地域活動支援センター「はるえ野」訪問日記(3)
5月25日に,江戸川区にある地域活動支援センター「はるえ野」を訪問してきました。
この日は,WRAPに参加しました。
「WRAP」とはWellness Recovery Action Planの略で,「元気を回復する行動プラン」のことです。1980年代に米国の精神保健の現場で開発された自己管理法です。心の状態を「日常」,「注意サインが出た時」,「調子が悪くなった時」等6つの段階に分けたうえで,各段階に応じた対処法をあらかじめ用意しておくというものです。詳細は,日経新聞2012年5月21日(月)夕刊でも紹介されています。
講師の増川ねてる(増川信浩)さんから,①今日呼ばれたい名前,②大切にされているなと感じる時,③元気の出る魔法の言葉という課題が出され,皆で輪になって意見交換をしました。③の元気の出る魔法の言葉としては,「しがみつかない,ごまかさない,あきらめる」,「まあ,別に誰も気にしてないから大丈夫」,「お帰りなさい」,「あきらめるな,絶望は愚か者の結論だ」などの意見が出ました。人によって元気の出る魔法の言葉が180度違うというのは興味深いですね。
増川さんは,「人は誰でもストレスを感じる。精神疾患を持った人は,人より少しストレスを感じやすい。その意味では,精神疾患を持った人は強度なストレスに日常的に対処してきた専門家である。WRAPを通じて,精神疾患を持った人の経験に学ぶとともに,健常者が感じる心の問題の延長上に,精神疾患を持った人の抱える心の問題があることを理解してもらいたい。」と言っていました。
精神疾患を持った人たちが,私たちを必要としている。だから,私たちが力になってあげなければならない。恥ずかしながら私は,そういう一方通行の関係を考えていました。むしろ,私たちこそ,精神疾患を持った人たちのことを必要としているという事実に,はっとさせられました。
(鏑木)
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