はADRにおいて,最低でも直接請求すれば支払われる金額を速やかに認め,支払うこと②センターは,東電が支払に難色を示すような場合でも,被災者に寄り添った和解案を提示し,東電を説得する勇気を見せること,以上2点を強く提言したいと思います。

(石丸)

2012年10月29日 (月)

東電OL殺人事件再審第1回公判・検察官が無罪意見

当事務所の神山啓史弁護士が主任を務める東電OL殺人事件の再審第1回公判が本日(10月29日)東京高裁で開かれ,検察官はゴビンダ・プラサド・マイナリさんが無罪である旨の意見を述べました。判決言渡しは11月7日。ようやくゴビンダさんに無罪の判決が言い渡されることになります。

犯人が第三者である可能性は,弁護団が当初から指摘していました。それを容れて1審裁判所は無罪の言渡しをしましたが,控訴審ではゴビンダさんの勾留を決定し,その自由を奪い続けながら無期懲役の判決を下しました。そして最高裁も,その結論を維持しました。

神山弁護士は,修習生や若手弁護士に対してこの事件について話すたびに,「間違っているのは最高裁だ。君たちは,最高裁がいつも正しいと思うような法律家になるな。」と言い続けてきました。この間の事件の展開は,まさに神山弁護士の指摘の正しさを証明したものと思います。

ちなみに検察官が再審公判において無罪の意見を述べるのは2度目。1度目は足利事件だとのこと。神山弁護士は,足利事件の再審弁護人も務めていました。

私は,私たちの尊敬する同僚とその弁護団が,静かな情熱をもって再審の扉を開けて,無実の人の冤罪を晴らしたことを誇りに思います。

(櫻井)

2012年10月26日 (金)

会社役員を解任されたという相談が増えています。

会社役員の方から相談を受けることが増えました。役員というのは、非常に微妙な立場です。とくに株主(親会社)が米国法人やベンチャーキャピタルの場合には、役員と言っても、「雇われ社長」のような立場にあります。株主から「解任する」と言われてしまえば任期途中でも失職します。退職慰労金も、株主総会決議がなければ、もらえません。労働者であれば解雇権濫用法理(労働契約法16条)によって解雇は制限されていますし、退職金規程や慣行があれば退職金ももらえるのと対照的です。

これまでは、株主と役員が一致する、いわゆる同族会社が多かったために、役員が会社を訴えることは多くありませんでした。しかし、最近は世代交代により、創業者の株式が分散して役員と株主が一致しなくなったため、いわゆるクーデターが起きることがあります。また、米国法人などが親会社の外資系企業、ベンチャーキャピタル等から出資を受けている場合には、業績が悪いとすぐに解任されてしまいます。そのために、役員から、会社を訴えたいという相談が増えているのです。

では、気軽に相談できる弁護士がいるかといえば、意外に役員にはいないのです。会社の顧問弁護士は、あくまで会社の代理人ですから、依頼はもちろん、相談することもできません。会社の案件で何度も顔を合わせて打ち合わせをしていた間柄でも、解任されてしまえば敵同士です。他方で、従業員のように労働組合があるわけでもありませんし、労働事件というカテゴリーにも当てはまりません。そのために意外に弁護士を見つけられず、困っている方がいらっしゃるようです。

会社法は、任期途中の解任は、正当な事由がない限り、損害賠償をしなければならないと定めています。業績の悪化などは、正当な事由にはならないと解されており、これはかなり厳格な要件です。そのために会社を訴えれば、多くの場合に、残任期分の報酬相当額を全額賠償してもらえます。取締役の任期は通常は2年ですから、就任直後や更新直後の場合には、かなり高額になることがあります。

親会社が米国法人等の外資系企業の場合には、日本の会社法にこのような規定があることを知りません。契約書にいつでも解任できると書いてあるから、賠償する義務はないと言ってくることがあります。しかし、日本法人である会社と役員の紛争なのですから、日本の会社法が適用されるのは当然のことです。裁判まですれば、最終的には和解になるとしても、賠償金が支払われることになります。実際には、税務上の控除を利用するため、退職金名目にすることも多いです。

実際にどのくらいの割合で訴訟が起こされているのかわかりませんが、本来は受け取れるはずの賠償金を受け取っていない役員の方は、すくなくないのではないか、という印象を受けます。役員といえども、子会社の役員の場合には実際には労働者と同じような地位にありますので、もっと弁護士を利用されてもよいのではないでしょうか。

(田岡)

2012年10月25日 (木)

「弁護士たちの街角6 ~私はあきらめない~」(再放送)

「弁護士たちの街角6 ~私はあきらめない~」(再放送)

 BSフジにて,桜丘法律事務所の弁護士たちの日々を追ったドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」のシリーズ「弁護士たちの街角6 ~私はあきらめない~」が放映されます。

 シリーズ6本目となる本作では,出産間近の女性被告人の国選弁護人を引き受けた佐藤倫子弁護士と,家族の問題に立ち向かう鈴木穂人弁護士を取り上げています。

 BS放送ですが,全国どこでも視聴可能ですので,ぜひご覧ください。

   10月27日(土)14時~14時55分
   BSフジ 
   ザ・ノンフィクション「弁護士たちの街角6 ~私はあきらめない~」
   http://www.bsfuji.tv/top/pub/thenonfx.html

精神障害を有する被疑者の取調べが可視化されます。



最高検は23日、精神障害などで責任能力が問題となる事件でも取り調べの録音・録画(可視化)を導入すると発表した。11月1日から試行する。逮捕直後の身ぶりや口調を記録することで、犯行時の精神状態の立証や専門家の鑑定に役立てる。

