事業としての不動産賃貸借4(困った借主1)
良い借主だと思っていたのに,貸してみたらとんでもない店子だったという例は少なくありません。そんなときにはどうしたら良いでしょうか。
基本は毅然とした対応をすることに尽きます。何だ,そんなことかとお思いかもしれませんが,これがなかなかきちんとできていないのが実情です。きちんと対応しているのに効果がないと仰る大家さん,やり方を間違えています。それでは「きちんと」対応したことにはなりません。
借り主が契約条項を守らないときどうすれば良いか。
管理会社がある時には管理会社を通じて注意してもらいます。これは誰でも最初にすることでしょう。力のある管理会社であればかなりの対応をしてくれますが,それでも限界があります。また,もともとそういう交渉は得意でない管理会社も少なくありません。
このとき,多くの大家さんは何度も管理会社に対応を迫ります。大家さんは一生懸命なつもりでしょうが,これは誤りです。何度も言っても進展しないのは,管理会社に打つ手がないからです。管理会社の口頭の注意くらい何とも思わない借り主に対してはより強力な手段を講じる必要があるのです。つまり,何度も管理会社に対応を迫るのは時間の無駄,相手に時間を与えるだけなのです。
管理会社の動きが悪いとき,あるいは管理会社が頑張っても事態が進展しないときこそ大家さん自らが前面に出て対応すべき時です。そういう交渉事が苦手でない方はご自身で訪ねて行って注意して下さい。その際には交渉の内容の録音も忘れずにして下さい。後で言った言わないの話にならないようにするためです。
大家さんが直接交渉しても改善しないとき,あるいはそういう交渉をご自身でなさりたくないときは,弁護士を依頼して下さい。
依頼を受けた弁護士はたいていの場合内容証明で契約違反を指摘し,場合によっては契約解除の意思表示をします。受け取った借り主は,何となく面倒なことになったという印象を持ちます。そう,実際面倒なことになったのです。契約を守らないと面倒なことになるということを理解してもらうのが大事な点なのです。
(櫻井)
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