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2012年3月 8日 (木)

事業としての不動産賃貸借6(困った借主3)

 困った借主に対して訴訟に踏み切れない理由は何と言っても費用が相当かかるに違いない、あるいはいくらかかるかわからないといった不安でしょう。さりとて弁護士に相談しようにもどうして弁護士を選んで良いかわからない。しばらく様子を見ようかなどと考えているうちに時間はどんどん過ぎてしまいます。

 その費用の点ですが、事務所によってかなり違いがあるようですから、一概には言えません。私たちの事務所では建物明渡し訴訟を起こす場合、着手金が賃料の2か月分(但し最低額は10万円)報酬は賃料の3~4か月分が基準になります。たとえば賃料10万円の物権の明け渡しの場合、着手金が20万円、明渡しの判決を得た場合の報酬が30~40万円というのが標準の報酬額です。かつての弁護士会の報酬規定よりも低額に設定しています。もちろん、それでも安くはありませんが、賃料を半年滞納されるとそのくらいの額になってしまいますから、決断は早い方が良いのです。困った借主は、大家さんの対応が甘いと一層ルーズになる傾向があります。きちんとした対応が不可欠なのです。

 弁護士を立てて交渉や訴訟をすることは、個別の事案に注目すると出費の方が多くなることがあります。私は、それでもなお弁護士を利用することをお勧めしています。それは、どういう貸主か理解してもらうためです。理不尽な対応をすれば訴訟も辞さない。目先の損得で動かない、という姿勢は困った借主の態度を改めさせる上でも意味があるからです。困った借主に甘く見られないために必要なコストとして弁護士費用を考えていただくと良いと思います。

 上手に弁護士を利用して、「手ごわい」大家さんになって下さい。

(櫻井)

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