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2010年10月

2010年10月12日 (火)

人は見たいものを見る

 最近インターネットを利用した詐欺の被害を受けた人の相談に乗ることが多いです.詐欺のパターンはいくつかに分かれますが,比較的多いのが,応募もしていない懸賞に当たったとか言って興味を誘うもの.

 ある日あなたの元へ1通のメールが届きます.スパムメールと思って捨てようかとも思いますが,タイトルに「おめでとうございます」などと書いてあるのでつい開いてしまいます.そういえば最近めでたいことなどないなあなどと思いつつ開いたメールは,なんと,懸賞に当たって賞金の獲得権を得たとの報せでした.それも結構高額だったりします.あなたは当然受け取りたいと考えます.しかし,この獲得権を行使するためには期限内に所定の手続をとらなければなりません.そうでないとせっかくの権利も次順位の人の手に渡ってしまいます.このチャンスを逃してはならないでしょう.これまで慎重(あるいは臆病?)な性格が災いして幾度となく苦杯をなめてきたあなたです.早速手続に入ります.高額の賞金を手にするためには当然こちらの住所氏名電話番号を記入するでしょう.手続の第一段階終了!連絡を待つと,来ましたよ,返信が.高額な賞金につき手違いや事故があってはならないので身元の証明に加えて一時的に保証金を預託する必要がある.預託金を納めないと権利は無効に!!賞金の額に比べれば保証金なんかわずかなものです.それに,決済が滞りなく済んだら返してもらえるのです.こちらには何のリスクもありません.こうしている間にも権利行使期限は迫ります.今日中に先方に着金しますように!と金〇万円を送金します.ときおり振込みにミスがあって先方に着金しないことがあります.そういう場合,先方から親切に教えてくれることがあります.あなたは感謝しながらもう一度〇万円を送金します.

 ご愁傷様です.あなたは詐欺にひっかかりました.

 誰もが言うことですが,「うまい話」はありません.最初から最後まで楽して儲かる話もありません(一部の弁護士は楽して儲けているように見えますが,そのような人たちでさえ,司法試験受験などで大変な苦労をした時期があるわけです).
 企業が懸賞などを実施するのは応募者の情報を取りたいからです.予め情報も寄せない人に誰かが高額な賞金をくれるなどということはないのです.ちなみに(ついでだから言っておきますが),出会い系のメールで知り合った異性があなたの顔も見ぬうちから多額の金銭をくれるなどという話もありません.
 
 こんな話,どうして信じてしまうのだろう,と,他人の目からは見えますが,被害者の名誉のために言っておくと,人は往々にして自分のことは気づかないものなのです.人は,事実の認識においてさえ,「そうあってほしい」と思う方向に物を見てしまうものなのです.労なくして大金を得る…起きたらいいなあと思う出来事が起きたように思えるとき,本当だったらうれしいと思う気持ちが疑う気持ちを排除してしまうのでしょう.大きな失敗をするときというのはそういうものです.

 人は見たいものを見るのです.

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