来月から、精神障害が疑われる被疑者の取り調べは、録音録画がされることになりました。これまでは、裁判員裁判対象事件、特捜部事件、知的障害を有する被疑者の3類型に限って、録音録画をしてきましたが、その対象がさらに広がることになります。

精神障害を有する被疑者のばあいには、供述調書が任意に作成されたものかどうかの判断資料にするほか、精神鑑定の鑑定資料とすることも想定されているそうです。これまでは逮捕から裁判までに半年から1年程度を要することが多く、その期間中に投薬治療等を受けて症状が改善したり、逆に拘禁反応によって症状が悪化してしまうということがありました。逮捕直後の言動が記録され、鑑定資料となることで、より正確な鑑定が可能になると考えられます。

ただ、今回の拡大でも、録音録画されるのは、検察官が被疑者に精神障害があると疑った場合に限られています。実際には通院歴がなかったり、疎通性に問題がないために、精神障害が看過されてしまい、後に精神鑑定を実施してはじめて妄想等を抱いていたことが明らかになった例も少なくありません。

精神障害や知的障害を有する被疑者の場合には、とくに誘導される危険性が高く、後から記憶どおりに供述したのかどうかを検証することは非常に困難です。

今週、私が担当している事件の被告人質問がありましたが、弁護人から質問されると弁護人の望むように回答し、検察官から質問されると検察官の望むように回答するので、まったく逆の証言をしてしまうということありました。脅迫したり威圧しなくても、「こうじゃなかったの?」と聞くだけで、いとも簡単に「はい」といわされてしまうのです。私たちも、何が本当の記憶なのかを確認するのに非常に苦労しました。

検察官は少しずつ可視化の範囲を広げてはいますが、いまだに全面的な可視化には消極的です。しかし、裁判員裁判対象事件と特捜部事件に加えて、知的障害、精神障害まで拡大したのであれば、もはや一部に限定する必然性はないでしょう。知的障害や精神障害の発見が難しいことや、後から検証することが難しいことを考えれば、原則として全事件で録音録画を行うべきであると考えます。

(田岡)

2012年10月19日 (金)

10月23日の神山ゼミ・教室変更のお知らせ

10月23日火曜日午後6時より,神山ゼミを行います。

従前告知していた教室に変更がありましたので,お知らせいたします。
参加を予定されている皆様は,ご注意下さい。

10月23日の神山ゼミは,伊藤塾521B教室において行います。

なお,今からでも参加できますので,参加を希望される方は,
komiya@sakuragaoka.gr.jp
宛に,参加を希望する旨のメールを送って下さい。

はるえの活動日記(その3)

(昨日から続きます)
ただ、どれだけ意識を鋭敏にしたとしても虐待は起こります。誠実に仕事に取り組む限り善意に基づく虐待と正当な業務行為との線引きの難しい事態に直面することは避けられません。

もっとも、間違いが生じること自体は多くの場合さほど大した問題ではありません。間違いを犯しても、他の人や組織から指摘された時に直せば問題はありません。重要なのは同じ誤りを繰り返さないことです。気にしなければならないのは、間違いをチェックする仕組みが機能しているかどうかです。この点で問題がないのであれば、組織としては健全だと言って差し支えありません。

 そうした意味で今後の障害者福祉施設には所内研修の実施だけではなく通報の所内窓口に外部の目を入れることが極めて重要だと思いました。組織・団体は同じ価値観を共有する人材で占められがちです。自分達のしていることに違和感がもたれにくい素地があります。

虐待を通報するにあたっては、緊急性が認められる案件でない限り基本的には所内で事実確認をした上で市町村への報告を行うのが適切だと思いますが、所内の確認部局に外部の者を入れておくことは問題の潜在化を防ぐための選択肢の一つです。こうした領域でも弁護士は一定の役割を果たすことができるのではないかと思いました。

 虐待を発見した人がどのような行動をとったら良いかにも触れておきます。上述のとおり、所内通報窓口がある場合にはその部署へ、それがない場合には所長に連絡して適切な対応を促すのが良いと思います。そこで問題が隠蔽された時に初めて市町村に直接通報すれば良いでしょう。ただし、物理的な暴行の場面を目撃した時など緊急性の高い場面では、直ちに市町村等に通報する必要があります。

虐待の通報を受けた施設の責任者は、根も葉もない風聞であった場合を除き、事実関係を整理した上で速やかに市町村に報告しておくべきです。広く情報を提供しておいた方がリスク管理上望ましいのは間違いありません。あらぬ疑いをかけられて行政から調査が入った場合でも、利用者から寄せられた虐待情報を定期的に市町村に報告していれば問題がないことの説明がし易くなります。

実際に虐待が存在した場合でも事実関係を隠蔽したという誹りを避けられ、建設的な話合いをすることに繋がります。更に言えば、自分達のしていることが行政から見ても適切と言えるのかを常に確認しながら施設を運営していれば、そもそも致命的な誤りは起こり得ないとも思われます。

(師子角)

2012年10月18日 (木)

はるえの活動日記(その2)

(昨日から続きます)
 障害者の人権が守られなければならないことは当然ですが、虐待と誹られることを怖れて職員が萎縮してしまうことも問題です。法制定に反対していた人の危惧は萎縮的な効果を念頭に置いたものだと思います。

