« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月

2012年8月31日 (金)

精神疾患を患った方の労働相談

 最近,精神疾患を患っておられる方からの相談が増えたように感じます。長年勤めてきた会社を解雇されたとか,1年契約を更新して10年以上働いて来たのに雇い止めにされたというご相談でも,その解雇や雇い止めの理由を伺っていくと,うつ病などの精神疾患が影響していることが少なくありません。背景には,パワーハラスメントであるとか,職場内での環境の悪化ということがあるようです。昨今の不景気を反映して,とくに中小企業の職場内での人間関係等が悪化しているということなのでしょうか。

 このようなご相談を受けた場合,まず精神疾患が労働災害に当たるかどうかが問題となります。以前は,過労死,過労自殺のようなケースを除いては精神疾患が労働災害にあたるかどうかが裁判で争われる件数は多くはありませんでしたが,最近は,このような解雇や雇い止めのケースで,労働災害かどうかが争われることが増えました。もし労働災害と認定されれば,労災保険給付が受けられるだけでなく,いわゆる傷病解雇(労働基準法19条)として,解雇自体が許されません。これが,いわゆる私傷病であれば,就業規則により休職が認められることはあっても,休職期間が満了すれば自動的に退職ないし解雇となってしまいますので,大きな違いがあります。

 精神疾患が労働災害に当たるかどうかについては,厚生労働省が基準を策定しています(平成23年12月26日付け基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」)。この基準では,業務による心理的負荷と,業務以外の心理的負荷,個体側要因を総合的に考慮して,認定することにしています。とくに,発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められることが必要です。そのため,配置転換や異動,長時間残業などのエピソードがあったかどうかが重要になって来ます。パワーハラスメントも,その内容しだいでは,この基準に当てはまることがあります。厚生労働省のホームページに,リーフレットが掲載されていますので,ご参考になさってください(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/090316.html)。

 ただ,実際には労働災害と認定されることは多くありません。その場合でも,社会保険に加入していれば,傷病手当金が支給されます。傷病手当金の支給期間は最長1年6か月,受給額は標準報酬日額の3分の2です(ただし,上限があります。)。ときどき誤解されている方がいらっしゃいますが,失業保険の傷病手当とは別の制度であり,退職後でも1年6か月までは受給することができますので,健康保険組合や社会保険労務士に問い合わせてみてください。全国健康保険協会のホームページでも,紹介されています(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,271,25.html)。失業保険も受給期間の延長を申請しておけば,傷病手当金がきれた後に受給することができます。

 解雇,雇い止めをめぐる紛争は,今後もますます増えていくものと思われます。解雇や雇い止めの表向きの理由が業務の縮小や事業所の廃止(いわゆる整理解雇)であっても,同時にパワーハラスメントやセクシャルハラスメント,不当な配置転換や退職勧奨が背景にあることが少なくありません。そして,そのような方の多くが,同時にうつ病ないしうつ状態(適応障害など)と診断され,精神疾患を患っておられます。このような方は,弁護士に相談するにも大変な状況の方が多いかと思いますが,ご家族や周囲の方でお気づきになれた場合には弁護士にご相談いただければと思います。

(田岡)


2012年8月28日 (火)

桜丘の弁護士は年中無休!?

桜丘法律事務所は、事務職員は完全週休2日制・残業なしで働いてもらっていますが、弁護士は完全な裁量で働いています。…というと聞こえが良いのですが、土日もろくに休まずに遅くまで働いている弁護士が少なくありません。

 仕事の仕方としては感心しないのですが、利用者にとっては利点もあります。というのは年間を通じていつ電話しても弁護士とコンタクトが取れるということです。先日も日曜にお電話を頂いた会社と、月曜に顧問の契約をさせて頂きました。

 さまざまな業種や職種の方のニーズに迅速に応えるためには弁護士が対応できる時間帯を拡げる努力が欠かせません。刑事事件に対する対応であればなおのことです。

 ですので、困ったときにはいつでもすぐにご連絡下さい。メールでも電話でもFAXでも結構です。弁護士は、いつでも対応できる心構えでご連絡をお待ちしています。

(櫻井)

