東電OL殺人事件 検察が特別抗告を断念
本日8月2日、東京高検は東電OL殺人事件の再審開始決定に対して特別抗告をしないと発表しました。事件はようやく再審を迎えることになりました。再審の裁判は、再審開始決定を出した東京高裁第4刑事部が担当します。
東京高検が特別抗告をしなかったことは、これまでの態度からすれば前進だと思います。再審公判に際しても、迅速な審理に協力するよう強く求めます。
それにしても、本件を通じて、刑事裁判に求められるのは、無辜を罰するかもしれないというおそれを持つ謙虚さだとつくづく思います。
今から12年前、事件を審理した第1審裁判所は、検察から十分な証拠の開示がなされなくとも、法廷に現れた物証から、第三者の関与の可能性を排斥できないと判断しました。ところが続く東京高裁は、1審の裁判記録だけでゴビンダさんを疑わしいと決めつけ、無罪判決が出たにもかかわらずこれを勾留して審理を続けた挙句有罪判決を下したのでした。そして最高裁もこれを追認しました。
見えないものがあるかもしれないというおそれからゴビンダさんに無罪を言い渡した1審裁判官に対して、高裁、最高裁の裁判官は、見えないものを見切ったつもりだったのでしょう。その傲慢さが12年もの遠回りをさせました。
ゴビンダさんの再審公判は、裁判所と検察庁が、そういう傲慢さを省みる公判になることを期待します。東京高裁第4刑事部には、そうした静かな決意を感じています。
(櫻井)
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