 しかし、障害者虐待防止法は問題を潜在化させないことを念頭に置いた法律であるため、施設職員の方が萎縮する必要はありません。

 極めて大雑把に言うと、障害者虐待防止法は、①虐待を受けたと「思われる」障害者の発見→②市町村への通報→③問題があれば改善のための措置をとる、という構造の法律です。判別が難しいため、虐待が疑われるものがあれば取り敢えず問題を顕在化させよう、その上で本当に問題なのかを議論して行こうという法律です。虐待をした人を吊し上げるための法律ではありません。罰則も守秘義務に違反した場合や、役所による調査を妨害した場合にのみ規定されています。議論が積み重なって何が虐待で何が虐待ではないのかの線引きが明確になることは施設で働く職員の方にとっても有益なのではないかと思います。

 虐待を防ぐためには、①目的は手段を正当化しないという障害者を取り巻く方の意識と、②虐待と思われるケースが潜在化しないための組織作りの両方が重要です。

 例えば、客観的に障害者のためになるからといって物理的な力を使って通帳を取り上げることはやはり虐待にあたるのだろうと思います。目的は正当でも手段が個人としての尊厳を無視した乱暴なものであれば容認することはできません。この場合には法に規定されている後見制度を利用しなければなりません。

目的が正当かどうかという問題と手段が適切かどうかという問題は区分けして考えなければなりません。この点を混同すると虐待が生じてしまいます。善意に基づく虐待は悪意による虐待よりもずっと厄介です。虐待者に虐待をしているという認識がないし、周囲も目的の正当性に目を奪われて多少のやりすぎは仕方ないと黙認してしまいがちだからです。いくら正しい目的のもとでも障害者の人格を蹂躙することは許されないことを明確に意識することが重要です。

(さらに続きます)

(師子角)

2012年10月17日 (水)

はるえの活動日記(その1)

弁護士の師子角です。

 9月14日、地域活動支援センターはるえ野での勉強会に参加してきました。障害者・センター職員・弁護士の三者で障害者虐待防止法をテーマに議論が交わされました。

 障害者虐待防止法は今年の10月1日から施行された新しい法律です。児童虐待防止法、高齢者虐待防止法に引き続き、障害者を虐待から保護する仕組みも漸く整いました。

 これまで障害者のみ取り残されていたのは、当事者が声を上げにくかったからではないかと思います。

 精神障害や知的障害を持っている方の中には虐待を受けていても、自分が被虐者であることに気付かない方が珍しくありません。養護者によって外出を制限されている場合には社会との接点も希薄になります。福祉施設を利用している場合であっても、専門的なケアを依頼している負い目から障害者もその家族も処遇に関する不満を述べにくいという構造的な問題があります。

子どもや高齢者であっても当事者が声を上げるには多かれ少なかれ困難を伴いますが、精神障害・知的障害を持つ方の場合にはそれが特に顕著ではないかと思います。今更ではありますが、声を上げられない人の抱えている問題に気付くため、人権意識を磨いていくことの重要性を痛感しました。

 勉強会で議論した内容は大きく二つあります。(1)何が虐待なのかということと、(2)虐待を発見した人はどのような行動をとったら良いのか、ということです。

 障害者虐待防止法は虐待にあたる行為を列挙しています。A身体的虐待、B性的虐待、C心理的虐待、D放棄・放置、E経済的虐待の五つです。

 しかし、何が虐待に該当するのかは、それほど明確ではありません。

 例えば、身体的虐待には「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」も含まれます。他の入所者に対して何度注意しても暴力を振るう障害者を拘束して鍵付きの部屋に押し込めることは、身体的虐待にあたるのでしょうか。

 複数の異性と交際している男性施設職員が、交際相手の一人として通所者と性的関係を結んだ場合はどうでしょうか。

 別の仕事をしなければならないため、障害者から話しかけられた時に適当にいなしておくことも問題とされるのでしょうか。

 判断能力の不十分な障害者が消費者被害の対象にされることを防ぐため、年金が振り込まれている通帳を施設職員が管理することはどうでしょうか。

 ある行為が虐待に該当するかどうかは専門家でも判断に困る場面が珍しくありません。

(続きます)

(師子角)

2012年10月16日 (火)

採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」(大阪会場)に参加してきました。

10月6日,大阪弁護士会館にて行われた,第66期司法試験合格者等対象「ひまわり・スタッフ・独立開業支援 採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」【大阪会場】に参加してきました。
私は,法テラス岐阜の坂本裕香弁護士と,小浜ひまわり基金法律事務所所長の上原千可子弁護士と共に,第一部のパネルディスカッションにパネリストとして参加し,主として退任後に公設事務所長がどのようなことをやっているのか,また後進を公設事務所長や法テラスのスタッフ弁護士として送り出すにあたり,どのような点に気をつけて養成をしているのか,等の話をしてきました。

 また,第二部では個別事務所の説明会を行ったので,桜丘法律事務所を代表して,事務所の特色,養成方法等について話をしてきました。
おおよそ80名程度の参加があったようですが,皆さんとても熱心にいろいろ質問をしてくれました。
 ひたむきでまっすぐだった修習生時代を思い出すと共に,あの頃あこがれた先輩達のように,自分は今なっているだろうかと,改めて身が引き締まる思いを抱きました。

公設事務所や法テラスは,過疎地や事件過疎の問題にまずは人を派遣することが急務だった黎明期から発展期を経て,その場所で何ができるか,どのような活動をするべきかが問われる円熟期に入っていると感じますが,どの世代においても制度を支えるのは熱意と情熱にあふれる「人」であり,有為の人材の確保はいつになっても重要かつ喫緊の課題です。