2012年8月22日 (水)

由緒ある日立航空機(株)?日立グループとは無関係

今日は飲食店の代金踏み倒しの相談を受けました。ある会社の社員たち、高級飲食店を利用して、最初はきちんと支払っていたのが次第に付けで払うようになり、最後に踏み倒されたという話です。

その会社名が「日立航空機株式会社」。そそっかしい人は日立製作所の企業グループだと思うかもしれませんが、全然違います。よほど迷惑を掛けられているのか、日立製作所はわざわざ次のようなコメントをHPで発しています。

「日立航空機株式会社(本店所在地 : 東京都中央区日本橋兜町17番1号日本橋ロイヤルプラザ809号)との関係について、お問い合わせを頂いておりますが、同社は、現在、当社及び当社のグループ会社とは一切関係がありません。」

本当に迷惑だろうと思います。ロゴマークを見ても、単体では区別を見逃すと思います。ちなみに上が日立航空機、下が日立製作所グループのロゴです。

Hitachikoukuuki_2

Hitachi

ところで注意深い人は、日立製作所のコメントの中の「現在」という単語に引っ掛かりを感じたのではないかと思います。そうです。昔は、日立航空機株式会社は日立グループの会社で、戦闘機のエンジンなどを作っていたらしいのです。それが、戦後の企業再建整備法という法律の下で、第二会社を作って収益事業をそちらに移す形で企業活動が承継され、日本航空機株式会社という会社本体は負債を沢山負ったまま放置されたようです。それを、おそらく詐欺グループが見つけて復活させたのでしょう。だから、厳密に言えば、日立と無関係、ではないのです。昔はね。

飲食店の皆さん、日立航空機の社員が付けで飲食させろと言ってきたら断って下さい。投資家の皆さん、投資しろと言われても投資してはいけません。

由緒ある詐欺会社のお話でした。

(櫻井)

2012年8月15日 (水)

9月の神山ゼミ

神山ゼミを以下の要領で行います。皆様のご参加をお待ちしています。

日時
平成24年9月27日(木) 午後6時から午後8時30分ころまで

場所
伊藤塾東京校 521B教室
http://www.itojuku.co.jp/keitai/tokyo/access/index.html

備考
法曹、修習生、学生に開かれた刑事弁護実務に関するゼミです。刑事弁護を専門にする神山啓史弁護士を中心に、現在進行形の事件の報告と議論を通して刑事弁護技術やスピリッツを磨いていきます。
終了後には懇親会も予定しています。
参加を希望される方は予めメールにて,下記の事項を古宮までご連絡下さるようお願いします。

[件名] 9月の神山ゼミ
[内容]
・氏名:
・メールアドレス:
・懇親会参加の有無:

2012年8月 3日 (金)

地域活動支援センター「はるえ野」訪問日記(4)

2日,恒例のはるえ野(障害者施設)訪問をしてきました。

本日は,ロンドンオリンピックを題材に,ADHDを抱える金メダリスト水泳選手の話と,ギリシャ・スイスの代表選手が南ア・韓国を差別する発言をツイッターでしたため参加資格を剥奪された話,義足の選手がパラリンピックではなくオリンピック選手として認められた話をトピックとして,色々と皆で考える時間を持ちました。

3番目の話について語ります。
身体障害者はこのようにオリンピックで自己実現する機会が持てるようになったのに,精神障害者はほとんどオリンピックどころかパラリンピックにも出られていない。それは何故か。
勿論,集中が続かないとか,当日の体調の安定に責任が持てないなどの理由はありますが,最大の理由はドーピング検査に引っかかることだそうです。
向精神薬は,大概ドーパミン放出系であるため,ドーピング検査に引っかかるのだそうです。
かつての陸上王者,フローレンス・ジョイナーは,てんかん発作を抱える身でしたが,100メートル走に出場するために大会前はずっとてんかん薬を絶っていたそうで,結果として大会後の飛行機の中で発作を起こして死亡したのだとか。
しかし,人よりそういう物質が不足することで精神病を発症しているのに,それを人並みに戻すための薬さえ抜かなければ人としての自己実現は叶わないのか。

