勝訴の見込みがないとは言えないこと
私たちの事務所は法テラス(日本司法支援センター)による法律扶助の利用を積極的に進めています。法律扶助とは,所得が一定の水準に達しない人のために弁護士費用を立て替える制度です。この制度を利用すると,弁護士報酬の額が一般に低く抑えられる上,立替金の支払も,訴訟等によって金銭を得た場合にはその中から,金銭を得られなかった場合でも無利息長期の分割払いが認められ,その支払能力すら欠ける人には免除の制度もあります。
ただ,この制度を利用する条件はもう一つあって,それが「勝訴の見込みがないとは言えないこと」なのです。何とも歯切れの悪い言い方ですが,絶対勝ち目のない訴訟をするための弁護士費用は立て替えないという趣旨です。「勝訴の見込みがあること」とすると,その証明は利用者がしなければならないことになり,ハードルが高くなりますが,「勝訴の見込みがないとは言えないこと」とすると,勝訴の見込みのないことの証明は法テラスがすべき事になります。
ところが法テラスの審査でまれに両者を混同しているのではないかと思えることがあります。事件の中には厳しいけれど活路があるかも知れない,というものも少なくありません。そのような事件を安易に「勝訴の見込みがない」と決めつけて、困っている人の救済の道を閉ざすことがないようにして欲しいものだと思います。
(櫻井)
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