思い起こせば,私自身も,桜丘法律事務所の先輩にあたる松本三加弁護士の話を聞いて,その勇姿にあこがれて公設事務所を目指したのでした。今度は自分自身が,自分たちの活動の意義ややりがいを後輩達に示すことで,少しでもひまわり公設事務所や法テラスの魅力を伝えることができ,一人でも多くの熱意あふれる新人が,我々の仲間として公設事務所や法テラスへの赴任を検討してくれればいいな,と思います。

(新谷)

2012年10月15日 (月)

やや微妙な業務改善日記4 (キーボードにこだわろう)

だんだんマニアックになっていくこの業務改善日記,誰が読んでいるんでしょうか。
さて,今日は前回のデュアルモニターの導入に引き続き,起案環境の整備としてキーボードの話題を取り上げます。

前回も言ったとおり,弁護士業務のかなりの部分を起案が占めているわけです。そして,我々は日がなキーボードから文章を入力しています。大部分の弁護士は,一日に手書きする文字の何倍か何十倍かの文字を,キーボードからパソコンに入力しているはずです。つまり,一日で一番長く触っている道具になっているはずです。

しかし,筆記具にこだわって万年筆などを使う弁護士は多く見ますが,パソコンのキーボードにこだわっている弁護士を見ることはそれほど多くありません。たいていの場合,既製品のパソコンについてきたおまけのようなキーボードをそのまま使っているようです。

しかし,一日中触っている道具だからこそ,ちょっと奮発してまともなキーボードを使ってみると,入力の効率や疲れの度合いが大きく変わってきます。

キーボードの好みは人それぞれなので,店頭でいろいろ触ってみて自分好みのキーボードを選ぶとよいと思います。テンキーの有無やキー配列,キーピッチなど,人によっていろいろな好みがあると思いますので,心行くまで選んでみるといいのではないでしょうか。

ちなみに,私の周りで安定して評価が高いのは,東プレのリアルフォースシリーズでしょうか。
http://www.topre.co.jp/products/comp/index.html
キーも打ちやすいような角度が工夫されていたり,小指や薬指とその他の指のキーで押し下げ加重を変えており,長時間タイピングしていても疲れづらいなど,完成度の高いキーボードです。

(追記) 指によって押し下げ加重が変わる変加重モデルと,全てが軽いモデルがあるので,補足しておきます。どちらが良いかは,実際に触って確かめるのが良いでしょう。(追記終了)

いいキーボードはどれも値段はそれなりにはりますが,10年くらいは使うものであること,その期間にキーボードを触る時間の長さを考えると,キーボードに投資する価値は十分にあるものといえます。

ちなみに,私が使っているキーボードは東プレのリアルフォースシリーズのテンキーレスモデルです。弁護士一年目に自分へのご褒美として買って以来7年間使い続け,公設事務所赴任中の大量の起案も支えてくれた相棒ですが,全く故障することもなく元気に活躍してくれています。

(新谷)

2012年10月12日 (金)

遠野ひまわり基金法律事務所見学記(古宮)

9月7日に岩手県の遠野ひまわり基金法律事務所を見学してきました。ご報告が遅れました…1ヶ月も。

桜丘法律事務所の新人弁護士は,事務所で約1年間の養成期間を経た後,ひまわり基金法律事務所の所長か法テラスのスタッフ弁護士として,各地(主に弁護士過疎地域)に赴任していきます。そこで,赴任前には,ひまわり基金法律事務所を訪問して,自らが赴任するときに備えます。どのような困難があるのか,仕事の工夫,事務所の様子等を知ることができます。今回,私は,遠野ひまわり基金法律事務所に行ってきました。

遠野ひまわり基金法律事務所を見学先に選んだ理由は,東日本大震災の復興支援に特に力を入れているからです。昨年,震災復興支援のための弁護士第1号が,東京から赴任した事務所でもあります。

私は,東日本原発被災者弁護団の活動をしている関係で,福島県の状況を知る機会はありますが,福島県以外の被災地に実際に行く機会が最近ありませんでした。そこで,岩手県の遠野ひまわり基金法律事務所の弁護士の活動を拝見したかったのです。

●9月7日 遠野ひまわり基金法律事務所へ

東京から新幹線で新花巻に行き,新花巻からJR釜石線に乗り継ぎ,電車に揺られること1時間弱,お昼過ぎに遠野駅に到着しました。河童の町・遠野!駅周辺の至るところに河童があしらわれています。ポストの上にはちょこんと河童が体育座りをし,交番には河童の顔がくっついています。駅のロータリーの池では,何と,スレンダーな河童が3匹で談話している!?…なかなかリアルな像です(本物の河童を見たことはありませんが,おそらくこんな感じなのでしょう。)。

遠野ひまわり基金法律事務所の亀山先生と大沼先生が駅まで迎えに来てくださいました。その足で,公証役場の入っている建物周辺や,仮設住宅などを案内してくださいました。遠野に仮設住宅は一箇所しかありません。

先生方とお昼をご一緒しながら,震災対応のお話などを伺いました。現在,岩手弁護士会では,「被災ローン減免制度」の周知活動に力を入れているそうです(「被災ローン減免制度」がどのような制度であるかについては,当事務所から岩手県宮古市の宮古ひまわり基金法律事務所に赴任している小口幸人先生のブログをご覧ください。→http://oguchilaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-5252.html。制度の周知が足りないことが一つの原因となり,未だ制度の利用件数は70件くらいにとどまっているとのことでした。亀山先生も大沼先生も,土日を利用して釜石市や,大槌町などに足を運び,制度の周知活動や法律相談を行っていました。今回私は,大沼先生が釜石市の仮設住宅に訪問するのにご一緒させて頂くことになりました。