身体障害者が義足で出場することを認められたのなら,精神障害者も必要量の薬物投与を認められてもよさそうなものです。
義足だって,ターボ機能のようなものが付いていたら不公平です。そこまで言わずとも,人工筋肉が普通の筋肉より優れたものであれば,身体障害者の方が優れた記録を残せるかもしれません。しかし,それはそれとして,オリンピック運営局に義足ランナーの参加を認める度量があったのなら,精神障害者だってフローレンス・ジョイナーのような死を賭した自己実現を図らなくても,もっと社会に出て行ける機会が持ててもいいだろうに,と感じました。

(石丸)

死刑執行に抗議する

法務省は今日8月3日、死刑囚2人の刑を執行したと発表した。私は人道と正義の観点から、この死刑執行に抗議する。

正義は不変のものではない。100年前に正義であったものが、歴史の進歩によって不正義であるとみなされるようになることがしばしばある。人種差別や女性差別はその典型だ。そして、死刑も今日では不正義だというべきである。

目には目、歯には歯という報復はとうの昔に非人道的で残虐だという理由で排斥された。にも拘らず生命に対して生命で贖うという死刑だけが残虐でないとされてきたことはむしろおかしなことだと私は思う。
20世紀の後半、ヨーロッパ諸国はこのことに気付き、死刑の廃止に向かった。今日では死刑制度の廃止はEU加盟の条件とされるほどだ。

明治以来、法制度を初めとするヨーロッパの諸制度を取り入れ、更に敗戦を契機に民主主義を実現して70年近くを経るわが国は、人間の尊厳に重きを置くその価値観において多くをヨーロッパ諸国と共通にする。まして他国に比して殺人などの凶悪犯罪の発生率が極めて低いこの国において、死刑を存続させる理由はない。
法務省も、死刑についての研究・検討を行っているさなかではなかったか。その議論も待たずに執行を急ぐ理由はない。

私は、国際世論を一顧だにせずかかる蛮行を行う政府を恥じるとともに、死刑の執行に強く抗議するものである。


(櫻井)

2012年8月 2日 (木)

東電OL殺人事件 検察が特別抗告を断念

本日8月2日、東京高検は東電OL殺人事件の再審開始決定に対して特別抗告をしないと発表しました。事件はようやく再審を迎えることになりました。再審の裁判は、再審開始決定を出した東京高裁第4刑事部が担当します。

 東京高検が特別抗告をしなかったことは、これまでの態度からすれば前進だと思います。再審公判に際しても、迅速な審理に協力するよう強く求めます。

 それにしても、本件を通じて、刑事裁判に求められるのは、無辜を罰するかもしれないというおそれを持つ謙虚さだとつくづく思います。

 今から12年前、事件を審理した第1審裁判所は、検察から十分な証拠の開示がなされなくとも、法廷に現れた物証から、第三者の関与の可能性を排斥できないと判断しました。ところが続く東京高裁は、1審の裁判記録だけでゴビンダさんを疑わしいと決めつけ、無罪判決が出たにもかかわらずこれを勾留して審理を続けた挙句有罪判決を下したのでした。そして最高裁もこれを追認しました。

 見えないものがあるかもしれないというおそれからゴビンダさんに無罪を言い渡した1審裁判官に対して、高裁、最高裁の裁判官は、見えないものを見切ったつもりだったのでしょう。その傲慢さが12年もの遠回りをさせました。

 ゴビンダさんの再審公判は、裁判所と検察庁が、そういう傲慢さを省みる公判になることを期待します。東京高裁第4刑事部には、そうした静かな決意を感じています。

(櫻井)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