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2012年4月15日 (日)

「検事失格」

 

犯罪者の社会復帰を助け、再犯を防ぎたいという気持ちから任官した検事が実際に検察庁で受けた教育は、彼が思い描いていたものとは全く異なるものだった。「生意気な被疑者がいると机の下から被疑者の向うずねを蹴るんだ」と得意げに話す先輩検事。検事が1人語りして作成した自白調書に署名するのを被疑者が拒んだときには「これはお前(被疑者)の調書じゃない。俺(検事)の調書だ!」と一喝して署名させろと指導する次席検事。最前線の検事や事務官が全員不起訴にすべきだと進言しているのに「お前、もう諦めろ」と言って起訴を命ずる検事正。そして彼はその事件で無理な自白を引き出そうとして、否認する被疑者に暴言を浴びせてしまう。元検事・市川寛弁護士が自身の経験をありのままに述べた記録だ。いままで曇りガラスの向こうにぼんやり見えていたものをくっきり見せてくれる。弁護士を30年してきた私にして「もう少しましなところかと思っていた」というのが率直な感想だ。

 もちろん個人的に立派で信頼できる検察官は少なくない。それでも上記のような問題を正せない、「それもあり」としてしまう検察庁の体質に問題があるということを私たちはきちんと見据えなければならないと思う。刑事弁護人には必読。一般市民にも是非読んで欲しい1冊だ。勇気をもって本書を世に出した市川寛弁護士に敬意を表したい。

(櫻井)

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