●9月9日 釜石市での仮設住宅訪問

  釜石市の仮設住宅訪問の目的は,一人暮らしの高齢者の孤独死を防ぐことと,被災ローン減免制度の周知活動です。各家庭を訪問して生活に変わりがないかうかがうのと一緒に,被災ローン減免制度を説明して回ります。

仮設住宅では,マンションや団地のように,ご近所付き合いが疎遠になり,孤独死が増えるという問題が生じていました。そのため,個別訪問して体調をうかがったり,集会に足を運んで他の人と交流するように水を向けることが重要になります。

訪問は,「遠野まごころネット」というボランティア団体の方と弁護士がペアで行います。まごころネットには全国各地から様々な職業の方が参加しています。私がペアになった方は,普段は青森で市役所の職員として働いておられました。月に1度くらい週末を利用してまごころネットの活動をしているのだそうです。

訪問して感じたことは,被災ローン減免制度の名前を聞いたことがあっても,自分が制度を使った方が良いかどうか考えてみない方が多いということです。玄関先で制度の説明をしていて,最初は「それ(減免制度)知ってますー。うちは,全然大丈夫だからー」と言っていた人でも,会話を続けていると,ポロッと,制度を使った方が良いと思われる話題が飛び出すことがあります。そういう人は,難しそうな名前の制度なので,はなから自分には縁遠いものであると感じていたり,いきなり説明されても聞き流してしまうようにも思えました。

大沼先生いわく,訪問していると何気ない会話の中から,法律問題が出てくることは,よくあるそうです。訪問の目的は制度の周知ですが,制度を実際に使ってもらうためには,制度の説明をするよりも,少し時間をとっておしゃべりをして,弁護士が法律問題を掘り起こすアプローチの方が,有効かなと思いました。

(古宮)

2012年10月11日 (木)

ひまわり基金法律事務所見学記(鏑木)

桜丘法律事務所の新人は,1年~1年半の養成を経た後,2年~3年の任期で,全国のひまわり基金法律事務所又は法テラスに赴任します。詳しくは,こちらをご覧ください。

http://www.sakuragaoka.gr.jp/kosetsu/

今回,その一環として,奄美大島にある末広町法律事務所を見学させていただきました。末広町法律事務所は,ひまわり基金法律事務所の一つです。所長の鈴木穂人弁護士は,桜丘法律事務所の出身で,私の2期先輩になります。

http://www.sakuragaoka.gr.jp/lawyer/suzuki.php

依頼者との相談,裁判所での期日,拘置所での接見,市役所職員との意見交換,奄美大島の他の弁護士との意見交換。3日間という短い滞在でしたが,盛りだくさんのスケジュールに同行させていただきました。その中でも特に印象深かったのが,「出張相談」です。

 「出張相談」というのは,読んで字のごとく,出張して相談にのることです。「出張相談」は,行き帰りの移動に時間がかかり,その間他の業務が出来なくなるため,弁護士からするとハードルの高いサービスです。それでも鈴木弁護士は,「出張相談」は必要だし,結果的に効率的であると言います。

 第1に,弁護士事務所まで行くのは抵抗があるけれど,来てくれるのなら試しに相談してみようという地元の方の話を聞くことができます。奄美では,本当にどうしようもなくなってからでないと,わざわざ弁護士に相談に行こうとは思わない,早期に問題を発見し適切な解決をするためには,こちらから相談を聞きに行くことが必要なのだと,鈴木弁護士は説明してくださいました。

 第2に,必要な書類や証拠が一度に集まるということです。詳細な事実関係を聴く前に,必要になりうる全ての書類や証拠を的確に指示するのは困難です。お宅に訪問し,詳細な事実を聞いたうえで,必要な書類や証拠をその場で指示して探していただければ,事実聴取と証拠の収集を効率的に行うことができます。

 第3に,依頼者の生活や地元の文化を肌で感じることができます。滞在中はちょうど旧盆で,どこのお宅にも祭壇が設けられていました。次から次へと近所の方が訪れてはお線香をあげていました。東京ではなかなか見られない光景です。鈴木弁護士は,地元の方の不安や悩みを少しでも同じ気持ちで感じるためには,言葉の奥にある生活や文化に自分から入らせていただく努力をしなければならないと,私に重ねて説明してくださいました。

 現時点で私の赴任先はまだ決まっておりませんが,どこに赴任させていただくにせよ,鈴木弁護士のように,地元の方々にとって相談しやすく,話していて安心できる弁護士になりたいと思いました。

(鏑木)

2012年10月10日 (水)

SNSを利用した消費者被害が増加

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用した消費者被害が増えているそうです。東京都のウェブサイトをみると、今年に入ってから、ミクシィなどを利用して勧誘していた競馬投資ソフトと、オイルマッサージの業者に対する業務停止命令が掲載されています。

マルチ商法が禁止されれば、ネットワーク・ビジネスと名前を変えたり、訪問販売が規制されれば、自宅を訪問して貴金属を買い叩く「押し買い」なるものが登場したりと、消費者被害はいつも規制の抜け穴をつく業者と、それを規制しようとする行政のイタチごっこです。

ところで、SNSを利用した勧誘は何に抵触したのかと調べてみたら、訪問販売に当たるということのようですね。訪問販売というと違和感があるかもしれませんが、特定商取引法(かつては訪問販売法といいました。)は「訪問販売」とは、文字どおり自宅を訪問する場合だけでなく、営業所に呼び出して契約する場合を含んでおり(2条1項2号)、いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールスは、これに含まれます。

