東雲サロンに行ってきました
2月2日に,東京都豊洲にある東雲住宅で行われた東日本大震災の被災者の方の交流会(「東雲サロン」)に参加してきました。東雲住宅には、南相馬から移り住んで来られた方が数多くおられます。
東雲サロンでは、お茶菓子を食べながら、おしゃべりを楽しんだり、福島の新聞を読んで、故郷の情報を仕入れたりします。
テーブルの上に広げられているのは、新聞やお茶菓子だけではありません。裁縫道具や、色とりどりの布の切れ端も、お店も広げていました。実は、東雲サロンは、裁縫や工芸のミニ講習会の場でもあるのです。
「あらやだー、可愛くなくなっちゃった!」と明るい笑い声が響いた方を見ると、タオルでお人形を作っていました。その名も「負けないゾウ」!つぶらな瞳で、耳のリボンがかわいいゾウのお人形です。
別のテーブルでは、おじいちゃんが職人技を披露して、布を割いて作ったカラフルなわらじが編みあげられていきます。
東雲サロンでは、かつては、被災者同士がおしゃべりや情報交換をしていただけでしたが、いつのまにか、縫い物が上手なお母さん、職人のようにわらじ作りが得意なおじいちゃんが先生になって、ミニ講習会が開かれるようになったそうです。縫い物やわらじ作りを通じて交流が深まり、さらに会話が弾みます。
3.11で被災者の方々が負った傷は深く、これからの不安もつきないはずです。それでも東雲サロンに集う人は、今の生活を精いっぱい楽しみ、充実させようとしています。東雲サロンは、「復興」がぎゅっと詰まった場所でした。
最後に、ぜひとも紹介したい逸品があります。
「相馬焼」です。
被災者の方の交流会に参加させていただくと、必ず相馬焼が話題に上り、皆さん目を輝かせながら、「あれは綺麗よね~」と、口をそろえて仰います。
一方で、相馬焼の窯元の家庭だったけれど、震災で窯が壊れて、再び相馬焼を作る目途が立たたない、家にあった相馬焼がほとんど割れてしまった、一時帰宅したときに相馬焼を持って帰りたいけど必需品を優先せざるをえないので持ってこられないなど、心の痛むお話もうかがいます。
ですが、相馬焼の窯に真赤な火が力強く燃え上がり、相馬焼の湯飲みで温かいお茶を飲みながら、みんなでおしゃべりできる日がきっとくる、東雲サロンで出会った方々の笑顔を思い浮かべると、私はそう信じてやみません。
(古宮)
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