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2012年9月28日 (金)

弁護士の専門認定は可能か?

先日、日弁連が弁護士の専門認定制度の創設を検討している、という報道がありました。報道によると、専門認定を検討してるのは、離婚、相続、交通事故、医療過誤、労働問題の5分野。3年以上の実務経験と3年間で10件以上の事件処理、20時間の研修受講などを要件とするようです。しかし、弁護士の中でも意見が割れており、見通しは立っていません。

専門性の問題を考えるときに、そもそも何を持って「専門」というのかという問題があります。事件を多く取り扱っていればそれだけで専門だと言えるのか、職員を使って大量処理していれば専門だというのはおかしいではないか、というわけです。他方で、知識や経験を保証するものだとすれば、誰がそれを判定するのかという問題が生じます。研修ばかり受講しても、実践で役に立たなければ意味がありません。日弁連の基準では、経験3年未満の弁護士が「専門」を謳うことを禁止する程度の意味(いわば足切り)しかないでしょう。

しかし、いまのまま何の基準もなくてよいのか、ということも考えなくてはなりません。弁護士の数は増えましたが、消費者は選ぶ基準がありませんから、インターネットやテレビCMを出している事務所を選ぶでしょう。中には、弁護士1年目、2年目なのに「○○専門」と自称している事務所もありますし、報酬も相場より高いところも珍しくありません(報酬基準が廃止されましたので、弁護士は自由に報酬基準を定めることができます)。足切りの意味しかなくても、こうした現状を放置しておくよりはまし、という考え方はあり得るでしょう。

最近は「口コミ」が流行りであり、顧客に評価してもらうという方法もあります。しかし、弁護士をよく利用する企業であればともかく、一度しか利用しない個人が弁護士の専門性を評価することは不可能でしょう。せいぜい、「接客が丁寧だったとか」「面談室がきれいだった」といったサービス面での評価しかできないでしょう(もちろん、接客態度に問題のある弁護士はいますか得、そういう評価も無意味ではないと思います)。ニセ医者事件のときにもコメントしましたが、親切な医者が腕のよい医者であるとは限らない、という難しさがあります。

いずれにしても、実務経験や取扱事件数などは公表しようと思えば、いますぐにでも公表できることです。また、研修の受講経験をわざわざ公表する弁護士はいないと思いますが、研修の講師を務めた経歴や主な著作は、専門性を知る手がかりにはなるでしょう。上から一律に規制するのではなく、個々の弁護士が消費者の選択に役立つように情報を公開するところから、まずは始めてはいかがでしょうか。

(田岡)

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