特定商取引法の文言は「営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した」となっていますので、SNSだと「呼び止める」とは言いづらいように思いますが、施行令1条1号が「信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して」と規定していますので、SNSもこれに含まれるということのようです。たしかにこの文言だと、あらゆる勧誘方法が含まれそうですね(含まれないのは伝書鳩とテレパシーくらいでしょうか。)。

こうしたイタチごっこの結果、規制がどんどん複雑になるために、いまや特定商取引法と割賦販売法はもっともややこしい法律のひとつになってしまった感があります。

東京都は、関東甲信越ブロックで、悪徳商法被害防止の共同キャンペーンを張っているそうであり、それはそれでとてもよいことだと思うのですが、他方で、手を変え品を変え「おいしい話」に騙される私たち消費者の側も、もっと賢くならないといけませんね。

もし悪徳商法の被害に遭いましたら、特定商取引法や割賦販売法によるクーリングオフ、取消し等ができる可能性がありますので、最寄りの消費者センターか、弁護士にご相談ください。


東京都のウェブサイト
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/03/20m3m600.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m67600.htm


(田岡)

2012年10月 9日 (火)

取調べ一部録画の弊害

「素人に裁判ができるはずがない」という裁判員裁判の批判をときどき目にしますが、こういうことを言う人は「プロの裁判官」が本当に正しい判断をしてきたと信じているのでしょうか。私に言わせれば、裁判員裁判でも裁判官裁判でも間違うときは間違います(いい判断をしてくれるときは、いい判断をしてくれます)。でも、間違った判断が出たときに、裁判員は素人だからしょうがないと思えますが、プロは許せません。

先日、控訴審でこんな判決がありました。知的障害と精神障害のある被告人が検察官の取り調べでは自白をしましたが、その信用性が争われた事件です。警察官の前では否認するのに検察官の取調べでは自白するので、否認、自白、否認、自白、否認ところころ供述調書の内容が変わり、しかも、その内容が毎回違っていました。弁護人はこんなの信用できるはずがないじゃないか、と争いましたが、一審の裁判員裁判では信用できると判断されてしまいました。

でもまあ、裁判員は取調べを見たこともないから、分からなくても仕方ない。控訴審では判断が変わるかもと淡い期待をしたのですが、さらにひどい判決でした。いわく、たしかにDVDには読み聞かせの場面しか映っていないから、その前にどのような取り調べがあったかはわからないが、少なくとも録画されている間に意思を抑圧されるような強制はなかった、そして書かれている内容もあり得ないことではない、というのです。

被告人は知的障害と精神障害があって、当時も服薬中ですよ。そんな人を2時間も取り調べて作文しておいて、読み聞かせる場面だけ録画して、はいあなたの言ったとおりですね、署名捺印してください、と言われて、署名捺印した場面を見たからと言って、何が分かるというのでしょうか。都合が悪いことがないなら、なぜその前の場面を撮らないのでしょうか。なぜ、その前と後は否認しているのに、そのときだけは自白しているんでしょうか。まったく理解できません。

こんな判断がなされるなら、一部録画はまったく役に立たないばかりか、むしろ有害というべきでしょう。しかし問題は検察官ではありません。検察官は有罪にするために仕事をしているのですから、自白調書をとろうとするのは当然です。録画も都合がいいところだけで済ませようとするのも当然です。問題はそれをチェックすべき役割の裁判官が機能していない、ということです。こんな判断が出るなら、検察官は全部録画などするはずがありません。だって、全部録画なんて面倒なことをしなくても、有罪にできるのですから。

裁判官の責任は重いといわなければなりません。

(田岡)

2012年10月 5日 (金)

やや微妙な業務改善日記3 (デュアルモニターを導入しよう)

弁護士業務では,執務時間の相当部分を文書作成(起案)にあてています。この起案作業を効率化し,快適に行うための工夫を紹介します。まずは費用対効果が高いデュアルモニターの導入から。

 皆さんパソコンを利用して起案をしていると思いますが,多くの方は一台のパソコンに一台のモニターのセットで執務していることと思います。DELLあたりから納入されたパソコンを業者にセッティングしてもらい,なんの疑問も持たずにそのまま利用しているケースがほとんどでしょう。

 デュアルモニターは読んで字のごとく2台のモニターを利用するものです。一台のパソコンに2台のモニターを接続することで,一度に表示する領域を広げることができます。一つの画面にExcelのシートを表示して数値を参照しながら,もう片方の画面にWord画面を表示し,文書を作成するなんてことができるようになります。あるいは,片側に準備書面(1)を表示しながら,もう片側で準備書面(2)を起案するということも出来るわけです。一つのモニターだと,いちいち画面の切替をする必要があったものが,表示領域が広がったことで表示しっぱなしにすることができるようになります。
このようなイメージです。分かりづらいかもしれませんが,左に一太郎(ワープロソフト),右にExcelが表示されています。

20121005_105925_2


1 事前準備
 パソコンの裏をのぞき,ディスプレイ出力端子の種類を確認します。最近のパソコンだと,DVI-D端子とHDMI端子は標準でついていることが多いと思います。
端子の種類についてはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/Digital_Visual_Interfaceあたりを見てください。1台目のモニターは既に接続されているでしょうから,空いている端子を確認します。

2 用意するもの
①追加するモニター一台。出来れば,既存のモニターと同機種が望ましいですが,同機種が手に入らない場合でもサイズと色は揃えた方が見やすいでしょう。値段は2~3万円程度。最近はモニターもずいぶん安くなりました。

