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2012年8月 3日 (金)

死刑執行に抗議する

法務省は今日8月3日、死刑囚2人の刑を執行したと発表した。私は人道と正義の観点から、この死刑執行に抗議する。

正義は不変のものではない。100年前に正義であったものが、歴史の進歩によって不正義であるとみなされるようになることがしばしばある。人種差別や女性差別はその典型だ。そして、死刑も今日では不正義だというべきである。

目には目、歯には歯という報復はとうの昔に非人道的で残虐だという理由で排斥された。にも拘らず生命に対して生命で贖うという死刑だけが残虐でないとされてきたことはむしろおかしなことだと私は思う。
20世紀の後半、ヨーロッパ諸国はこのことに気付き、死刑の廃止に向かった。今日では死刑制度の廃止はEU加盟の条件とされるほどだ。

明治以来、法制度を初めとするヨーロッパの諸制度を取り入れ、更に敗戦を契機に民主主義を実現して70年近くを経るわが国は、人間の尊厳に重きを置くその価値観において多くをヨーロッパ諸国と共通にする。まして他国に比して殺人などの凶悪犯罪の発生率が極めて低いこの国において、死刑を存続させる理由はない。
法務省も、死刑についての研究・検討を行っているさなかではなかったか。その議論も待たずに執行を急ぐ理由はない。

私は、国際世論を一顧だにせずかかる蛮行を行う政府を恥じるとともに、死刑の執行に強く抗議するものである。


(櫻井)

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