②モニターとパソコンをつなぐケーブル。2台目のモニターとパソコンをつなぐケーブルを用意しましょう。事前準備で確認した空き端子に対応する規格のケーブルを準備します。モニターに付属している場合もありますし,付属していなければ,アマゾンあたりでケーブルの種類を確かめて購入します。

③パソコン側のディスプレイ出力端子の種類によっては,端子の変換コネクタが必要になる場合もあります。

3 接続方法
 ケーブルでモニターとパソコンをつなぐだけです。

4 調整
後は,パソコン上で画面のプロパティなどで簡単な確認と調整を行えばOK。

5 まとめ
パソコン裏の空いているディスプレイ出力端子を確認し,対応するケーブルと,新しいモニターを用意して,ケーブルでつなぐだけ。至極簡単ですね。2~3万円の投資で,快適な起案環境が手に入ります。

6 メリットとデメリット
 メリットは,一度に複数のウインドウが表示できること,多くの資料が表示できることによる起案の効率化です。
 デメリットは,モニターが2台になる分机上のスペースがやや狭くなること位でしょうか。その他のデメリットはあまり思いつきません。
 一度やると辞められなくなるほど快適なので,是非試してみてください。

(追記)
ワイドモニターなどの大型モニター一枚と,小さいモニター2枚とではどちらが使い勝手がよいかという質問を受けました。私は,自宅ではワイドモニター一枚で起案しますが,ウインドウの切替作業の要否などの点で,やはり2枚のモニターを利用する方が便利ではないか,と感じます。


(新谷)


2012年10月 4日 (木)

採用情報説明会のお知らせ(日弁連イベント)

今週土曜日,大阪弁護士会において,第66期司法試験合格者等対象「ひまわり・スタッフ・独立開業支援 採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」【大阪会場】が行われます。
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/121006.html

公設事務所・法テラスのスタッフ弁護士・独立開業支援のための経済的援助制度などに興味のある方を対象に行われるイベントであり,将来公設事務所や法テラスで働いたり,あるいは経済的支援制度を利用して地域で独立する希望を持った方に向けたイベントです。

第1部では,実際に地方で活躍する公設事務所弁護士や法テラスのスタッフ弁護士を招き,パネルディスカッションを行います。

第2部では,公設事務所等へ赴任する弁護士を採用し,OJTにて養成した後に地方へ派遣する要請協力事務所がブースを出して,採用に関する説明などを行います。

桜丘法律事務所では,元宮古ひまわり基金法律事務所所長であった新谷泰真弁護士が第1部のパネリストとして参加するほか,第2部の養成事務所による採用情報説明会にもブースを出し,事務所の説明を行う予定です。
まだまだ申込は可能ですので,地方での活動に興味のある方,公設事務所や法テラスのスタッフ弁護士に興味のある方は,是非ご参加下さい。

なお,本イベントは,今年司法試験に合格した第66期司法修習予定者を主な対象としていますが,第66期以外の修習生や弁護士も参加可能です。

(新谷)

2012年10月 3日 (水)

パニック障害も「傷害」にあたると初判断

 9月28日,岡山地裁で,パニック障害が刑法上の「傷害」にあたるかどうかが争われた裁判員裁判の判決があり,「傷害」にあたるという初めての判断が示されました。この判決は,外傷後ストレス障害(PTSD)が傷害にあたると判断した今年7月24日の最高裁判所の判決と軌を一にするものであり,今後はその外延がどこまで広がるのかが問われることになりそうです。

 ところで,「障害」と「傷害」は同じ読み方ですが,その意味は異なります。なぜ「精神障害」が刑法上の「傷害」に当たるかが問題になるのでしょうか。それは「傷害」がつくかつかないかで,法律で定められている刑の重さが全く違って来るからです。

 たとえば,今回の事件の場合には,強制わいせつ罪であれば上限は懲役10年ですが,傷害がついて強制わいせつ致傷罪になれば上限は無期懲役になります。このような違いがあるために,検察官はこれまでは「傷害」に当たらないと考えられて来た「精神障害」を刑法上の「傷害」に当たると構成して,強制わいせつ致傷罪で起訴して来た,というわけです。

 ここでは法律上の解釈の当否には立ち入りませんが,もし,このような解釈が一般的になってくると,その外延がどこまで広がり得るかが非常にシビアな問題になり得ます。抑うつ状態や希死念慮(自殺念慮)などのうつ病エピソードが認められる場合であればどうか,更には,それが原因で被害者の方が自殺された場合に「致死罪」になり得るか,ということです。

 参考になるのが労働災害(労災)です。以前は精神障害は労災であるとは考えられて来ませんでしたが,過労死・過労自殺が社会問題化し,最高裁判所も電通事件において使用者の安全配慮義務違反を認めました。この事件を契機として,厚生労働省において業務上外の認定基準が策定され,現在では,過労死・過労自殺も労災として認められるようになっています。

 また,過労死・過労自殺の場合だけでなく,うつ病や適応障害等の精神疾患に罹患したような場合についても認定基準が今年改訂され、労災として認定されるようになって来ました。現在,東京地裁,東京高裁において使用者の安全配慮義務違反が認められた東芝事件が最高裁に係属しており,その判断が注目されています。

 このように労災実務では,うつ病や自殺も使用者の安全配慮義務違反と相当因果関係があると判断されており,賠償すべき損害の範囲に含められていますので,これと同様に考えれば,刑事事件でも抑うつ状態等を発症したり,その後に自殺した場合には,その責任を問うということがあり得ることになります。現在,そうなっていないのは,刑事事件では検察官が何罪で起訴するかの権限を握っており,被害者にはその権限がないからに過ぎません。

 ただ,このような起訴がなされる背景に法律が定める刑自体が低すぎるという感覚があるのだとすれば,法律が定める刑を引き上げることによって対応することが筋であると思われます。裁判員裁判では,身体的な被害よりも精神的な被害を重視する傾向があり,性犯罪の場合には,既遂と未遂とで量刑上の差がなくなってきるという分析もなされています。財産的な被害や身体的な被害を重視する法律の考え方自体が問われている,ということでしょう。

(田岡)

2012年10月 2日 (火)

やや微妙な業務改善日記 その2(続・電子内容証明郵便) 

前回に続いて,電子内容証明郵便の話です。今回は,使ってみて感じたメリットとデメリットです。

・メリットとデメリット 

早速使ってみたところ,通常の内容証明郵便に比べ,以下のようなメリットとデメリットを感じました。メリットは,

① レイアウトの自由度が高い。通常の内容証明郵便は,20字×26行という規制があり,一行の行数が不自然に少ないことから,レイアウトが崩れがちで,不便を感じていました。電子内容証明郵便では,この規制がなくなり,通常の文書と同じように起案できることになったため,比較的自然な書面になります。
 また,文字数の制限もなくなったため,うっかり半角文字を混ぜて一文字多くなってしまったがために窓口で突き返され,再作成する,などということも避けられます。①や(1)なども普通に使用できます。

② 余白のみ指定があり,上左右:1.5cm以上、下:7cm以上をあけること,とされていますので,これだけ守ればよいです。通常作成する書面の余白に準じた上で,下部の余白を7センチとすればよいでしょう。予め電子内容証明郵便用のひな形ファイルを作っておくと楽です。

③ 多くの場合,料金が安くなります。電子内容証明郵便だと,字数行数制限がなくなる関係で,一枚に従来の内容証明郵便2枚分~3枚分の分量がおさまり,枚数が減るため,結果的に安くなるようです。

④ 差し出しに行く手間が省ける。24時間インターネットから差し出しできるので,従来のように3部作成して割り印して郵便局窓口へ持って行く手間は省けます。休日などにもすぐに出せるのが魅力です。

一方,デメリットもあります。
⑤ 弁護士の印鑑が押せないこと,裁判所内郵便局からの差し出しができないことから,弱々しい感じで,相手に与えるプレッシャーが弱くなった感じがします。

⑥ 中央で一括処理しているせいか,処理の遅延が慢性化しています。処理中の通数と今から出すとどれくらいで処理が開始されるか表示されるのですが,数時間かかることはざらで,混んでいると差し出し手続き後,丸一日経たないと発送されない場合もあるようです。夜や休日に起案して出す場合には不都合がなさそうですが,日中起案してその日のうちに出したい場合には,通常の内容証明郵便を利用した方が早いことがあります。

⑦やや細かい話ですが,グーグルクロームを既定のブラウザにしている場合はうまく動きませんので,ログイン画面が出たところでURLをIEブラウザにコピーするなど地道な工夫が必要です。

というわけで,使ってみた感想としては,電子内容証明郵便を主として使いつつ,緊急かつ電子内容証明郵便の側で遅延がひどい場合には,通常の内容証明郵便を使うのが良いのではないかと感じました。

(新谷)

2012年10月 1日 (月)

やや微妙な業務改善日記 その1(電子内容証明郵便) 

主に同業者向けの話題ですが,弁護士業務の効率化の観点から,業務に役立つパソコン関連の話題を連載していきたいと思います。連載は私の備忘録を兼ねてのものですので,不定期かつ思いつきでつれづれなるままに書いていく予定です。

初回は電子内容証明郵便の導入について。
これまで,存在は知りつつも,そのうち導入しようと思っているうちに機会を逃してきました。先日,事務局がお休みだったために自分で内容証明郵便を作成発送したところ,思わぬ手間がかかったので,思い切って導入することにしてみました。

・導入までの作業
1 クレジットカードを用意
2 郵便局の電子内容証明サービスのページにアクセス
3 登録者情報を登録し,電子内容証明郵便用のソフトをダウンロードする
4 上記ソフトをインストールする
5 差出人情報(自分の名前や住所)を設定する

これで準備は完了です。ものの10分あればできます。

・使い方
1 内容証明郵便本文をWordファイルで作成保存する。なお,通常の内容証明郵便と違い,字数行数の制限はありません。余白設定だけ指定に従えばよいので,通常の書面と同じ感覚で作成すれば差し支えありません。
2 ソフトを立ち上げ,作成した文書ファイルを選択するとともに,受取人の住所情報を入力する。
3 「次へ」ボタンを押すとブラウザが立ち上がり,送信ファイルを指定するよう求められるので,もう一度ファイルを指定する。
4 「送信」ボタンを押し,指示に従って操作すると,作成したファイルの内容で内容証明郵便が受け付けられる。
5 郵便局側で,送信したファイルから内容証明郵便を作成してくれ,先方に送付すると共に,謄本をこちらに郵送してくれる。
利用方法は以上のような感じです。3通用意したり,封筒を用意したりする必要はありません。パソコンの前に居ながらにして内容証明郵便を送付できます。

配達証明はオプション扱いになっており,付け忘れやすいですが,よく確認するようにしましょう。なお,発送時に配達証明を付け忘れてしまった場合,郵便局窓口へいって手続きをすることで,後からでも配達証明をしてくれます。

電子内容証明郵便のメリットとデメリットは,次回に続きます。

(新谷)

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